第33章 警察署の中での争い
警察署につくと、さっきのパトカーの中の雰囲気とは全く違い、とても堅苦しい雰囲気で、何もしていないのにつかまりそうな感じがするほどの恐怖を感じた。その中でも保太は、ドッジボール入団決定が決まったことを大声で笑いながら言っていた。
「うるさい! 保太君!」
刑事が保太を怒鳴った。そして、周りの警官の視線が保太と正斗と刑事に集まった。そして二人はとてもとても恥ずかしい思いをした。すると、大柄でとても怖そうな人が目の前の階段を下りてきた。そして二人は体を寄せ合っておびえた。
「何があったんだ?」
「あ、、、大声を出してしまって誠に申し上げございませんでした。」
刑事は深々と礼をした。よく見ると胸についているワッペンには、”警部”と書かれていた。少なくともこの刑事よりは身分は上だろう。
「実はあの、、、この二人を誘拐事件の被害者、重要参考人として連れてきたら保太君が大声を出すものですから。」
「こんなところで大声を出す君が大人げないよ。二人とも、これからは気をつけなさい。」
その言葉を言うと警部は去っていった。すると周りからの鋭い視線が消えた。
「よし、二人とも行こうか。」
「「はい」」
二人はとてもとても小さい声で言った。
事情聴取のための部屋は会議室みたいなところだった。犯人たちが受ける”取り調べ”は薄暗いコンクリート張りのような部屋得行うのだが二人は違った。
「まあまあ、そこに座って。」
「正斗君と保太君。君の親と連絡を取りたいんだけど。確か正斗君のお母さんは刑務所にいるんだよね?」
「はい。」
「保太君のお母さんも刑務所にいるんだよね?」
「うん。」
「OK じゃあ二人のお父さんに連絡を取るからちょっとここで待っていてね。くれぐれも静かにお願いしますよ。」
「はい。」
そして刑事は部屋を出ていった。
「よし、キャッチボールでもしようぜ。」
いきなり保太が正斗に提案をしてきた。ドッジボールの練習のためだという。
「いけないと思うよ。静かにするようにと言われたじゃないか。」
「大丈夫だって。なぜかボールがそこの棚に入っていたからな。」
保太は棚を指さした。そしてサッとボールをとるといきなり正斗に投げつけた。しかしなんとか正斗はボールをとることができた。しかし、その後も挑発してくるので、とてもむかついた。
「うるせー!」
とうとう正斗は力強くボールを投げてしまった。すると、ガラガラガラガッシャ―ンと音を立てて保太が後ろに大雑把に倒れてしまった。ボールは天井へと跳ね返り、机の上に乗ったり床に落ちたりと予想以上の音を立てた。
「ごめんごめん、保太。」
「ふざけるな!」
保太は強い力でバケツを蹴り上げた。すると正斗の額にふちが当たって、傷ができ、血が出てしまった。
すると何かぶつぶつ言いながら刑事が入ってきた。すると入った瞬間に目を丸くした。
「何だこのありさまは?! おい、正斗! 大丈夫か?」
叫んでしまうのも無理はないだろう。ボールとバケツは転がっているし、棚はばちゃばちゃだし、そこに人が転がっているし、横を見ると血を流している人がいるし。無残な状況だった。
そして警部も入ってきた。
「おいおい!! 何だこのありさまは!?」
目を丸くして警部が言った。
「おい君、何をやってるんだね。」
「すいません。私が保護者に電話を入れている間にこんなことになってしまって。そして今正斗君を看病しています。」
「まさかこのバケツが当たったのか!?」
その時の警部の目は相当厳しいものとなっていた。
「はい。」
刑事は頭を下げながら言った。
「一応病院へと言っておいた方がいい。とりあえず病院へ行ったら明日も来てもらってくれ。その時には私のところに来てもらう。」
「分かりました。そうしたいと思います。警部。」
ブゥーンと音がしたと思うと車が入ってきていた。信太郎の車だ。
そうすると刑事はかけあしで玄関へと向かった。
「あ、こんにちは。秋原正斗君のお父様でしょうか?」
「はい。いつもうちの息子がお世話になっています。いつも危ないことをしてしまってすいません。」
「はい、実は先ほど正斗君と保太君がケンカのようなものをしてしまってですね。詳しいことは分からないのですけれども。バケツが額に当たって血を流してしまっているようなんですよ。別に命に別状はないと思うんですけど、一応病院に行ってもらえたらなと思いまして。」
信太郎の目はいつのまにか真ん丸になっていた。そして深々と頭を下げた。
「なんていうご迷惑をおかけしたのでしょう。すぐに病院に連れて行きます。ありがとうございます。」
すると、警部、正斗、保太が奥から出てきた。そして保太は頭を下げた。
「保太君にけがをさせてしまってすいません。これからは気を付けます。」
次に正斗が口を開いた。
「ねえ、保太もドッジボールチームに入会したいみたいんだけどいい?」
信太郎はすごく驚いた。保太と言えばサッカーのイメージがあったからだ。」
「本当に?」
「そうなんだ。確か友達同士で同じぐらいの時に入会すると、一方の入会金が無料で二人分のドッジボールのボールがプレゼントされるんじゃなかったっけ。」
「確かにそんなことがあったかもしれない。お前よく覚えているな。」
警部は言った。
「さて、では病院までお願いします。」
信太郎は正斗を病院へ連れて行くことをすっかり忘れていた。そして車を発進させ、病院ヘ向かった。
第34章へ続く。




