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【言音】(ゲノン)  作者: 墨
12/15

12:魔飼者

魔飼者マガイモノ


 ある大富豪の邸宅から逃げ出した家政婦が、遠く離れた町の警察に保護された。


 彼女はずっと口を閉ざしていたが、身の安全を確信できたのか、面会に来た警官にようやく口を開いた。

 それは彼女が働いていた邸の地下に大勢の男女が監禁されており、どうやら人体実験や拷問をされているという衝撃的なものだった。

 現場を目撃してしまった彼女は命からがら逃げだしたが、地元の警察も抱き込まれているのではないかとの不安から、遠く離れたこの町まで逃げてきたのだと言う。


 すぐに大富豪の屋敷の捜索が行われた。

 そこで見つかったのは、十九名もの男女の無残な遺体と、手術室のような設備、多くの実験器具、そして巨大な焼却炉だった。


 どうやら誘拐してきたハイカーなどを監禁し、臓器を取り出して闇に流していたようだ。

 この屋敷の主である大富豪とその妻、そしてお抱え医師が逮捕された。

 地元の新聞では「地獄の内臓市場」「恐怖の腑分け屋敷」などのおどろおどろしい見出しが一面を飾り、大富豪は裁判の決着を待たずに病死している。


 また別の話しでは、屋敷の主は不治の病に冒されており、助かるには臓器移植を受けるしかない状態だった。

 ところが、彼の欲する臓器というのが「常人にはない臓器」だった。

 そこで彼は手当たり次第に人を攫っては医師に腹を開かせ、ハズレなら闇に流すを繰り返していたのだという。


 しかし、いくつか妙なことがある。

 ここで発見された遺体のすべてが、身元不明のままなのだ。

 そして地下には、報道された恐ろしげな設備のほか、多数が生活するのに十分な施設が整っていたという。


 大勢の犠牲者たちは、いったいどこからきたのだろう。

 もし地下での生活を強いられていたなら、逃げ出すチャンスは無かったのだろうか。


 犠牲者たちに直接手を下したとみられるお抱え医師は、殺人については認めているものの、臓器摘出その他の違法な外科行為については容疑を否認し続けた。


 面会を許された記者の話しでは、医師の主張は「無原罪の人間を創るため」だったという。



 ≪出典≫ 「隣の流行り神.net 怪事件板」 より転載




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