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第二話 幸福をもたらす宿

皆様こんにちはのっぺりです。この度は第一話だけでなく第二話もご覧いただき大変大変ありがとうございます。今回は皆様お待ちかね(?)の膝枕回ですよー!それでは本編行ってみよー!

 午後一番の繁華街は季節外れの異常な熱気によってどこか気だるげだった。俺――佐藤(さとう)(ひびき)は同じサークルメンバーでかつ警察の双葉(ふたば)(もえ)に連れられてとある雑居ビルに来ていた。中に入ると準備時間中の居酒屋とエレベーター。どうやらここが目的地らしいが何をしに来たのだろうか。俺はさっきひったくりを捕まえる際異能を使ったせいで声が出ないため、スマホのメモ帳に文字を打ち萌に聞いた。

『ここで何するの?』

「響さんの喉を治療するんですよ。さあさあ響さんも乗ってください」

萌は慣れたようにエレベーターに乗り込み手招きした。外から看板をみるにこのビルにクリニックは入っていなかったはずで、どこに行くのか検討もつかない。俺がエレベーターに乗り込むと萌は3階のボタンを押す。エレベーターのドアを開くとそこには『タイ式マッサージ店ドルチェ』と書かれた立て看板と、いかにも東南アジア風のドアがあった。

「すいません、予約してた双葉なんですけど」

萌がそういいながら受付に入ると、

「ハイー。ウサミさん指名の人ネー」

と片言で言いながら顔を布で隠したベリーダンスの衣装のような服を着た25歳ほどの女性が出てきた。妖艶なその姿につい目のやり場に困る。まさかこの店はマッサージ屋と言いつつ夜の店なのかも知れない。しかしそんな場所に女子大生、ましてや公安所属の警察官が来るのか?実はただ民族衣装を着てるだけのマッサージ屋なのか?そんな思考が頭を埋め尽くしていると、

「響さん、話聞いてますかー?…もしかして変な事考えてました?」

萌にジト目で声をかけられてしまった。あわててスマホに文章を打ち込む。

『ごめん、全然聞いてなかった。いや別に変な事は考えてないからな』

萌は絶対変な事考えてたでしょといった顔をしながらも話してくれた。

「響さんはこれから宇佐美(うさみ)さんという方に膝枕をされます。寝てるだけで喉が治るはずですから」

『膝枕?あのいわゆる膝枕?』

「あのいわゆる膝枕です。もしかして、また変な事考えてますよね?」

萌のジト目が加速しため息をついた。

「とにかく、2時間後に迎えに来るので」

『2時間後?』

「膝枕なんだから寝るのが目的なんですよれ!それ以上もそれ以下も無いですよ!」

萌は怒りか恥ずかしさか分からないが完全に耳を赤くしているのが、素肌が白い分よく分かった。そしてぷりぷりしたままエレベーターに乗り込んだ。護衛はもう大丈夫なのだろうか。なんて考えてたら諸悪の根源であるベリーダンス衣装の女性に声を掛けられる。

「オニーサンカッコイイネー。ウサミさん待ってるよーこっちネー」

店の奥へと案内された。治療かなにか知らないがこれから宇佐美という人に2時間も膝枕をしてもらえるらしい。女の子と出かけてその後は膝枕。夢かなにかだろうか。護衛される生活も悪くないなと思い、奥の部屋へ入る。

 部屋へ入ると宇佐美さんが話しかけてきた。

「おう坊主、よく来たな!喉やったんだって?」

声と同時に宇佐美さんの肉体美が目に飛び込む。割れた腹筋、ちっちゃいダンプカーを乗っけたような肩、そしてこれから俺の枕となる丸太のような太もも。これをいわゆるゴリマッチョと言うのだろう。歳は35歳ほどだろうか、そこには屈強な男が海パン一丁で正座していた。頭はスキンヘッドで手ぬぐいを巻いている。いや男ォォォ!?喉が潰れてなければそう叫んでいた。筋肉の塊が口を開く。

「おうナターシャ、案内ありがとうな!」

「ドイタシマシテ、ウサミさん」

ナターシャと呼ばれたベリーダンス衣装の女性は部屋から退室し、筋肉塊が再びこちらを向く。

「まあ詳しいことは喉が治ってから聞くかんな。まあ寝ろや」

宇佐美さんは自身の太ももをばしっと叩く。こやつの太ももで寝ることで俺の喉は本当に治るのだろうか。確かに生命力は感じる肉体だけどさあ。俺はしぶしぶ横になり頭を丸太に預ける。硬い。だが適度な硬さだった。宇佐美さんは目にタオルを掛けてくれた。強靭な男から謎に母性を感じる。これは…良いかもしれない…



 目を開けるとそこは俺の通っている大学だった。そうだ今日は初めてサークルに行く日だっけ。軽音楽サークルの部屋の扉を叩く。今年の新入生は俺と萌の2人だけで、10脚用意されてたパイプ椅子の中央2つに座って先輩達の歓迎演奏を聴いていた。休憩時間中に隣の萌に声をかけた。

「君も新入生?俺は佐藤響。よろしく」

「あっ私は双葉萌です。よろしくお願いします」

「先輩達の演奏上手だよなー」

「そうですね!ちなみに佐藤さんはなんの楽器やってるんですか?」

「中高は吹奏楽部でベースやってたんだ」

「あっ私もベースやってました!まあここではギター志望なんですけどね!」

そんな事を話してると休憩時間が終わり、先輩達のメンバー紹介が始まった。

「ギター&ボーカル!4年松本(まつもと)!」

「ベース!3年矢部(やべ)!」

「ドラム!2年瑠璃川(るりかわ)!」

「キーボード!2年網代(あじろ)!」

「そしてそしてー!ベリーダンス!ナターシャ!」

は?え?ベリーダンス?思わずナターシャと呼ばれた人物の方を見る。すると突如隣からツルが伸びてきて俺の四肢に巻き付き拘束し始めた。ツルの出どころは隣に座っている萌の手だ。

「私は警視庁公安部特異課の双葉萌だ。お前を現行犯逮捕する。この植物はかなり強く巻き付く。無駄な抵抗はやめるんだな」

ただの女子大生だと思ってた女の子が実は警察官で異能者だった。この衝撃は大きい。しかしそれよりも俺が何の罪で拘束されてるかの方が疑問だ。

「いや現行犯逮捕ってなんの罪だよ!」

「私を差し置いて他の女にデレデレした罪だ。無期懲役刑もしくは死刑だな」

萌は冷徹なジト目で罪状と量刑を告げた。

「はぁぁぁ!?」

こうして俺は裁判で無期懲役を言い渡され獄中でその生涯を終えたのだった…



「おい起きろ坊主。彼女が来たぞ!」

「いや私彼女じゃ無いですから!」

そんな声を聴いた気がして俺は瞼を開ける。こちらを覗き込む宇佐美さんと目が合った。部屋の入り口付近には萌も立っている。ここはどこだ?サークルの部屋?裁判所?もしや刑務所か?いや例のタイ式マッサージ店の一室だった。良かった、あの逮捕劇は夢だったようだ。

「起きたか。喉の調子はどうだ?」

気が付くと喉の痛みが無くなっていた。上半身を起こしてから恐る恐る声を出してみる。

「あ、あー、えっ声出てる!?」

「どうよ、これが俺の異能、幸福をもたらす宿(ロベルジュ・ボヌール)のパワーよ!」

「宇佐美さんは膝枕をした人間の回復速度を向上させる異能者なんですよ」

と萌に説明されたが、字面にするととんでもない異能である。異能者は最初異能を持っている自覚は無く、たまたま異能が発動したことでそれを知覚するはずなのだが、宇佐美さんの場合どうやってこの異能を発見したのか、異能を自覚する前に怪我人を膝枕したことがあるのだろうか。

「ところで坊主、名前は?」

「俺は佐藤響って言います」

「響か!良い名前だな!俺は宇佐美(うさみ)剛輔(ごうすけ)っつーもんだ。これからよろしくな!」

「これからと言っても響さんは一般係に入るわけじゃ無いんですよ」

萌の口から一般係という聴いたことのない単語が出た。警察の部署の1つなのだろうか。

「うん?この坊主は入らないのか?まあチビでヒョロガリで頼りなさそうだもんな!」

中高大全て文化部系なのでヒョロガリの否定はできない。しかしチビに関しては俺にはまだ第二次成長期が来てないだけなはず、多分、恐らく。宇佐美さんの言葉に少しイラッとしながら聞く。

「言い方酷くないすかー?ところで一般係って?」

「うん?お前知らないのか?俺達みたいな異能を持つ一般人が捜査を手伝っている部署の事だよ」

「あっ宇佐美さんそれあんまり言っちゃだめで…」

萌が制止しようとしたが宇佐美さんはもうほぼほぼ喋りきっていた。

「うん?言っちゃだめだったけか?あーすまんすまん。坊主、忘れろ」

「いやいや無理があるって!」

かくして俺は警視庁公安部特異課一般係の存在を知った。身辺調査が優良でかつ異能が有用である場合、公安部から直接捜査協力しないかとスカウトが来るらしい。…俺は素行が悪くて異能が雑魚かったのだろうか。萌も宇佐美さんもこの一般係所属で、身分的には警察官ではないが働いた分日当で給与が入るそうだ。下衆にも儲かりますかと聞こうとした俺を宇佐美さんは手で制した。

「坊主、黙れ。誰か来るぞ」

確かに足音がする。この部屋にいる3人全員が警戒して入り口を注視する。声の主が現れた

「うっ…ウサミサーン…マタキタ。モウ私コンナノイヤデスー…グスッ…」

ナターシャだった。手には手紙のようなものを持っており、顔にかかった布越しでも目尻に涙が浮かんでいるのが分かった。宇佐美さんは険しい表情でその手紙を受け取ったが開きはしなかった。

「あんのクソ野郎!またやりやがったか!」

宇佐美さんの怒鳴り声に驚きながらも聞く。

「なにかあったんですか?」

宇佐美は空を睨みながら説明してくれた。

「ストーカーだよ。ストーカー。うちは正真正銘ただのマッサージ屋なんだが、初めて来る奴は勘違いしてる場合もあってな、以前ナターシャが接客した男もそのうちの1人だったんだ。もちろんすぐにお引き取りいただいたんだが、それ以来不審な手紙を送ってきたり付きまといを繰り返してる」

「そんな、酷い…」

萌の呟きに頷きながら宇佐美さんは続けた。

「もちろん警察にも相談して何度かとっ捕まえようとしたんだが、全て上手くいかなくてな」

「上手くいかない?」

俺の疑問に宇佐美さんは更に表情を曇らせる。

「ああ。その男はやけに人の気配に敏感で、ナターシャ以外に気配があると全く近づいて来ないらしいんだ」

「常に1人の所を狙うと。確かに難しいですね」

「うむ。そもそも俺としては大切な従業員を囮にして捕まえることもできれば避けたいんだがな」

宇佐美さんは心の底からナターシャを危険な目に遭わせたくないようだ。それに対して俺は絶賛行方不明事件の囮なんだけどな。俺は囮、ん?待てよ?俺が囮?


 夜7時。季節外れの暑さは夕暮れと共に収まってきた。そろそろ愛しのナターシャちゃんの退勤時間だ。良し、出てきた出てきた。周りに変な男はいないな?おや?今日はベリーダンス衣装の上にジャージを着たまま退勤するのか?僕へのサービスなのかな?胴体のジャージと顔の布の日常と非日常のコントラストがいいね!ナターシャちゃんの後をつけゆっくりと歩き始める。ナターシャちゃんは人気の無い住宅街を奥へ奥へと進んでいく。これはナターシャちゃんと2人きりになって思いを伝えられるチャンスだ!けど僕は至って冷静。まずは周辺の安全を確認しなきゃだよね。

「これが僕の異能だよ。15メートルレキサーチ!」

異能を発動する。僕の眼鏡に僕の半径15m以内にいる人数と方向が映し出される。正面の方向に1人。これはナターシャちゃん。三時の方向に3人。これは隣の家の家族かな?六時の方向に1人。あっサラリーマンが後ろいた。邪魔なんだよお前、僕の恋路を邪魔するなよ。気が付くとナターシャちゃんは移動している。待ってよー。ナターシャちゃんは小さな神社へ向かった。お参りかな?…ちょっと待てよ。ここって基本無人の神社だよね!

「10メートルレキサーチ!頼む頼む…!」

眼鏡に映ったのは正面の1人のみ。やった!ついに2人きりだ!そうだどうせならナターシャちゃんをびっくりさせちゃおう!石灯籠や木を利用して隠れて近づいちゃうぞー!あれ、これほんとにナターシャちゃんかな?似てる別の人に見えてきた。毎日見てるから細かな違いも勿論分かるよ。けどこれはナターシャちゃんの衣装だしなー。どうなんだろう?そう思ってたらナターシャちゃんが僕に背を向けたまま口を開いてくれた!

「カッコイイオニーサン!キテクレタノネー!」

この声だ!僕があの日聴いた瞬間一目惚れ、というかこの場合一聴き惚れしたこのたどたどしい感じ!ああかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいよー!ナターシャちゃん!僕もう我慢できないよー!

「ナターシャちゃん!好きだー!」

僕はナターシャちゃんに駆け寄った。ナターシャちゃんは振り返ってくれて…右脚で僕の顔に強烈な回し蹴りを喰らわせた。僕の眼鏡が吹き飛ばされて境内の玉砂利に転がる。…えっ?回し蹴り?なんで?この子はナターシャちゃんじゃ無いの?なんでなんでなんでなんでなんで?

「夢は終わりだ。目ぇ覚ませ、ストーカー野郎」

ナターシャちゃん姿をしたそいつは男の声で言った。というか布で見えなかったけど顔も男だ。…こいつはナターシャちゃんじゃない。汚わらしい男だ!けどなんで?さっき聴こえたのは完全にナターシャちゃんの声だった。はっ!

「お前も異能者だな!騙したのか!」

僕は怒りに震えた。こいつは異能でナターシャちゃんの神聖な声を真似やがったんだ!このクソ男め!眼鏡を失くしたし薄暗いのもあって良く見えないが、僕の恋路を踏みにじったこのクソ男が正面にいることだけは分かる。僕は拳を握り込む。こいつに正義の鉄槌を喰らわせてやるんだ!僕は殴りかかった。しかしクソ男は僕の狙いすましたストレートを避けた。こいつ僕の一撃を避けたとき、なんか異常に息を吸ってないか?そんな事を思うのは一瞬だった。クソ男が僕のストレートを避けやがったせいで僕はバランスを崩し転んだ。そして僕が地面に着地した瞬間だった。


「オラァァァァ!!!」


耳が痛くなるほどの爆音。カラスは驚いて飛び立ち、木は怒るように揺れる。こんなものを至近距離で喰らえば気絶してしまう!…はずだけど僕は無事だった!幸運にもパンチを外し転んだおかげでこのクソ男の臭そうな口から距離を取り、汚い叫びを緊急回避できたんだ!運は僕に味方した!いや運というよりは僕の本能の頭脳プレーかな!良く見るとクソ男が口から血を吐いてふらついてる!僕が転んだように見せかけて緊急回避したのを見て驚いてるぞ!後はクソ男にトドメを刺して華麗に去るだけだね。今度は外さない。僕の鋭い拳がクソ男に襲いかかる。じゃあな!クソ男、いやクソカス男、いやクソカスゴミ男!僕の一撃でノックアウトをしてやるんだ!その時突然僕の右腕に植物のツタのようなもの飛んできて絡みついた。腕が動かせない。は?なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで?ツタがやってきた先を見ると、デカいハーレーとそのサイドカーに乗っている男女2人。運転手の男は見覚えがある。ナターシャちゃんのお店の店主であの日僕を追い出してナターシャちゃんとの仲を引き裂こうとしたハゲだ!サイドカーに乗っているはボブヘアーが似合う眼鏡の女の子。あれ、ナターシャちゃんの次くらいにかわいいなあ。あの子の手からツタが伸びて僕の腕に絡みついていた。つまりこのツタはあの子の手のひらや指?なら悪い気分はしないなあ。じゃないじゃないじゃない。このツタの拘束を解かなきゃいけないし、そもそもなんであいつらはここに?僕の異能、レキサーチに狂いはないはずだろ?まさかあいつら僕の異能の範囲外で待機していた?ならなぜこんなタイミング良く現れられる?…あ!このクソカスゴミ男の叫び声かよぉぉぉ!この男の狙いは僕への攻撃だけじゃなかったんだ!援軍を呼んでいたんだ!気づいた頃にはすでにツタは僕の全身に巻き付いていた。あの眼鏡の子に全身触られてると考えれば悪くない。仕方ないから僕の敗北を認めよう。


 俺が目を覚ますと相変わらず宇佐美さんの膝の上だった。どれくらい寝たのだろう。喉の痛みだけでなく、朝に(わたり)という刑事に会い萌達に護衛される事となり、ひったくり犯とストーカーも制圧した――そんな色々ありすぎた今日一日の疲れもかなり軽減されている。

「おう起きたか。そろそろ日付変わるぞおい」

「ふぇ?えっすいません寝すぎました!」

俺達がストーカーを本職の警察に引き渡しタイ式マッサージ店ドルチェに帰ってきたのは午後8時。そこから4時間ほど寝ていた訳だ。萌は帰宅したのか部屋には俺と宇佐美さんだけだった。

「もしかして、俺が膝で寝てる間宇佐美さん寝れてないですよね?まじごめんなさい!」

「気にすんな。幸福をもたらす宿(ロベルジュ・ボヌール)は誰も拒まない。俺もこういうの慣れてきたから正座しながらうたた寝ぐらいはできるしな!」

膝枕を極めれば正座しながらうたた寝できる。そんな事実に驚きつつ宇佐美さんにお礼を言って帰ろうとする。

「あっそうだ坊主、あれは悪かったな」

店の出口に立った俺に宇佐美さんが声を掛けた。

「ん?あれって?」

「あれだよあれ、お前を頼りなさそうって言ったことだ。ナターシャのフリをするから衣装を貸せって言い出した時は新手の変態かと思ったが、完璧な作戦だったしお前の男気も感じたぜ!ありがとうな。お前はチビでヒョロガリだけど頼れる男だ!」

「チビでヒョロガリは否定しないんすね…」

「まあ事実だからな。チビはどうしようもできねえがヒョロガリを克服してえなら俺と筋トレでもするか?」

「あー、それはまたの機会で」

宇佐美さんと別れ家路に着く。12時過ぎの繁華街は未だちらほら店の明かりが付いている。流石は眠らない街だ。通りに出ると反対側にスカジャンで野球帽を目深に被った男がいた。俺は家へ向かい歩き出す。そういえば今日はナターシャのフリをする準備をしていたから銭湯に行けなかったな。明日の(というか日付的には今日)の朝一に行くか。そんな事を思っていると、電気の消えたビルの窓ガラスの反射が俺の背後にいる男を映す。誰かに付けられていた。

皆様は異能バトルにおいてほぼ必ず存在する役割をご存知ですか?そう、それは回復役です!互角の闘いを演出するには味方側の負傷も不可欠ですから、回復手段があった方がやりやすいのです!しかしいわゆる回復ってのは清楚なお姉さんの手から光がぽわー的なものが多いんですよ、私はそこに疑問を呈したい!ゴリマッチョの膝枕で回復したって良いじゃないか!(?)というわけで今回のお話は前半は膝枕シーン、後半はストーカー君目線で書いた戦闘シーンでした。ほんとは過去のストーキング場面の回想も書きたかったんですけどストーカー君とナターシャしか登場しないシーンが長すぎる気がしたのでカット。変わりに目線をストーカー君にする事で地の文を気持ち悪くしてヘイトを高めていく作戦にしました。我ながら気持ち悪い文だった…次回はいよいよメインキャラが全員集結!大筋の行方不明事件も動き出します。ではまた!

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