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夜更けのルミエール〜花と珈琲を愛する年下の店主が淹れるハーブティーは、忘れかけていた恋の味がした〜  作者: 寝不足魔王


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第28話:宇佐美の告白と、冷えた指先

お読みいただきありがとうございます。

第28話は、宇佐美の真意が明かされる衝撃の回です。

彼が志保を追い詰めていた本当の理由。それは、歪んだ羨望と執着でした。


 視界が雨で白く霞む。

 寒さと情けなさで膝が震え、その場に崩れ落ちそうになった時、頭上を叩く雨音がふっと消えた。


「……何をしてるんですか、こんなところで」


 低く、抑揚のない声。

 見上げると、紺色の傘を差し掛けて立っていたのは、宇佐美君だった。

 彼は雨に濡れる私を、ひどく冷めた、けれどどこか熱を帯びた瞳で見下ろしていた。


「宇佐美、君……」

「無様に濡れ鼠になって、あの店主でも待っているんですか? 無駄ですよ。あんな男に、今のあなたを救う力なんてない」


 彼は傘を私の方へ傾け、逃げ場を塞ぐように一歩踏み込んできた。

「あなたの担当を奪ったのは僕です。……そうすれば、あなたが僕を見ると思ったから」


 耳を疑った。

 彼は困惑する私を嘲笑うように、さらに言葉を重ねる。

「一ノ瀬さん、あなたの負けです。仕事も、プライドも、もうボロボロだ。……でも、そんなあなたを一番理解しているのは、あの優男やさおとこじゃない。ずっとあなたの背中を追って、あなたの完璧さを壊したいと願っていた僕だ」


 それは、愛などという綺麗なものではなかった。

 有能な上司に対する、呪いにも似た歪な執着。


「あの店へ行くのはもうやめてください。僕が、あなたをさらなる高みへ連れて行ってあげる。そのためなら、僕は何だってする」


 宇佐美君の手が、私の濡れた肩に置かれる。その指先は、雨よりもずっと冷たく感じられた。

 ルミエールの窓から漏れる温かな光と、目の前の底冷えするような支配欲。

 

 私は、自分が何を選択すべきなのか。

 濁流のような現実に飲み込まれ、ただ震えることしかできなかった。


第28話、いかがでしたでしょうか。

宇佐美くん、ただのライバルではなく、かなり重たい感情を抱えていましたね。

追い詰められた志保。瀬尾との絆は、このまま宇佐美によって断ち切られてしまうのか……。


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