第24話:若さという、残酷な輝き
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第24話は、瀬尾の妹・結衣の登場です。
悪意のない若さが、かえって志保の隠していたコンプレックスを容赦なく暴いていきます。
宇佐美君の巧妙な包囲網によって、私は会社で少しずつ浮いた存在になりつつあった。
そんな荒んだ心を引きずって、私は閉店間際の『Lumière』を訪れた。
けれど、そこで目にしたのは、いつもの穏やかな二人だけの光景ではなかった。
「お兄ちゃん、このブレンド最高! やっぱり天才だね」
カウンターに座り、身を乗り出して瀬尾さんに笑いかけているのは、二十代半ばとおぼしき若い女性だった。
瑞々しい肌に、流行を取り入れた柔らかな服装。彼女が動くたびに、若さ特有の弾けるようなエネルギーが店内に満ちる。
「……一ノ瀬さん。お疲れ様です」
私に気づいた瀬尾さんの顔が和らぐ。けれど、その隣で女性が私に向けた視線は、好奇心と、そして残酷なほど無邪気な「品定め」の色を含んでいた。
「あ、この人が噂の? ……初めまして。私、瀬尾の妹の結衣です。お兄ちゃんから聞いてました、すごく『お仕事ができる』綺麗な方だって」
妹。その言葉に安堵したのも束の間、彼女の放った「お仕事ができる」という形容詞が、今の私には皮肉のように突き刺さった。
彼女の瞳には、私のような三十八歳の女が必死に守っているキャリアやプライドへの共感など、一ミリも存在しない。ただ、自分にはまだ縁のない「過去の遺物」を見るような、眩しすぎる輝き。
「結衣、志保さんは疲れてるんだ。あまり騒ぐな」
「もー、お兄ちゃん過保護! 志保さんも大変ですよね、その年齢でバリバリ働くのって。私なら絶対無理だなぁ」
悪気のない、けれど逃げ場のない言葉。
瀬尾さんが慌てて私をフォローしようとする姿さえ、今の私には惨めに思えてしまった。
鏡を見なくても分かる。今の私は、宇佐美君との戦いで疲れ果て、目の前の彼女が持つ「未来」という輝きに、完敗している。
瀬尾さんが淹れてくれたコーヒーの香りが、今日だけはひどく遠く、他人事のように感じられた。
第24話、いかがでしたでしょうか。
仕事でのダメージがある時に、若くて無邪気な存在と対峙するのは、なかなかに堪えますね。
「志保さん、負けないで!」と応援したくなる回です。
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