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神の国  作者: 五十鈴


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8/12

就職1日目

この世界に来てからすぐに大変な目に遭い、命からがら帰ってきたウィータとムラクニ。先ほど出会った酒場の店主に頼ることになり、なんやかんやあってそこで二人とも働くことになった。店主であるジュール・ダズレインとその娘のエルフィナ・ダズレインと一つ屋根の下で、しばらく暮らすことになるのだった。

 朝、窓から入る日の光がウィータの目を覚ました。部屋を出て廊下へ出ると、何かを焼く音と良い匂いが漂ってくる。それに釣られて匂いのする方へフラフラと行くと、ジュールさんとエルフィナ、そして卓上に並べられた美味しそうな朝ご飯があった。


「おはようございます、ジュールさん。と…エルフィナ」

「おぉ、ウィータか!おはよう!」

「あ、おはようウィータお兄ちゃん!」


エルフィナが夢中で食べていた手を止めて、口を拭いながらこちらを向いた。無邪気な笑顔が輝かしい。


「パパの作るご飯はね、すぅごく美味しいんだよ!ウィータお兄ちゃんも食べようよ!」


にこやかなエルフィナの口をジュールさんが拭って汚れを落とす。それでも作って貰うのはなんとなく悪いなと思った。


「いや上がらせて貰ってる側なので、飯もなんて…」

「いや遠慮なく席に着いてくれ。いまから作ろうと照るとこだったんだ


ありがたくも待つことにした。すると、ものの数分で黄金色に輝き、幸福の甘い匂いのするフレンチトーストが前へ出された。ウィータは今にも溶けてしまいそうな表面にかぶりついた。


「…んん!おいしぃ」


ウィータは噛みしめるようにそう言った。そこへ甘い匂いにつられてもう一人やって来た。


「羨ましいなウィータ。拙者の分もお願いしたい」

「もう出来上がってるよ!」


ムラクニの前にもフレンチトーストが出される。


「では拙者も…」


 ゴクッとよだれを呑み込み、大きく口を開けて頬張った。


「これは…!中から甘い卵液が溢れ出てくる。それでいて雲のように軽やかで柔らかく、次々に口へ運んでしまう…!」


夢中で食べ進めながら思ったことを口からこぼして、それはもう美味そうに食べていた。

ジュールさんもそれを見て笑いをこぼしながらニコニコしていた。ムラクニの嬉しそうな姿を横目に見ながら僕も一口ずつ噛みしめる。しかし、少しするとムラクニの手が止まった。


「美味しいのに…これだけのものを食べきれないだと…!?、なぜだ、別に拙者は小食ではないはずなのに」


ムラクニが困惑しているところに、ジュールさんが肩を叩いた。


「そんな気に入ってくれるとは思わなくて使っちまったぜ」


使っちまった?


「ん?そうか、教えてなかったな。俺の作るモノには何でも誰でも満腹にする力が宿るんだ。まぁ正確に言うと、手で触れて、そうしようと願うと出来るような力だ」


この異世界に迷い込んでから幾数時間、いよいよファンタジーな話が出た。いや、すでに一度ムラクニのアレを見ていたか…


「例えばここにあるパンに触って…俺が食えば…」


ジュールさんの腹がポコッと浮き上がる


「こんな感じで膨れるんだ」

「なるほど…通りでこれ一つで満足しちゃったんだ」



そして、皆で卓について話し合い、一通り笑い合った後に開店準備を一緒にやった。

一段落つき、店の扉に付けてあるプレートをひっくり返してオープンさせる。


「この店って普段はどんなお酒や食べ物を売ってるんですか?」

「そうだな…酒はエールやラガー、サワーとかのビールが多いな。上品な奴は赤白ワインとかウィスキーをちびちび飲んでたりする」


「聞いたことない酒が多いな」


横からムラクニも聞きに来る


「そうか?まぁ酒以外にも、ミートパイとかプレッツェルとかウィンナーとか、つまみになるような食い物も売ってるな」


そう言いながらパイ生地を出して下準備を見せる。


「そして…!この店ではどんな物も一律10銀貨!」

「それって安いのか?」


そうムラクニが聞くと、ジュールさんはカウンターの奥においているパンを指でさして視線を向かせる。


「あのパン1個が大体2銅貨だ」

「レートって…」

「10銅貨1銀貨だな」

「「と、言うことは…」」


二人は同時に頭を動かした。

ぼったくりバーじゃねぇか!


「おい何だよその目!うちはちゃんとした憩いのバーとしてだな…!」


弁明に冷たい視線が向いていく。


「そう、憩いのバーとして最初は落ち着いた空間を楽しんで貰うために値段は教えず金を気にさせず…その気にさせずに長~く楽しんで貰い…最後にさりげな~くちょっと高めに貰うだけの至って普通の店だ」


だからぼったくりバーじゃねぇか!!


兎にも角にも、そんな思ったより胡散臭かった店で二人は働くことになった。ウィータがホール、ムラクニが掃除兼エルフィナのお世話係だ。開店からしばらくして、客が入るようになり、止めどなく店を回し続けた。

大変だったが、客とふれあううちに、そんな労働が楽しめるようになった。

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