高まる士気と、コートに響く号令
合同交流戦の開催が決まった翌日。
放課後の部室前に集まった部員たちの前で、美咲がキリッとした表情で口を開いた。
「みんな、連絡事項があります! 2週間後の土曜日に、うちのテニスコートで『修徳館中等部』と『紫苑女子中学校』を迎えて、3校合同の交流戦を開催することになりました!」
美咲の発表に、部員たちの間にどっと歓声とざわめきが広がった。
「えっ! 修徳館と紫苑女子!?」「県内トップクラスの強豪じゃない!」「すごい、同時に試合ができるなんて!」
「当日は男子テニス部がお休みだから、男子のコートも全部借りて大規模に開催するわ。全コートをフルに使って、シングルスもダブルスもどんどん回していく予定だよ」
美咲の頼もしい言葉に、部員たちの瞳が一気に輝きを増す。
「修徳館はみんな知っての通り、圧倒的なパワーテニスを仕掛けてくる。でもみんなの実力なら十分対策できると信じているよ。そして紫苑女子は巧みなダブルスワークが特徴よ。これからダブルスで活躍したいのであれば、彼女たちのプレーは絶対に参考になると思うから、全力で挑んで、相手のいいところ全部ものにしなさい!」
普段は大会のトーナメントでしか当たらないような相手と、ホームのコートで心ゆくまで打ち合える。そんな大きな期待が膨らむので、2週間後を待たずして部員のモチベーションは最高潮へ達していた。
「交流戦までのあと2週間、各自でしっかりとテーマを持って課題に取り組み、最高のコンディションを整えておいてね。……よし、それじゃあ今日の練習、気合入れて行こう!」
「「「はいっ!!」」」
美咲の号令とともに、部員たちの威勢の良い返事が冬のグラウンドに響き渡る。
「みゆ、美咲! 3校合同なんてよく実現できたね!」
「私たちが前回の大会で全国準優勝という好成績のおかげなの。修徳館も紫苑女子もどちらからもオファーが来ていたのよ、でも2校とも嫌らしい動きしてくるからね……! 負けてられないわ!」
コートへ向かいながら、奈緒と莉奈が嬉しそうに拳を握りしめる。
「ふふ、二人とも気合十分だね。紫苑女子のダブルスはすごく勉強になると思うから、しっかり仕掛けていこうね!」
「うん! 私たちの新連携、どこまで通じるか試してやるんだから!」
夕日に照らされたコートに飛び出していく仲間たちの背中を見つめながら、私と美咲はお互いに頷き合った。
全国準優勝という看板に恥じない戦いを見せるため、そして春からの新チームをさらに強く大きく育てるため──。
ラケットを固く握り直した私たちは、いつも以上に熱を帯びた打球音が交錯するコートへと駆け出していったのだった。




