総理大臣、内閣制度について、各国の事情について
約3ヶ月に及ぶ航海と、陸路の移動を経て、我々はイギリスのロンドンにたどり着いた。
本物の伊藤博文に憑依した、自分、伊藤博文(?)が語る。
伊藤博文(自分)
「ここが、1862年当時のロンドンか。」
伊藤博文(本物)
「ああ、そうだ。そしてあれが、お前が前世でのイギリス旅行で見てきたという、
ビッグベンだ。」
伊藤博文(自分)
「しかしまあ、俺も伊藤博文、あんたも伊藤博文、どちらも全く同じ名前で、出身地も全く同じで、生きてきた時代だけ違うというのも、なんだか紛らわしくないか?」
伊藤博文(本物)
「これより、留学生を出迎える晩餐会に出席する。
その後、ビクトリア女王に謁見し、それから本格的に授業を受ける。」
まず髪型はというと、髷を切り、短髪にしていた。
服装は、蝶ネクタイというものをして、
燕尾服というものを着ている。
その日の夜は、晩餐会。
西洋料理はやはり口に合わぬと、他の者たちがぼやいていた中で、一人だけ西洋料理を食べ慣れた感じで口に運び、使い慣れた感じでナイフとフォークとスプーンを扱う者がいた。
それが、自分、伊藤博文だ。
その後、裏でこっそり、炊いた米の飯を皿に盛り、箸で食べた。
「んー!やはり、これがうまい!」
翌朝、ビクトリア女王に謁見する。
女王の脇にいたのが、おそらくイギリスの総理大臣だろう。
総理大臣といえば、幕府なら将軍か老中、朝廷なら太政大臣といったところか。
将軍の息子が次の将軍、老中の息子が次の老中、太政大臣に至っては、何もすることが無ければ空位のままだった。そんな時代が、日本では長く続いてきた。
ビクトリア女王は、イギリス公使パークスに手紙を書くから、帰国した後に手渡してくれと言った。
幕府に代わる新政権を作るために協力してほしい、という内容だった。
一方で、他国の事情についても知る。
フランスでは、1789年に革命が起こり、王政が廃止され共和制となったが、その後にナポレオン・ボナパルトが皇帝になった。
ナポレオン亡き後は王政が復活したが、その後、
1830年の革命でフランス王家は断絶に追いやられた。
1848年にも革命が起こり、王政は完全に潰され、大統領制になったが、
その後、ナポレオン3世が皇帝になった。
アメリカ合衆国は、1776年に独立戦争を始め、
1783年に独立を認められた。
国王は置かず、大統領が国家元首となった。大統領は、4年に1度の選挙で決められるという。
その後、イギリスから植民地を割譲して領土を拡大していく。
エイブラハム・リンカーンが大統領になると、南部の各州は反乱を起こし、南北戦争の真っ最中だという。
他の国にも、いろいろと事情があるものだなと思った。
まさか、日本もこの先、大統領制になることも、無いとはいえない。




