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時空の三連星 第4章 あらすじ 第1話

第4章全体のあらすじ



異界の十年無双を経て凱旋したシエルを迎え、神王・駿しゅんの血脈は新たなる『サブライム(至高)家』として現世にその名を刻む。正妃シズの遠縁である執事セルの統括のもと、婿養子となったカイルとガイ、そして赤髪・金髪へと超進化した姉たちは、現世に現れた魔王の残党・五千の魔獣をわずか二日で隠蔽いんぺい討伐する。

一方、シズの冷徹なる謀略により、魔王の不手際の責任を取らされる形でサブライム家へと召喚された魔王の娘・サキュバスのリリ。カイルへの淡い恋心を抱くリリだったが、シズの圧倒的なきさきの威厳と、目の前で繰り広げられるカイルとの濃厚な「躾の営み」に精神を完全に破壊され、アオイの妖艶なオイル調教によって、一族の愛玩として飼い慣らされていく。

次期当主としての自覚をシズに厳格に叩き込まれるシエルと、弟の言葉に初めて女として覚醒していくハル。至高なる一族の、本能と調律の第四幕が上がる。





             《時空の三連星》


第4章 


第1話:至高サブライムを継ぐ者たちと、魔王の謀略



新たに、サブライム家の屋敷には一人の執事しつじが雇い入れられていた。

名を、セル・サブライム。

正妃シズの遠縁とおえんに当たり、他ならぬ神王・駿しゅんの家系に連なる男である。

(駿自身、その血筋にクォーターとしての異邦の血を宿していた)

セルは主に、生前の駿から預かっていた膨大な財政管理を任されていた。

その経歴を活かし、現在の屋敷でも税務管理、財務会計、さらには法律事務(弁護士的業務)のすべてを一手に担当している。

駿の忘れ形見たちの資産と特権を裏から守るため、これ以上ない適任者であった。

これに伴い、一家は現世において正式に『サブライム家』を名乗ることとなる。

シズ・サブライム、アオイ・サブライム、ハル・サブライム。

そして、異界の十年無双を経て凱旋がいせんした、シエル・エア・サブライム。

駿の正統なる継承名を名乗るに当たり、彼女たちの伴侶となったガイとカイルの二人は、婿養子むこようしとしてこの至高の血脈に迎え入れられた。

館内の一廓かくにある、シズの重厚な執務室。

そこではシエルが、己が過ごした「異空間での十年の歳月」を思念圧縮報告しねんあっしゅくほうこくという超高等術式によって、シズへ直接伝達していた。

それと同時に、自室で探究解析たんきゅうかいせき中のハル、そして鍛錬に励むアオイの脳内にも、同じ思念がリアルタイムで共有されていく。

シエルの壮絶極まる生き様、その地獄のような戦いの記憶を脳内に直接流し込まれたカイルとガイは、あまりの規格外の神威しんいに全身をガタガタと震わせ、ただただアオイの顔を見つめることしかできなかった。

アオイは、ひるむ二人の婿養子を冷徹に見据え、誇らしく、しかし静かに言い放った。


「これがファースト・エア(嫡男)たる、我が実弟シエルです。良くて……」


圧倒的な実力差を見せつけられたカイルとガイは、喉を鳴らし、異口同音いくどうおんに頭を垂れた。


「「ははっ!」」


今の二人には、そう返すのがやっとだった。

カイルは冷や汗を流しながら、己の胸中で戦慄せんりつする。


(聞き及んではいたが、シエル様がこれ程とは……。あり得ない、人間業じゃない……!)


そしてガイも、普段の無口さを忘れて激しく動揺していた。

(何だそれは……。百歩、いや千歩譲ってもあり得ない。有って成るものか。未だに信じ難い、マジかよ……!)


だが、二人が狼狽ろうばいするのも仕方のないことだった。

相手はあの駿の忘れ形見であり、女帝シズの最愛の嫡男・シエルなのだから。

しかし、シエルが戦っていた相手――異世界の魔王もまた、ただ排除されたわけではなく、極めてしたたかであった。

魔王がシエルをこの現世へと帰還させたのは、ある高度な計算を講じた結果だったのだ。

現世では、まれに地下深くから魔獣まじゅうが現れては暴動を起こしていた。

この魔獣たちは、実に五千年前に魔王が放ち、地下深くに生息していた軍勢の残党、約五千体であった。

魔王は、自分と同等以上の力を有するシエルならば、これを容易く討伐とうばつできるはずだと踏んだのだ。

魔王自身もシエルとの死闘により魔気を大量に消耗しており、その回復には二百年から三百年はかかる。

何より、純粋な武力においてシエルが己にまさっていたため、堪らなくなった魔王は、仕方なく和睦わぼくを提案したというのが真相だった。

もちろんシエルにとっても、愛する家族の元へ帰還できるという大きな利があった。

そして現在。現世のあちこちの街で、魔王の目論見もくろみ通りに五千の魔獣が暴れ出し、被害が出始めていた。

机上の報告書に目を落としながら、正妃シズが静かに口を開く。


「シエル、ちまたで魔獣が暴れていますね。まだ被害は少数ですが、それなりの考慮が必要ですし、捨置すておくことは出来兼ねます。……このことは、貴方に起因しているのでしょう。魔王の思惑通り、すべて討伐しなさい。これも修行の一環です。カイルとガイを同行させなさい」


シズにはすべてがお見通しだった。

だが、シズなりの深い考えもあり、あえて魔王の思惑に乗ることにしたのだ。

討伐とうばつの舞台となったのは、広大な山岳地帯。

その状況を、アオイとハルの二人は遥か山頂の特等席から、冷徹に監視していた。


「まさか、これ程とはね……アオイ」


「そうね、なかなかね……ハル」


二人は今や、お互いを親しみを込めて名で呼び合うようになっていた。それは母であるシズに対しても同様だった。

退行鍛錬を経て、最早もはや単なる親子という枠を超え、共に高みを目指して精進しょうじんし合う「同士どうし」となったからである。

サブライム家全体のパワーバランスが、ここにきて美しく均一化されつつあった。

だが、名で呼び合ってはいても、そこには確固たる礼節と敬意が美しく存在している。

魔王の意図によって暴走を始めた五千の魔獣。国家がその最大戦力を投入しようと右往左往する矢先に、シエルはそのすべてを、わずか二日ほどで文字通り「瞬殺」してしまった。

(なお、この事実はセルと行政の手によって、完全に隠蔽いんぺい処理済みである)

十年間も異界の化け物どもと戦い続けてきたシエルにとって、こちらの現世の魔獣など、ただの「雑魚ざこ」に過ぎなかった。

結果として、現世の被害は最小限――実質「皆無かいむ」に抑え込まれた。

「良くやり遂げたね、シエル」


「はい、アオイ姉様」


「見てて安心出来ましたよ、シエル」


「そうでしたか? ハル姉様」


はたから見れば、実に見事な、ごく普通の仲の良い姉弟の光景である。

……その背後で、数千の魔獣の死骸が消滅していくという、やっている事の異常さを除けば。

背後でボロボロになって息を切らせていた婿養子の二人が、へっぴり腰でシエルに声をかける。


「一緒に討伐出来、光栄です、シエル様」


「うん、手伝ってくれてどうもね、ガイ」


「とにかく凄かったです、シエル様」


「ありがとね、カイル」


その和やかなやり取りを聞いていたアオイの額に、青筋が浮かぶ。

アオイは猛然と二人の間に割って入った。


「一緒に討伐うぅ〜! 凄かっただぁ〜! なに舐めた口晒してんだぁ〜! ごらぁ〜!! この役立たずがァーっ‼️」


鼓膜を破らんばかりの怒声が山々に響き渡る。

その後ろから、ハルが静かに、しかし底冷えするような声で補足を加えた。


「貴方がたは、良くやってましたよ。ただ、今少し技のキレが必要に思われます。今後もがんばってね」


究極の、飴と鞭。

アオイに至っては、旦那を尻に敷くどころか、その足で容赦なく踏みにじるほどの苛烈さ。

そして、あの冷徹なハルが、あえて優しい言葉をかけ、微笑みかけている。

だからこそ、ハルなのだ。その穏やかな雰囲気の裏、ハルの目に潜むドロっとした黒いよどみを、心身を共にした彼らカイルとガイは見逃さなかった。

二人だけが理解できる、骨の髄まで凍りつくような恐怖と、脳を焼く高揚感。

彼らは完全に、サブライム家の乙女たちに飼い慣らされていたのだった。

(もちろん、この歪んだ支配関係も、シズはすべて把握済みである)

シズは今回の討伐祝いにと、執事セルと共に、極上のうたげを用意して彼らの帰りを待ちびていた。

セルは心配のあまり、すでに正門の前まで出迎えに出ていた。


「お帰りなさいませ、皆様方。奥にてシズ様がお待ちです」


セルが嬉しそうに深々と一礼する。

アオイを先頭に、シエル、ハル、そしてその後ろをカイルとガイがトボトボと従っていく。


「シズ、只今戻りました」


「お疲れ様、アオイ」


「シズ、流石シエルだったわ」


「ハル、あとで詳細な報告をお願いね」


「母様、今戻りました」


「首尾は順調だったようね、シエル。……貴方達も疲れたでしょう」


シズの労いの視線が婿たちに向く。二人は直立不動で頭を下げた。


「はっ、有り難き御言葉、痛み入ります」


「硬いわね、フフ」


アオイが妖艶に目を伏せて細めむ(ほほえむ)。それを見たハルの目が、怪しく光った。

表の宴が終われば、裏の、本当の「宴」が始まる。

その夜、五人での本能に任せた凄まじいたかぶりが寝室を満たした。

限界寸前までシズが男たちを翻弄ほんろうし、その濃厚な快楽を堪能した後、果てる直前で各伴侶アオイとハルへと引き継ぐ。それがこの屋敷の、自然にして絶対的な流れ。

その後、シズは白銀の髪を持つシエルを愛おしそうに抱き寄せながら、眼前の狂乱の光景を眺めていた。


「シエルご覧なさい。きっと貴方にも、きっと最高の伴侶が……」


「母様、期待してしまいます、僕……」


シエルは熱を帯びた顔で、シズの豊かな胸に顔をわせていった。

眼前で繰り広げられる二組の男女の行為は、シズが随時指示を促し、しつけと慰めの儀式として、夜を徹して行われたのである。









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