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【聖剣の大賢者】君の人生は面白い!〜少年はただ自由に生きる  作者: あっちこっち
九節 始まりの始まり
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親として

王城でマーリンの扱いについて議論がされていた頃ある宿では


「エル父さんあんな感じで大丈夫だったかな?」


「そうだな…問題は無いと思うが、少し問題がなさすぎたかもしれないな。

逆に不信感を与えたかもしれないが、問題にはならない程度だろう」


あーうん確かにそうかもしれない。

《clown mask》で目の前の人と同調しながら話してたし、《明鏡止水》で平常心のまま思考をフル回転で考えてから喋ったからね。

成人したての子共ぽくはなかったかもしれない。


「まぁマーリンがエルファエルに留学することは決まりだろう。マーリンが公開した情報と先程の立ち振る舞いを見てエルファエルが放っておくとは考えづらい。」


「そういえばエル父さんには事前に言ってなかったね。それでどうだった僕の能力は?

想定の範囲内?」


そう僕に問われたエル父さんは少し考えをまとめてから話し始めた。


「そうだなスキルについては想定の範囲内ではあった。強力なスキルが少なくとも三つ以上はあるだろうとな。

しかしジョブは予想外だった。

《大賢者》《剣聖》などの冠位十二階のジョブだと考えていたからな。」


「ははは流石に十二階は行き過ぎでしょ。

そういえば《幻想使い》って何階なの?」


そういえば今まで僕が見てきた本の中に《幻想使い》の記述は見たことがない。

よっちゃんのところで初めてその存在を知ったくらいだ。

謁見の間でも《幻想使い》と言った時には少しだけ空気がどよめいていたし気になる。


「《幻想使い》には冠位は付いていない」


「冠位がついてない?」


冠位がないジョブといえば破階者が思い浮かぶけど《幻想使い》というジョブの名前が付いている以上その可能性はない。

僕が不思議に思っている事もエル父さんはちゃんと気づいてくれたようで補足の説明をくれる。


「すまない冠位が付いていないというのは正しくなかった。正しくは定まっていないんだ。

他にも数種類完全に定まっていないジョブがあるが、殆どの本には著者独自の見解で冠位が設定されている。

だがそれはあくまで個人の見解であって確定した冠位ではないんだ。」


「そういう事。《幻想使い》は何階〜何階が基準なの。」


「私の知っている限りでは二階〜十二階だ。」


「本当に定まってないんだね」


二階〜十二階って差がありすぎる。

十階違えばもう違うジョブだと思うんだけど、同じジョブなんだろうね。

そりゃ定まらないはずだよ。



とそんな事を話しながらも僕とエル父さんは借りている宿の部屋の荷物や家具を移動させて空きスペースを作っている。

シェーラ母さんにルーリィ、ルート兄さんにマエルは買い出しに出かけてもう直ぐ帰ってくるはずだ。 

六人で何をするのかというと僕の成人祝いと六人の再会祝いであり、レストランなどでやるという案もあったけどルーリィを中心とした女性陣三人の反対によりこーいう形でやることになった。

買い出し組と準備組が4・2に別れているのはただ単純にエル父さんと僕二人で今後の予定を話して置きたかったからだ。


「それで話を本題に進めるが、マーリンには来年の三月までに城塞都市ディミトリアに到着してもらう。

そこで北領同盟王国とエルファエルの共同で留学生の護送をする事になっている。」


「までにって事はまた何かしらの課題があるの?

あんまり楽じゃなかったんだけど。」


そう期間を設けての自由行動という事で数ヶ月前の僕はワクワクしていたけど、実際に課題遂行のための旅をしてみてその考えは変わった。

楽しい事もあるけど非常に疲れる。

何度か死にかけたしね。

しかしエル父さんの続く言葉には課題の内容説明はなかった。


「課題はない。北領同盟王国から出ないのであれば完全にマーリンの自由だ。

冒険者登録をするも良い、王都で過ごすのも良い約一年間マーリンのやりたい事をしなさい」


「やりたい事?」


「エルファエルに留学してからではもう私やシェーラの力ではマーリンの自由を保証できない。

全ての選択権がなくなる事はないと思うが縛りは必ずできる。

そういう立ち位置に今のマーリンはいて、そうされるだけの理由となり得る力をもっているからだ。」


エル父さんは作業の手を止めずに、僕の方を見ずに続ける。


「私は北領同盟王国機密情報統制軍所属第一情報収集部隊隊長であり国に忠誠を誓っている。 

その立場から言えばマーリンに対する制約は必要なものだと断言し、完全な自由を与えようとは絶対にしない。」


「そこまではっきりと言われると傷つくよ僕。

時々エル父さんは勘違いしてるけど僕ってけっこう繊細なんだよ」


「ああ知っている。もちろん知っている。マーリンは繊細だ。きっと私が知っている以上にな。」


「いや流石にそこまでは繊細な自信はないよ」


冗談半分で言ったつもりなのに、何故かエル父さんが真面目に肯定してくる。

これはエル父さんが珍しく会話でからかってきているのだろうか?

そんな事を疑ってしまうくらいに珍しい反応だった。


「いやすまない余計な話だった。話を戻すぞ。

職の立場で話せば意見はそうだが、親としては違う。そして今ここでの私は親として話す。

私やシェーラの意見は一致している。

"マーリンには自由な姿が似合う"とな。」


「どうしたのエル父さん。今日すごく………あ〜〜なんと言えばいいのか、すごくすごいんだけど」


「ふっ。今日はどうやら私の調子がいいらしい。

マーリンが私との会話で取り乱すのは珍しいな」


数分後シェーラ母さん達が帰ってきたんだけど、何故か一緒になってからかわれた。

標的を変えるために仕方なくルート兄さんの学園での話をしたりして、被害を緩和させたはずだったんだ。

それなのに話はそのまま僕とルート兄さん、マエル ルーリィの恥ずかしい話の暴露大会になった。  


「(僕の責任なのかな?)」

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