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【聖剣の大賢者】君の人生は面白い!〜少年はただ自由に生きる  作者: あっちこっち
九節 始まりの始まり
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羽化

僕が起きた時僕は知らないベッドに寝転がっていて、知らない天井を見上げている。

そんなこれまで小説と漫画で何十何百と多用されてきたセリフを僕は思い浮かべていた……んだけど。


ウォゲロロロゲボバララゲロロロオボロローー!


僕は目を開いた瞬間から頭に流れてくる情報量に酔い、ベッドから乗り出す様にして体の中にある内容物を吐き出した。


「(頭が馬鹿になりそうだよ。空間同調した時の何倍も詳細な情報が止めどなく流れてくるし、目が熱い)」


目を閉じるとそれは止まったけど、まだ頭がぐわんぐわんする。

とにかく状況を整理するために、空間同調をしようといつものように地面に向けて《把握》をする。しかし


「うっうぅ何でいきなり空間が把握で着る状態になってるのかなっくぅ。

ダメだ慣れない内は範囲を最小限にしないとまともに動けない………。」


こんな状態になった心当たりは一つしかない。

《神眼{把握}》だよね。

読みの意味そのまま《把握》の超絶強化版なんだろうけど強力すぎる。

それ意外にも四つあったけど覚えていないというか、痛みでそれどころじゃなかった。 


「(他のスキルも気になるけどまずは《神眼{把握}》に慣れないと歩くことすらできない。今が何日なのかはわからないけど、そんなに謁見までの時間は残っていないだろうしね)」


僕は把握する範囲を半径1メートルに調節し、自分の嘔吐物を踏まない様にベッドから立ち上がる。

それに合わせる様にして扉が開く音が部屋に響いた。


「大丈夫ですかマーリン。先ほど大きな異音が聞こえましたが?」


「(異音?僕が吐いた時の音かな?シェーラ母さんにしては気付いてからの行動が遅い気がするけど?きのせいかな)」


「起き上がろうとしたら吐いちゃって。これからそれを掃除しようとしてたんだ」


「そうですか。あまり無茶をしない様にしてくださいね、今のマーリンがどの様な状態なのか私には分かりませんから」


そう言ってシェーラ母さんが僕に近づいてくるのは気配で何となくわかっているんだけど、僕はここでスキルに慣れていない故にミスをしてしまった。

《把握》《同調》を使った空間同調はある程度でしか空間内を把握することができない。

これは多分このやり方がバグ技みたいなものだからだと思う。

例えを出すなら、空間内に人がいてもその人の輪郭だけが朧げにわかる程度。モザイクがかかっている様に感じる。

でっ《神眼{把握}》は全てを把握することができる。

目に見える範囲全ての情報を全て一律にクリアな情報を頭に送り込んでくる。

多分小説を開いたらそのページ全ての文字をちらっと見ただけで同時に頭に入ってくるだろうし、髪のシワや印刷のかすみ具合に酸化具合までわかるはずだ。

空間把握がどう感じるかは言葉でいうのは難しい。

言葉にするなら割れないシャボン玉が僕の周りにあるとして、中に入ってきた物体には張り付く。

ぴったりとコーティングするみたいにね。

それらが3D情報として頭に叩き込まれるんだ。


そんな状態の時にシェーラ母さんが僕の空間把握の範囲に入ってきたら、シェーラ母さんの体のラインというかそこら辺が色々と細かくわかってしまう。

自分の母親でしかも美人のそういう事を意識してしまうのは息子としてすごく罪悪感あるし、言葉にできないくらい恥ずかしい。

僕はそれに耐えられず《神眼{把握}》の空間把握をやめた。


「どうしたんですかマーリン?顔が赤いですよ」


「///////////……なんにも、ないよ」


「そうですか……。それと気になっていたのですが目に違和感があるんですか?先ほどからずっと閉じたままですが」


それを説明するには《神眼{把握}》の事を説明しなければいけないんだけど、それをした場合周りがどう反応するのかが僕にはいまいちわからないんだよね。

なら何かしらの理由をこじつけて説明したほうがいいのかもしれないし、教会での僕の姿を見られていることから既に事情はほぼ把握されていて素直に説明した方がいいのかもしれない。

 

僕がどう行動していくのか悩んでいるのが伝わったのか、シェーラ母さんは僕に説明を求める事を止め話を始めた。


「いえ、まずはマーリンが教会で倒れる前後の状況とそれからの周りの動きを説明しておきます。

それがわからなければマーリンも状況を理解できないでしょうから」


「うん。その方が僕としても嬉しいかな」


「えぇでは少し長くなりますからベッドに座ってくださいね」


シェーラ母さんは優しく僕の体をベッドに導いて座らせると、自身もベッドに腰掛けて話を始めた。




「ではまずマーリンが祝福の儀を受けていた時の話からです。

マーリンが片膝をつき祝福の儀が終わるのを待っていた時、マーリンの頭上には他の子と同じ光が現れました。そして大量の淡い光の粒も出現しましたね。」


大量の淡い光の粒ってなに!?

その時点で何かやらかしてたんだね僕。全然気づかなかったよ。


「それと同時にマーリン自身にも異変が起きました。マーリンの体から大量の淡い光が溢れ始めたんです。ここまででわからない事はありますか?」


「全部わからないです。

その淡い光ってなに?シェーラ母さん知ってるの?」


「知識として随分前から知っていますし、マーリンが生まれてから半年間マーリンの体から溢れていたので経験としても知っています。」


「えっ?」


生まれてから半年間の間僕の体から溢れていた?シェーラ母さんが言った意味がよくわからない。

この世界では生まれた時はそんな光が出るのが当たり前なのかと一瞬思ったけど、シェーラ母さんがわざわざ僕個人の名前で説明したと言うことは違うのだろう。

なら僕が聞くべき事は一つ。


「その光ってなんなの?」


光がなんの光でなにを表しているのかだ。


「この場合における淡い光といえば祝福の光と考えていいと思います。

古い伝承や物語などの文献 英雄譚にもしばしば登場していて、考え方としては神様又はそれに類似する存在からの祝福とされている事が多いですね。

現在でも一般的にそう考えられています。

そしてその光を持って生まれた子を祝福の子と言います。

生まれた時から《ジョブ》と《スキル》を持つ子として有名ですね。

他に質問はありますか?」


つまりは僕が普通の子供ではない事は生まれた瞬間にバレていたって事なんだね。

祝福の子である事はバレてると思ってたけど、生まれた瞬間からバレてたとは流石に予想してなかったよ。

僕はマーリンになってから少なからず持ち続けていた一種の緊張感みたいなものを肩から下ろしながら口を開く。


「ないよ」


するとシェーラ母さんは少しだけ微笑みながら説明を再開していく。微笑んでいるというのは雰囲気からそう僕が思っているだけで見えているわけじゃないよ。



「それでは状況の説明を続けますね。

その状況になった瞬間に私と私の師匠でもあるアークビショップの女性で教会内に認識阻害や記憶障害の魔術をかけました。

その後マーリンが倒れるまでの事を正確に知るのは私と師匠だけです。

エルやルート、王にも詳細は伝えていません。」


それは予想していなかった言葉だった。

状況含めた情報がほぼ広まっておらず、僕の意思でどの程度公開するかを決めていいという事だからだ。


「私の師匠は環境によって子供の可能性を摘まれたり、子供の将来を縛る行いを良しとしません。

その考えを私は受け継いでいます。

ですからこの後マーリンが何を明かして何を伏せるのかを決めたらいいですよ、私たちはそれに合わせますから。」


「ありがとうシェーラ母さん。それとシェーラ母さんの師匠さん。」


「また会う機会もあるでしょうからその時に伝えてあげてください。あの人は照れ屋ですからね。

そしてマーリンが気絶した後の話です。

私と師匠には気絶した後も苦しんでいるマーリンに対して何もする事はできませんでした。

ですから今マーリンが生きているのはマーリン自身の力です。」


僕自身の力か。確かによっちゃんは僕が死ぬかもしれないって言っていた。死ぬかと思ったけど生きてるわけだし、まぁラッキーだったってことなのかな?


「そして倒れてから数分様子を見ていましたが目に見える回復は確認できませんでしたので教会の一室に運びました。それがこの部屋です。

マーリン以外の祝福の儀を受けに来た人達はその後少しだけ魔術をかけてから解散してもらい、必要最低限の人たちに必要最低限の説明をしました。」


簡単に必要最低限というけど、それだけの説明でその必要最低限の人たちが納得するはずがない。

僕のその疑問もシェーラ母さんはすぐに汲み取ってくれた。


「説明をしたのは私ではなく師匠です。

師匠は王都の【龍精教】最高責任者で、【龍精教】三大司教の一人です。

ついでに北領同盟王国の教育組合に五人いる最高幹部の一人で王都教育施設の名誉理事長ですから、師匠が言い切ってしまえばそれ以上の追求は出来ないんですよ。」


「シェーラ母さんの師匠色々モリ過ぎだと思うんだけど?どこで出会ったの?」


「ふふっこれでも数年前よりもは役職は減っているんですよ。それと私が師匠と出会ったのは王都の教育施設でですね。少し機会があって当時特別教師として教育施設に来ていた師匠と手合わせをしたのがきっかけです。」


本当に学生時代のシェーラ母さんは血気盛んだった様だ。なんというかうん。きっとシェーラ母さんの方から戦いを吹っかけたんだろうね。


「話を戻しますがマーリンはここで四日間眠っていましたから明日が謁見の日です。

心の準備はできていますか?」


「できてないです」


できているはずがない。

だって文字通り僕はこの四日間意識がなかったわけだしね。

しかしシェーラ母さんは優しい声で厳しい事を言ってくる。


「マーリンが明日までに目覚めなかった場合は後日別の機会を作る予定でしたが、目覚めているなら変更はなしです。

明日までに私が協力してマーリンに心と体の準備を完了させますので安心してくださいね。

これらを聞いた上で私に話しておくべき事はありますか?」


僕は《神眼{把握}》を《真眼{把握}》としてシェーラ母さんに説明し目が開けない事を相談した。

それに加えてどこまでを説明したら大丈夫なのかなどのアドバイスを聞いたり、礼儀作法のチェックもお願いした。


スキル名を誤魔化して言った後にシェーラ母さんはスキルを知ることができる事を思い出し、内心不安だったものの誤魔化した事を指摘される事はなかった。

それとなく話を振ってみたところ、今の僕がなんのジョブでどんなスキルを持っているのかはシェーラ母さんには分からないそうだ。

僕が《真眼{把握}》と言ってからはそのスキルだけは見える状態になったことから、僕には隠匿か隠蔽系スキルがあるのではないかと教えてくれた。



目の問題はシェーラ母さんの提案で封印魔術を施す事に決まった。もちろん僕自身がかけて自由に調節出来るようにしている。

その後はエル父さんやルーリィ、ルート兄さんにマエルとも会い軽く話してから夜まで礼儀作法の練習。

明日の朝に迎えに来ると僕に言い残した後、シェーラ母さんはエル父さんとルーリィがいる宿に戻っていく。

シェーラ母さんは去り際に封印魔術が厳重にかかった円筒を僕に渡していった。

解除方法は僕の魔力によるギミック解除だそうだ。

中身は教えてくれなかったけど、きっと重要なものなんだろう。


僕が得意な魔力操作でチャチャっとギミックを解除して封印を解く。

中には僕が祝福の儀の時に持っていたA4くらいの少し焦げた紙と小さな手紙が入っていた。

手紙の内容はシェーラ母さんもその師匠も紙の内容は見ていないという簡潔なものだ。

流石にここまで苦労をさせておいてそれを疑ったりはしない。けどやっぱり嬉しいものだった。



「さて僕の今の状態を見るとしますかね」


丸まった紙を伸ばしていきながら書かれている内容を確認した。



〜マーリン 

《ジョブ》【深緑の幻想使い】

《スキル》

神眼{把握}clown mask 明鏡止水 鏡花水月

天性の肉体 

【称号】

ユグドラシルの半身 神々の友 祝福の子 逃げのマーリン 女狐・マーリン 儚げな美少女 酒場の天使 運命の開拓者 神獣の父親 


スキルの中に僕が知識として知っているのが一つしかないし、称号の半分くらいふざけてるし、ジョブの説明が雑い。


【深緑の幻想使い】

幻を操る事に特化した魔法魔術使い。

魔力生産量、備蓄量や精神系の魔法魔術へはかなり上昇補正がある。

「(つまりは幻が得意ですよ。魔力方面は精神系だけは優秀ですよ。身体能力はお察しですよ。と書いている。)」


《神眼{把握}》

神の祝福が《把握》へ影響をもたらした事で変化したスキル。

把握能力に特化した神眼であり、現在のすべてを把握することができる。


《clown mask》

神の祝福が《同調》へ影響をもたらし、《同調》を核として《言語》《言語理解》《フィーリング能力上昇》《同時複数情報処理》《礼儀作法》《トリック》《変質》のスキルが合体して変化した合併スキル。

能力は全てのスキルが影響しあっているものの、核は《同調》であり、主な能力は《同調》である



《明鏡止水》

神の祝福が《高速情報処理》《耐性》スキル各種《自戒》《平静》などに影響して変化した合併スキル。

合併されたスキルに核はなく、全てが互いに影響しあって形をなしたスキル。


《天性の肉体》

神の祝福が《身体能力上昇》《身体成長補正》

《魔力生産上昇》《魔力備蓄補正》などに影響して変化したスキル。

身体系最高スキルであり、全ての身体的な上昇能力がある。


《鏡花水月》

肉体や魂に収まりきらない神の祝福が魔法魔術の才能、性格などを指針として形を形成したスキル。

精神や感覚への影響力が上昇する。

また精神影響などの肉体面以外の外部からの影響を防ぐ。


称号にも全て地味に能力があるものの省略。



シェーラ母さんが僕のスキルを見えなかった理由は《鏡花水月》の能力だとわかった。

そして嘘の《真眼{把握}》が見えるようになったのはきっと《clown mask》の能力だ。


僕は仮定を実証するため、目にかけた封印を少しだけ調節して自分の体を見た。

まだ条件はわからないけど少なくとも自分の《ジョブ》や《スキル》はかなり集中すれば見れるようになったらしい。

もちろん僕には《神眼{把握}》と見えている。

そのスキルを《clown mask》を使うようにイメージして《真眼{把握}》に書き換えようとしてみる。

すると《神眼{把握}》は《真眼{把握}》に変化した。

《clown mask》をきったら元に戻った事から僕の考えは合っていたらしい。


「(《神眼{把握}》より《clown mask》の方が便利な気がする。

これなら自分に不都合な事をうまく隠せるし、都合のいい情報を相手に渡せるし一石二鳥だね)」


そうして僕は自分の能力を見られても問題ないものに書き換えてから明日に備えて寝た。



〜マーリン 

《ジョブ》【深緑の幻想使い】

《スキル》

真眼{把握}同調 言語 言語理解 フィーリング能力上昇 同時複数情報処理 礼儀作法 トリック 変質 明鏡止水 最高の肉体 

【称号】

【深緑の大精霊】に選ばれた者 祝福の子 

逃げのマーリン 女狐・マーリン 儚げな美少女

酒場の天使 運命の開拓者 

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