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【聖剣の大賢者】君の人生は面白い!〜少年はただ自由に生きる  作者: あっちこっち
八節 始まりの準備
62/129

【学者の苦悩】

十話まで修正しました

衛星四都市の一つリューセン。

人口75万の大都市。

ここを治めているのは代々ヤーフェスタ公爵家。

建国当時の四大部族の末裔である。

現当主はマックス・ラウブ・ヤーフェスタ・リューセン財務卿。



察しがついているかもしれないけど八星都市についても少しだけ説明。

八星都市は大きく二つの種類がある。


国の盾と矛の役割を持つ城塞都市

国の経済の動脈を担う経済都市


城塞都市を治めているのは五英傑の末裔。

姓にベルを持つのが特徴。四家全てが辺境伯


経済都市は八の侯爵家が交代制で治めている。

一つの都市に二つの侯爵という形でね。

都市を治める側と周辺の街や村を管理する側に分かれており、互いが互いに睨み合いをする形になっている。十年に一度のペースで交代しているとエル父さんが教えてくれた。実際に建国から度々不正の申告があるなどしているためうまく機能している様だ。


都市内部の機能にも違いがある。


城塞都市では武器や防具以外の生産業はほぼ存在しておらず、物を消費するという機能が発達している。


経済都市ではその逆で生産業が以上に発達していて、日用品から趣向品、本や薬、酒に食料、などなど。そのため住んでいる人の割合では職人が四割以上占めているなどという話まである。


人口は70〜80万と言われている。




話を戻して衛星四都市についての説明。


上に説明した様に経済という観点で見れば、八星都市で一応は完結している。生産と消費で見ればだ。

王都については政治の中枢で国の脳であり心臓部。それだけでも十分に存在意義がある。

なら衛星四都市とは何のためにあるのかという話になると思う。


端的にいうと代用品首都。

なんらかの形で王都が機能しなくなった場合のスペア。

スペアたりうる都市。

それが衛星四都市の存在意義とされている。

王都が現存時の衛星都市は経済と軍事の機能を併せ持った大都市である。

人口も80〜90万。

つまり普通に栄えているわけだ。

ちなみに王都は推定100万って言われてるよ。



「へ〜〜やっぱり栄えた都市なんだねーー」

「城塞都市よりも栄えてるの〜?」


「栄えていると思うよ。大体の考え方で言えば

一位王都 二位経済都市 三位衛星都市 四位城塞都市だからね。これも戦争時とかによって変動するんだけどね」


この前も同じようなくだりをしたと思うけど、今回も似たような物だ。

五人組の子供の村を出発して旅をした僕は通りがかりの行商人一家と出会いました。

記念に少しだけおしゃべりをしてから、適当に食糧を買って別れようと思っていたけど、行商人家族の子供二人に懐かれ失敗。

その一家もリューセンに向かっているとのことだったので仕方なくそのまま行商人一家と旅をすることになった。

流石に何もせずにリューセンまで運んでもらうのは気が引けたのでこうして子供達に少しだけ知識を教えているというわけだ。


「他の国もぼくたちの国みたいにしてるの?」


「ううんしてないと思うよ。というかヒューマンの国ではされてない。他の人種の国はわからないけどね」


「なんでなんで〜?」


「それはこの国みたいにしているとね、国のトップの人はすごく不安だからだよ。

代用品首都があってそこを自分じゃない人が統治しているってことは、機会さえあればすぐに国を乗っ取られるってことだからね」


「僕たちの国は大丈夫なの?」


「大丈夫だよ。理由は結構いろいろあってね。民族柄とか法律とか歴史とか他にも色々。

君たちが理解するのは少しだけ難しいかな」


「そんなことないもん!」

「ないもん!」


行商人家族の子供二人はプンスコっ!といった風にして僕にそう言ってくる。

まぁこれを説明し終えたくらいにちょうどリューセンに着くだろうから、暇つぶしで教えるのも悪くないかな。


「じゃあまずは歴史から簡単に話すね」

「「うん!!」」



初代国王バナージ・フィルヴァーニアは国を作るにあたって幾つか問題を抱えていた。

そのうちの一つが王妃の問題だ。


バナージはゲオルグ正教法皇国の将軍でありながら、バラバラだった各部族を話し合いなどによって統一していった男。

その統一していった部族の中で一際大きな部族は四つあった。

この内の一つでもバナージと仲違いすれば国は作れなくなるというほど強力な部族である。

勿論四つの部族はそれぞれ過去の因縁持ちであり、バナージのつまり王の正妻という立場に自分の娘をしようと競い合っていた。


ここで下手なことをしてしまえば国が作れない事を理解していたバナージは一つの案を四つの部族の長に伝えたとされている。


それは四つの部族それぞれから娘を一人貰い結婚し、生まれた子供を各部族の長として教育していき、これから作る王都と同規模程度の都市を四つ作りその都市をその子供の血脈に治めさせる。

これら四つの家を公爵家とする。


自分の正妻については現在成人してから五十までの女性の中で最も強い者を正妻にする事で、この国の強きであれと言う信条を示そう、と。


これは四つの部族全てに配慮した上で平等に扱うという内容である。

これに四つの部族の長は納得して王妃の問題は解決した。



次にそれによる王位継承権問題。

バナージの血を受け継ぐ五つの家が存在し、その血の濃さは全て半々づつ。

普通に考えれば五つの王族が出来たことになる。

バナージはそれを四つの部族の長達に合意を受けた上で決まりを作った。


バナージと正妻の間に生まれた子を唯一の王族血統とする事。


四つの公爵家については、ある場合を除いてその血を王族の血としては扱えないという事。


ある場合とは、バナージと正妻との間に生まれた血統が途絶え、手順に則った上で王族になった場合である。


手順は一応のものを定めておくが絶対ではなく、王と四公爵家すべての合意を持って変更できるものとする。王がすでに存在しない場合においてのみ王の合意は不要とする。

もしなんらかの形で公爵家の数が減った場合もその家の合意は不要とする。


手順については王と四公爵当主のみが知ることとする。

正式な手順の証として、なんらかの形で書面に残す事。その書面にそれぞれが個人証明の為になんらかの印を残す事。印は五人とも統一する事。




「えーこれで一応全ての部族間のバランスは安定しましたとさ。お仕舞い」


随分と端折った内容だけどこれでも大まかな内容はあっているはずだ。

少し遠くにリューセンの城壁が見え始めた頃ようやく一通りの説明を終わらせた僕は二人の子供にそう言った。


「よくわかんない。」

「なんでそれで安心になるの?」


やっぱり僕の説明じゃあ理解はできなかったらしい。シェーラ母さんが教えていたらきっと殆どを理解できていたんだろうけど、僕にはシェーラ母さんの真似は出来ない。


「うーんとね。つまり力をうまく分散させてバランスの取れた形にしたから、そのバランスを崩す事はとても難しいんだ。

だから安心なんだと思うよ」


僕にはもうこんなあやふやな言葉で誤魔化すしか出来ることは無く、リュセンに入って別れるまで子供達から容赦なく疑問をぶつけられ続けた。

行商人の子供達から解放された時の僕は既に白旗を振り続ける人形状態で、心が燃え尽きかけていたよ。


「子供に物を教えるのは難しいね」


教育の重要性と難しさを深く理解できた一日だった。





〜エル父さんの雑学コーナー〜


北領同盟王国では魔法術を扱えるものが他の国と比べて多い。これは教育基準の問題など他にも様々な要因があるがここでは割愛。

その為農作物や家畜に魔法術をかけて生産量を高めたり、環境に適応させたりする事がどこでも一般的にされている。

国ができる前と現在では食料生産量が比べ物にならないが、元々の土地が恵まれていないこともありこれ以上の増加は難しくなってきている。


昔自然環境を壊しすぎたせいで、魔物などが凶暴化し周辺の村や町が逆に自然に変えるなどの被害が出た。

過去一番の事件は【深緑の闇】で起きた。

簡潔に説明すると、恵まれた土地を畑などにしたが【深緑の大精霊】の怒りに触れて自然に還された。

現在の国の方針は自然と共にである


〜終わり〜






行商人の家族と別れた後僕は自分が何をどうしていたのかあまり覚えていない。

なんとなく歩いて、なんなく気に入った小さめの広場でなんとなく座り込み、なんとなく楽器にしているユグドラシルの剣をなんとなく持った。

そのまま、なんとなく弾きたくなった【学者の苦悩】というこの世界の曲をなんとなく弾き続けていたんだと思う。


何時間後かはわからないけど僕が意識を覚醒させた時にはその小さな広場には、十数人の賢そうな人が集まっていて何やらよくわからない事言い合っていた。

詳しく話を聞いたところ、集まっていた人達は皆ほぼ初対面で偶々ここで知り合ったそうだ。

集まっていた理由もよくわからない理由で、僕の音楽を聴いていたらなんとなく難しい事を考えたくなり、座り込んでいたら、いつの間にか同じような人達が集まっていたらしい。


最初僕は軽く挨拶してそこから離れようと思っていたんだけど、集まっていた人たちの中に教育者の人がいる事を知りちょっとだけそこに残ることにした。

勿論その人達に"子供へこの国の仕組みを教えるにはどうしたらいいか"と言うのを聞きたかったからだ。


それを聞いた当初は教育者数人であれこれ話し合っていたけど、意見がまとまらなかったらしく僕も加わることになった。

そこからはお互いにどういう風に教えるかを実演したりなどして一度は話が纏まりかけたんだけど、ここで法律家と歴史学者ら数名が乱入してきて話が振り出しに戻ってしまう。


もうこうなったら地獄で、法律の解釈の仕方や歴史での出来事に対する考えの違いに、解釈の違いなどの物議が次の日の朝になるまで永遠とされた。

朝になってもそんな状態では結論が出るわけもなく、それぞれ仕事があるとかで解散になったわけだ。

僕も疲れたので近くの宿を取って体を洗い寝た。




その小さな広場は【学者の広場】と呼ばれるようになり、たびたび学者などの知識人が集まって論争をするとかなんとか。

リューセンの不思議な話の一つになっていた。

これを始めたのは白いローブ姿の美少女とも美少年とも老人とも、楽士とも言われている。



学者達の論争が始まる合図として【学者の苦悩】が演奏される伝統がある事から、楽士という説が最有力とされているが、真相は定かではない

少しでも楽しんでいただけたなら幸いです

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