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【聖剣の大賢者】君の人生は面白い!〜少年はただ自由に生きる  作者: あっちこっち
七節 戦場の意思
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開戦

「膝をつくな!!動きを止めようとする前に足を動かせバカ共!!」


私は今にも動きを止めようしている部下に激を飛ばしながら目の前に居る中天帝国の兵たちを氷の槍で殺していく。


「(私の力に対応され始めたな。このまま部下を見捨てて目の前の敵を突破し炎 虚苦を狙うか?)」


こちらを取り囲もうと展開する敵兵の動き牽制しながら周りの状況を確認する。

中天帝国軍全体の個人の力はこちらよりもかなり低い。

そして私の部下は一年間私が鍛え抜いた兵だ。

差はさらにある。

兵の損失で言えば相手側の方が確実に多いというのに全体を見てみれば状況は五分五分だ。

何故そうなっているのかが私は理解できていない。

「(いやだめだな。今私が単身で突撃したとしても目の前の敵を突破するのに時間がかかる。

そうなれば炎 虚苦には逃げられ部下たちは蹂躙されるだろう。)」


「密集しすぎるな!!個人個人の間を開けながら戦え!!!!個の力はこちらが上だ!!

戦い方まで敵に操作されるな!!!!」


「オフェリア様!!!!

四時の方向に新たな敵影が!!!

このままだと分断されます!!!!」


「中衛の部隊には数分耐えろと伝えろ!!

後方の兵を十時の方角に移動させ中に部隊に厚みを作れ!!!前衛は私に続け!

左の敵部隊を打ち崩し部隊全体を横にずらすぞ!!」



想像以上に相手側の動きが早い

炎 虚苦が指揮をしているのか?あの木偶ディーノ・ツェッペリンが本軍で攻めているはずだがどうなっている。


「(クソッ!!!!今日は私の負けだ炎 虚苦。

だが必ずお前の首に私の剣を打ち込んやる!)」









北両同盟王国と中天帝国の戦争は北両同盟王国側の動きが遅れたことから、炎 虚苦の先行部隊三万は本軍七万の上陸地点を確保した上で北領同盟王国領内部に侵攻している状況だ。

そして僕が城塞都市ドルケストについてから五日目で遂に中天帝国と北領同盟王国の両軍は激突した。



僕ことマーリンは四日目の昼下がりごろまで情報を集め続け、集めておきたい情報の七割を集めることができた。

五日目の深夜には戦場となるはずの場所にに到着した訳だけど既に両軍は互いに距離を取った状態で向かい合い、天幕を作っていた。

まぁお互いただ睨み合って休んでいるわけでもなく、間諜がとても元気に森の中を動き回っている。



今夜は新月と言うわけでもないので月光はあるんだけど、空間同調をした僕に気づくのには本職の闇のジョブの人でも難しいはずなので適当な場所に隠れてじっとして戦いが始まるのを待っていた。

そして五日目の朝、両軍共に戦の準備を完了させ炎 虚苦私設軍三万と北両同盟王国約八万の戦いが始まると言う時に意外なことが起きた。

先に結果を話しておくと、北両同盟王国ディーノ・ツェッペリンは直接指揮権を持つ七万のみで炎 虚苦三万と戦い敗北した。



事の始まりは開戦前に炎 虚苦がディーノ・ツェッペリンに対して改めて行った宣戦布告だった。

簡単に内容をまとめるとこんな感じ


「私はディーノ・ツェッペリンなど眼中にない。

お前が指揮権を持つ七万よりも他七千の方がよっぽど脅威だ。

よかったな!お前一人だけなら勝負にもならなかったぞ。」


要するに煽りをした訳で、この煽りにディーノ・ツェッペリンは乗ってしまい残り七千の三部隊に待機命令を出しての戦いになった。



始まった当初はディーノ・ツェッペリンが兵の力と量で炎 虚苦を圧倒したものの、次第にディーノ側の陣形が乱れていった。

これは炎 虚苦軍を攻める際に陣形維持の細かい指示が欠けていた事で陣形が広がってしまっていたわけだ。

まぁディーノの指揮能力不足プラス炎 虚苦がそうなる様に誘導したことによる必然的な結果だと思う。


北両同盟王国軍の陣形が十分に広がったところで炎 虚苦は軍を反転させ反撃を開始し、陣形が広がりできた隙間を縫う様にして後方で指揮をしていたディーノ目掛けて突撃をした。

ディーノは軍を下げて対応しようと試みていたけど、陣形が広がりに広がり指揮が端まで行き届いていない状態の軍がまともに機能するはずはない。

そのためディーノは周りの二万ほどを引き連れ戦場を離脱することになった。

炎 虚苦はディーノを追撃することはせず残された訳五万の北両同盟王国軍を撃破しながら戦場を離脱していく。

これは炎 虚苦が反撃を開始したと同時に待機命令を出されていた三部隊が前進してきていたことが理由だろう。



そして先に述べた通りディーノは敗北し、七万の兵の内五千人が戦闘不能になった。

炎 虚苦が受けた被害は死傷者数十名、負傷者数百名程度だと予想される。

これは指揮の差と、炎 虚苦の私設軍の個の力が中天帝国本軍と比べて高いことが要因だと僕は思う。

一回目の衝突はこのような感じで終わり、北両同盟王国は死傷者を回収した後少しだけ後退して態勢を立て直しを余儀なくされた。

炎 虚苦の方もそれを無理に責めることはせずこちらも後退し中天帝国本軍との合流を第一にしている感じだろう。



六日目から戦争は再開されたものの、中天帝国側の大規模な魔法術により作られた地形に翻弄され北領同盟王国は思うように攻め込めていない。

他にも様々な問題が絡み合っている様にも見えるけど詳しいことはまだ僕にはわからない。




そして現在十日目の昼頃遂、炎 虚苦が中天帝国本軍と合流し五日目以来の両軍による正面衝突になっている訳だけどこれがなかなか複雑なことになっているんだよね。



「炎 虚苦は六〜十日の間でオフェリアの事を最大脅威に定めたんだろうね。

私設軍三万全てでオフェリア軍三千をうまいこと押さえ込んでる。動きの速さから考えて炎 虚苦本人が指揮をしているんだろうね。

それに比べてディーノ六万五千と中天本軍七万の戦いはぐだぐだなんだよね。」


「(ディーノ側は陣形がよく変形してしているけどタイミングに疑問があったり、意図が不明なものが多い。いったい何と戦っているんだろう。

それに中天本軍の動きも悪い。まるで兵たち自身の判断で勝手に暴れているかの様な動きに見えるし、炎 虚苦は本軍の手綱を完全に握れていないのかもしれない)」


ディーノ六万五千と中天本軍七万の戦いはお互いのミスに助けられる様にして成り立っている。

そして不思議なことに二人の大将各二千隊は五日目以降戦闘には一切関わっていない。

本陣の近くで不動の構えのままだ。





ドッガァァーン!!! ドッガァァーン!!!


ギャッアアーーーン!!ギャッアアーーーン!!



お互いにこれ以上の進展がないと判断したのだろう、戦場全体に退却のドラの音が響き渡る。


「これは一つのきっかけがあればすぐに勝負がつくと思うんだけど、問題はその可能性が両軍に等しくあることなんだよね」



僕は今も闇に潜みながら動き回る人達に気づかれない様姿を隠しながら、自分の行動方針を確認する。

まず戦争には加担しない。これは北両同盟王国側が負けそうになってもだ。

これはエル父さんに加担しなくていいと言われているのもあるけど、他に少し私情が混じってる。

ちょっとだけ話すなら


「(・戦争はそれに関わる全てに原因があり、どんな大義を掲げて戦おうと正義にはなれず悪になる。そして勝った方が自分は正義だと宣うんだ。

もし戦争に参加する事があるなら自分も悪である事を自覚しておきなさい・)」 


前世の父さんの言葉だ。

流石に今の僕には「悪」を背負うだけの覚悟ができていない。

だから戦争には参加しない。




話を両軍の勝つ可能性に戻す。

北領同盟王国

後方から動かない二つの軍が参加する。

ディーノが六万五千の数と個の力をうまく引き出し中天本軍を破る。

オフェリアが指揮能力を覚醒させること。


「(最後については今現在の段階でも最低限はできてる様に見えるけどね、それでも必要最低限でしかなく、幾度も炎 虚苦の指揮と十倍の兵力に押さえ込まれる形になっていたんだよね。

それが無事に戦えているのはオフェリアの圧倒的な力によるゴリ押し。その分の負担を指揮能力で補い、別の事に力を注げる様になれば戦況は一変するはず。)」


中天帝国軍

中天帝国本軍の動きの改善。今の状況ではそれだけの事で戦いが決まる。

炎 虚苦私設軍がオフェリアと三千隊を引き離す事。

「(オフェリアと言う圧倒的な個を倒すにはそれを守る三千人隊が邪魔で、三千人隊を倒すにはオフェリアと言う存在が邪魔をしている。

一時でもこの二つを引き剥がせれば一瞬で三千人隊を壊滅させ、オフェリアを集中攻撃で少しずつ削り殺せる。

実際に三万の私設軍の動きにはその意図が感じれるしね)」



僕は戦いの流れと考察を紙に書き込むとアイテム袋に紙をしまい、簡単に体と服を魔術で洗った。

こういう時にファンタジーの素晴らしさを実感する。

「(明日に備えて寝るとしようかな)」


簡単に魔術を張り十日目を終えた。




〜マーリンメモ〜


午前九時ごろ両軍の布陣完了。

北領同盟王国

二人大将が率いる二つの二千人隊は最後尾

ディーノ六万五千隊は横陣で戦場の中央

その右横少し離れた場所にオフェリア三千隊


中天帝国軍

中天帝国本軍七万はディーノ六万五千と向かい合う形で横陣

私設軍はその左斜め後方に二列で待機



ディーノ六万五千と中天帝国本軍衝突

私設軍の三分の二がそのまま本軍と共に前進し、三分の一は本軍の左後方に移動

オフェリア三千隊は中天帝国本軍に向け突撃を開始。


ディーノ六万五千の動きに不審な点がで始める。

その動きに合わせて中天本軍の動きから統一性がなくなる。

オフェリア三千隊の突撃に対応する様に私設軍三分の二が動く。陣形は斜陣。

三分の一もカバーのため三分の二の右斜め後ろに移動し、斜陣で流されたオフェリア三千隊を受け止める形に。五重防壁。

オフェリア三千隊は流されるままに私設軍三分の一に突撃。半ばまで突破するものの停止。


ディーノ隊と中天本軍はくっついたり離れたりを繰り返す。そのため遠目から見た限りでは両軍被害は少ない様に見える。

オフェリア三千隊は完全に包囲される前に私設軍三分の二と三分の一を分裂させようと、私設軍の繋ぎ目を強襲。

私設軍は包囲をいったん諦め、三分の二の左端を反時計回りに回転させ繋ぎ目に厚みを形成。


ディーノ隊と中天本軍に変わりなし、ぐだぐだやっている。

私設軍は完全に合流し、オフェリア隊の動きに合わせる様に包囲、分裂などで崩しにかかるものの成功せず。

オフェリア隊は圧倒的な個人の力で部分部分で私設軍を撃破していくものの、その度に窮地に陥る。

その度にオフェリア本人が力技で回避を繰り返す



夕暮れ前まで戦闘は継続されたものの変化はなく

両軍一時退却。

現在は拮抗しているものの一つのきっかけですぐに崩れると予想。



今日の北領同盟王国の大将二人の行動から今回の戦争はーーーーーーとーーーーのーーーーではないかと言うーーにーーーが出てきた。

理由として城塞都市ドルケストで集めた情報の中にーーーーーーが現在保有しているーーーーーの情報と、ーーーーーーーーの情報、ーーーーの国内問題がある。

つまりーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーなのではないかと言うのが現在の僕の予想だ。


〜マーリンメモ〜


 








その頃の中天帝国軍



「速やかに被害状況を報告しろ!!!!

戦闘不能人数を最優先にし、それ以外の負傷者数は後回していい!!!!

そして義 李文大佐をここに呼んでこい!!!

今日私の命令を尽く無視した理由を聞かなければいけないからな!!!!」


「はっ!!!」



部下が俺の命令を遂行するため天幕から出た事を確認して、俺は目の前にあるものを手当たり次第蹴り倒していく。

粗方のものを手当たり次第に倒しても心が落ち着くことはなく


「なんなんだあのチートはっ!!!!!!!!!

完璧に決めたはずの策がなんで決まらない!??

いったいどれほどの俺の兵が死んだんだっっ糞がぁぁーーーーーー!!!!!!」


遂には言葉に出して叫んでしまう。

なおも治ることのない怒りをどうにか飲み込み腹の底に沈めようやく平常心を維持できる様になった。


「(落ち着け俺。オフェリアの馬鹿げた力はこれまでの四日間でわかっていたはずだ。

今回は俺が対応をミスしただけの事。)」



今日の戦いの序盤の流れは俺が数日前から考えていた流れ通りに進んだ。

オフェリア隊を五重防壁で受け止めた時点でオレの勝利になり終わるはずだった。

それなのにオフェリアは逃げようとするでも守ろうとするでもなく、逆にこちらの包囲が完成する前にこちらの胴体を食い破りに来た。

その予想とは違う行動で慌てた俺はそのまま戦いの流れと言う手綱を手放してしまったわけだ。


「(十万の命を背負うのは俺だ。オフェリアじゃない。なら責任から目を逸らそうとするな、俺)」


この日炎 虚苦は義 李文を統率官から罷免した。これにより北領同盟王国の攻め入った中天帝国軍十万は名実ともに炎 虚苦の指揮下に入った








北領同盟王国側


「おいじじいにおっさん!!どうして今日の戦闘に参加しなかったんだ!!!」


「参加する必要がないと判断したからだが?

なぁジョナン爺さん。」

〔ああそうじゃぞディエゴ坊主。

今日は儂等が参加する必要はなかったぞい〕


「ふざけてんじゃねーぞ!!!

俺らが必死に戦ってるところを高みの見物決め込みやがって!!」


「そうは言ってもなぁ〜」

〔のおぉ〜〕


「クッソがっ!!

おいオフェリアの奴はどこで油売ってるんだ!!

早く呼んでこい!」


「はっ!!先ほどオフェリア様の配下から不参加の意を伝えられております。」


「振られたな〜小僧」

〔振られたの〜セルズ小僧〕


「振られてねーよクソ!!!!」



相変わらず精神的な部分が軟弱すぎるのぅセルズ小僧は、今のままじゃと期待できるのはオフェリアのお嬢ちゃんだけじゃな。


〔それじゃぁもう儂がここにおる理由もなさそうじゃし抜けるぞ。セルズ小僧、明日は頑張るんじゃぞい〕


「おいじじいに待てよ!!」


セルズ小僧の言葉を聞かないまま儂は天幕を出る。

今日の戦いは見ている儂としてはなかなか面白いものじゃった。

セルズ小僧は前回の様な敗北を恐れて無闇矢鱈に《先見の魔眼》を使いまくり、早すぎるタイミングでそれに対応してしまっておった。

《先見の魔眼》は魔力を消費して少し先の未来を見れるスキルじゃが、燃費は悪く、見れる先の未来の感覚はバラバラじゃ。《予知》や《千里眼》とは違う。

指揮にしてもそうじゃ。

命令すれば一部の狂いもなく命令通りに実行されるわけもなく、瞬時に部隊全てに伝わり行動に移されるわけでもない。

自分が万能であり天才ではない事に早く気づかねばいけんのぅセルズ小僧は。


「(それすら気付けんのなら、セルズ小僧はこの戦場で死んだ方が良い。なまじ力と権力あるものがそんなことにすら気づけん愚か者なら、そんな者は死んだ方が世の為人の為じゃからな)」


よろしければ評価の方お願いいたします。


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