僕の進路
マーリンのこれからを迷いましたが、一応決まりました
どうもマーリンです。
今は家の床で正座をしながらシェーラ母さんとエル父さんから尋問を受けています。
村に着地した後すぐに家に帰ったんだけど、玄関先で二人が僕を待っていた。ルーリィは部屋で身体強化の練習中らしい。
これがエル父さんだけならうまく言いくるめる事でそこまで長時間の話し合いにはならないんだけど、シェーラ母さんがいるからそうはいかなかった。
昨日なにをしていたのか、あの馬鹿でかい木が何か知っているのかなどなどを聞かれた。
事前に用意していた言い訳というか言い分を最初に自然な形で二人に話す。自分でも自分を褒めたくなるくらい自然に話すこともできたし、理由の方もうまく説明できたと思う。
昨日帰ってこれなかったのは強烈な光で気を失っていたから。
目を冷めてからすぐに戻ってこなかったのは何者かわからない人達が森のあちこちにいてすぐに帰ってこれなかったから。
なかなか悪くない理由だろう。
この僕の話を聞いて最初二人とも納得してくれた。でも予想外のところから綻びが出来始めてしまう。
「ねぇマーリンその木剣とても素敵ね。
マーリンが作ったの?」
「えっ!?あぁこの木剣ね。これは昨日気まぐれで作ったんだ。」
「ふふふそうなの凄いわねマーリン。"世界樹"なんて名前がつく木剣を作り上げるなんて」
「…………………へ??」
「わたしは少しなら鑑定を使えるの知っているでしょ。」
「確かそんなに相性が良くなくて、使い勝手が悪いんだよね」
「ええ、あまり詳しい事はわからないの。でも少しだけならわかるのよ。」
「そ……そうなんだ。じゃあ"世界樹"っていうのは」
「そのマーリンの木剣を鑑定したら"世界樹の木剣"ってことがわかりました。
さあマーリン。聞かないといけないことができたわ」
「マーリン今回のことは見過ごすわけにはいかないからな。全て教えてもらうぞ」
「……………お手柔らかにお願いします」
そこからは僕はどうにか嘘をつかずにユグドラシルとの関係をごまかすことにのみ注力した。
シェーラ母さんの精霊の授業では精霊と契約した人の体には紋章が浮かび上がるとのことで、あの時に僕の体に出た紋章がそれなんだろう。
でも今僕の体には紋章は出てない。
降下中に色々やってユグドラシルから魔力を借りたり、会話をしたりすると少しだけ浮かび上がってくることはわかっているので気をつけていれば見つかることはない。
信頼関係を築いて友達になった事は流石に二人の想定には無いのだろう。質問されることはなかった。
だからユグドラシルと会った事は知られるけど、それ以上は無かったと思わせる事はできるという事だ。
「(神くんよっちゃん。僕はこの困難もしっかりと乗り越えて見せるからね!)」
僕はそのダイヤモンドより硬い覚悟を決めて夕食までの数時間を戦い続けた。
この木剣を起点としてシェーラ母さんとエル父さんに攻め続けられた僕だけど、どうにか賭けには勝つことができた。
最終的な判決としては、僕は(【深緑の大精霊】に気に入られている子供)ということで話がついた。
シェーラ母さん エル父さんはまだ納得しきれていなかったようだけど結果としてこういう結果に押し込むことができたよ。
エル父さんは話が済むと出かける準備をしてそのまま仕事に行った。多分数日は帰ってこないだろう。
シェーラ母さんも夕食の準備を始めようやく解放されたと思った僕だったけど、練習が必要終わりリビングに入ってきたルーリィにまた質問責めを受けた。
ルーリィは僕が思っていた以上に僕のことを心配してくれていたらしくて、事情を説明しても全く機嫌を直してくれない。
今は僕の太ももの間にお座りになられて僕にもたれかかり、後頭部を僕の顔におしつけたりしてくる。
僕とルーリィの身長は同じくらいなのでこの体制だと少し前みたいにルーリィの頭を撫でたりばできない。
もうちょい慎重さがあれば適当にちょっかいをかけて機嫌を直させることができるんだけどね。
その体制のままシェーラ母さんが呼びに来るまで謝り続けるのはかなりしんどかった。
シェーラ母さんにはそのやりとりを見られて笑われた。
あの木が生えてから一ヶ月がたった。
あれから一ヶ月僕はユグドラシルに会っていない。
一日一回くらいは意思を交わしたりしてるけどあってはいない。
ついでに木こりの仕事ももうそろそろやめようと思ってる。
理由としてはこれから数ヶ月間は僕が森に入るのには色々と危険が付きまとうという事。
もう一年も経たずに十二歳になる為、元々後少しで辞めるつもりであったこと。
この二つの理由があり辞めることにした。
ジャヤの大将やトムにもこの事はすでに話し、了承を得ている。
ジャヤの大将は残念そうに、トムは憎まれ口を言いながらだった。
トムの憎まれ口はここ最近使っていなかったせいもあってか使い慣れていない感じになっていて面白かったね。
数年前よりもみんなちゃんと成長している事を改めて実感した。
そんな僕がこの一ヶ月何をしていたかというと、ずっとルーリィと遊んでいた。
遊んでいたと言っても稽古をしたり、魔法術を教えたり、一緒にルート兄さん達への手紙を書いたりもしていてる。
一ヶ月前のあの日にルーリィと話して、ここ数年ルーリィが寂しがっている事を知った。
僕が六歳の頃から木コリの真似事を初めて一緒に遊ぶ時間が激減した。それでも二年前まではルート兄さんやマエルがいたお陰でそこまで寂しさは少ししか感じていなかったらしいんだけど、ルート兄さん達が王都に行ってからは一人でいる時間が増えてずっと寂しかったという。
それを聞いた僕は自分で自分に呆れてしまった。
「(妹に気を使わせていたなんて本当にダメダメな兄だね僕は。ルート兄さんのようにはいかないね)」
そこで僕はルーリィに一つ提案をした。
それは僕がこの村を出るまで一緒に遊びつくそうという提案だ。
ルーリィはその提案を聞いて機嫌はようやくなおし始め、次の日の朝から早速とばかりに一緒に稽古をして、昼には言語の勉強をシェーラ母さんも加えた三人でやり、一緒におやつを食べてから魔力操作の練習をした。
ルーリィがやりたいと思っていた事を一つづつ何回もやっていく。
ルーリィはそれから毎日ご機嫌で、僕の方も一日中家族と過ごすのは五年ぶりくらいなのですごく楽しい。
一緒のベッドで喋りながら夜を明かしたりましたけど、一緒にお風呂に入ったりするのは少しだけ恥ずかしくもあった。精神年齢的にどうしてもね。
それとこの村は辺境にあるという事とそれなり豊かであるということから簡単な服屋や装飾屋というものが行商という形でかなりの頻度くる。
その時にルーリィと一緒に服を買ったりなど色々とやった。お金は五年間使い道がなく貯めていた僕が全部出す。
村に来ていた行商人が一年前の収穫祭で来ていた顔見知り(相手の方は僕が男だと知って驚いていた)だったので、収穫祭での行商人との思い出(その行商人が酔っ払ってやった醜態)を話したりして(脅して)何だかんだととても値引きしてもらえた(させた)。
「(なんでだろう?僕の記憶とは違う状況説明が勝手に入れられるんだけど?)」
服やアクセサリー類の僕のセンスは言ってしまうとゴミなので、ほぼ全てをルーリィに選んでもらった。ルーリィは僕の一家ではシェーラ母さんに次いでそこら辺のセンスはいい。三番はルート兄さん、四番はエル父さん 最後に僕である。
ルーリィに服とかを選んでもらっている時に周りで買い物をしている村の人から生暖かい目で終始見られた。理由はわかってる。
僕も思っていたからね。
その時の光景は僕が弟「(決して妹ではない)」
でルーリィが姉のように見えていたんだと思う。身長差が殆ど無いのがかなり大きいよね。
代金を僕が全部出した理由には認めたく無いけどこの事が起因している。ここで年上らしく振る舞っておかないだ兄としての面子に関わるからね。
ルーリィにはその理由も伝わってしまう事も分かってはいるけど、そうしなければいけないと僕の中の兄としての部分が叫んだのでそれに従った。
ルーリィに少しだけ笑われたのは気にしない。
ルーリィと稽古をよくするようになり必然的に打ち合う機会も増えた。
体の大きさが同じくらいということもあり、どうせなら身体能力の方も同じでやろうと思い身体強化をルーリィに合わせている。
その条件下でやったら僕が圧倒するのが当たり前なんだけど、ルーリィは楽しそうに向かってくるのでこのままの条件で行くことにしている。
僕の方が圧倒的に強いと言ってもルーリィは決して弱くは無い。
ルーリィの棒術はしっかりと基礎の部分がシェーラ母さんに教え込まれているのでなかなか様になっている。
ルーリィの方からの攻めはまだまだだけど防御や受け流し カウンターは鋭く、狙ってくるところもえげつないところばかりなので油断はできない。
これに魔法術がくっついたら簡単には捉えられないと思う。というかかなり難易度が厳しかった。
というのもルーリィに見本を見せるという名目でシェーラ母さんと初球魔法術まで使用可能で試合をする事が数日前にあったからだ。
それはもうやりにくい相手だった。
魔法術をバンバン撃ってくるし、近づいたら上手い事いなされるしでかなり苦戦する。
その時は初級魔法術までということで攻め込む隙を作りやすかったけど、これに中級上級とかが加わるとかなり厳しい。
シェーラ母さんの棒術と魔法術の組み合わせ方はかなり応用が効いて、変化が早いんだよね。
例えば強力な魔法術の詠唱を餌にして相手を惑わしたり、相手が攻めあぐねたところで上級の魔法術を使ったり、少し考えただけでも嫌になるような戦い方がすぐに思い浮かぶ。
その日の夜ルーリィが眠った後、シェーラ母さんと再戦することになり上級までありで実際に戦った。もちろん防音魔術は使ってからね。
なんでも昼間僕に負けたのが悔しかったらしいですはい。「(可愛らしいところもおありです)」
結果としては一時間戦い続けての引き分け。
互いに攻め手にかけこれ以上の変化がないということでそうなった。
シェーラ母さんはとても悔しそうにしていたけどすぐにいつもの優しいシェーラ母さんに戻ってくれた。
戦っている時のシェーラ母さんの雰囲気はとても冷たいのですごく怖くてカッコいい。
でも僕はいつものシェーラ母さんの方が好きです。
「(実際にシェーラ母さんはとても強かった。
魔法術を大きな緩急をつけながら使用してきて戦いの流れを上手くコントロールし、僕に隙ができたらそこを容赦せず素早く正確に攻めてくる。
ミスをすれば大事なものを失ってしまう恐怖が凄かったね。できればもう戦いたく無いです)」
そんな感じこの一ヶ月間ルーリィと楽しく過ごしたわけなんだけど、エル父さんが帰ってきたと同時に僕の平和ライフは終了した。
「マーリン前にシェーラから話されたと思うが、マーリンの進路について私たちから提示していたのは3つを覚えているか?」
「覚えてるよ。エルフの国への留学、王都の学院への進学、冒険者になるだよね」
「そうだ。その3つの中からマーリンに選ばせるつもりだったが状況が変わった。
マーリンにはエルフの国へ留学してもらう」
「エル 説明を省きすぎです。一から説明してあげてください」
「そうだな確かにこれでは理解できないだろう。
今回の大樹の件についてほぼ全ての国が情報機関を派遣している。だが全ての国が原因も影響も把握できていない。それは一切の動きなくあの大樹を取り囲んでいることからわかるだろう。
だがそんな状況下で唯一"世界樹の木剣"などというものを携えて帰ってきたものがいる。
そうなればそのものに注目せざるを得ないのが通りだろう。
北領同盟王国はエルフの国【エルファエル】のみにこの情報を流し秘密裏に会談した。
その結果いくつかの試験をしたのち問題なければエルファエルに留学させるということで決定。留学と言っても複数人いる留学生のうちの一人としてだ。
ここまでで質問はあるか?」
「試験というのはどんな試験?」
「まずは北領同盟王国と中天帝国間で数ヶ月後に起きると予想される武力衝突の視察 記録 考察だ。それをやり終えた後に北領同盟王国の王都に向かい王にそれを提出。
その後簡単に武術 魔法術のテストをし北領同盟王国としてエルファエルに留学を推薦できるかを測ることになっている。」
「いつ出発するの?」
「明日だ」
「僕一人で?」
「王都では私とシェーラ ルーリィがいる。」
「武力衝突って小規模?」
「中天帝国の炎 虚苦の私軍と中天帝国国軍 合わせて十万の軍勢と北領同盟王国軍務卿の息子ディーノ・ツェッペリン・セルズ・ベル・ディミトリアを総大将とした七万の軍勢による国土防衛戦だ。お互いの国の規模を考えると中規模ぐらいだろう」
「僕死んじゃわないそれ?」
「その可能性はほぼ皆無だ」
「何があるかわからないよ!それが人生ってものだよエル父さん!」
「では旅支度をするといいマーリン。」
「……………0…………」
これ以上何か言っても無駄だと思った僕は仕方なく旅の準備を始めた。
とは言っても旅に何が必要かなんて知らないし、どういう風にしていけばいいかなんてさっぱりわからない。
取り敢えず木こりで稼いだお金と服を数着用意してみたけど、これじゃあダメなことくらい僕でもわかる。
「マーリンすまなかったな」
後ろを見てみるとエル父さんがいた。
言葉の意味をよく理解でき無い。
「さっき僕の言葉を無視したこと?」
「それもあるにはあるが別のことだ。さっき話しをすぐに終わらせたかったのはルーリィとシェーラを早く二人にしたかったからで他に他意はない。私が謝ったのはマーリン自身に進路を選ばせてやれなかったことだ」
僕の進路が決まってしまったのは仕方がないことだとよく理解している。
というより覚悟した上で僕はユグドラシルとの、よくわからないやつに同意した。
だからエル父さんがその事を悔やむ必要は無いんだけど、それをいうわけにもいかないので話をそらすことしかできない。
「そのことなら気にしないでよ。
もともと留学にも興味があったからね。
それに試験っていうのに落ちたら留学できないんでしょ?」
「ああ基準以下なら王都の学園への進学になるがマーリンの実力でそうなる可能性はない。
ほかの審査で落ちる可能性はあるが国家間の問題を考えると留学はほぼ決まりだ。」
「まぁ成るように成るだろうから頑張ってみるよ。
それよりも旅の支度の仕方を教えてくれない?
何を持っていけばいいか全然わからないんだ」
「そうだな。まずは服装についてだがこれは問題ない。
今シェーラやルーリィが二人で用意しているだろうからそれを持っていけばいい。
硬貨もこんなには必要ない。それの三分の一ほどを持っていくといい、残りは私が王都で渡そう。
それと数日分の食料があればマーリンには問題ないだろう。後は紙やペンくらいを持っていけば完成といったところだ。
火や水など魔法術で用意できるものは持っていく必要はないからな。」
確かにこっちの世界は元の世界と違って水筒とかを持ち歩く必要はない。
そう考えると旅に持っていくものはかなり少ないね。
意外と旅支度はすぐに終わりやることもなくなったので、ずっと気になっていたことを聞いてみることにする。
「エル父さんって北領同盟王国の結構偉い人だよね?」
「………ふむ。タイミングとしては今がちょうどいいな。では予定より少々早いが私の仕事を教えよう。
私は北領同盟王国機密情報統制軍所属第一情報収集部隊隊長エルヴィンス大佐だ。
主に部下からの情報をまとめ上に報告したり、自ら情報を集めたりしている。
情報統制軍は普通の軍のようにまとまって行動することはないからな私はこの村に住みながら働いている。」
「肩書き長いねエル父さん」
「軍は立場が高くなるほど肩書きも増えていくものだ」
「機密情報統制軍って僕に教えていいものなの?」
「機密と銘打ってはいるが別に隠しているわけじゃない。それに機密情報を教えているわけでもないしな。」
「オフェリアのことは機密情報だよね」
「あれは秘密だ。だからほかの人には言わないように。それに教えておいて良かったと今でも私は思っている」
「そうなんだ。まあ知っておいて良かったと僕も思ってるけど」
「ではマーリン。あの二人は今作業中だろうからな、私たちは庭で稽古でもしていよう」
「別にいいけどなんでそんなに楽しそうなの?」
「シェーラからマーリンと上級魔法術使用可能での試合をしたと聞いている。最後に私ともその条件下でやってみるのも悪くないだろう?」
「エル父さん僕は明日から一人旅だから今日はゆっくり休むことにするよ」
「安心して良い。一回しかしないからすぐに休める」
これは絶対に逃がしてくれない流れだ。
僕は試合の回避を諦めてさっさと終わらせる方針で思考を回すことにした。
庭に移動するときにエル父さんは実戦用の剣を部屋から持ち出してきた。
「(あ〜〜これかなりマジなやつだよ。エル父さん、僕死んじゃうよこれ)」
と思いを飛ばしてみたものの伝わるはずがなく、庭に到着した。
少しでもいいなと思っていただければ幸いです




