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【聖剣の大賢者】君の人生は面白い!〜少年はただ自由に生きる  作者: あっちこっち
四節 一時の日常
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祭りは夜が本番だよね

収穫祭後半です

数えきらない人に度数の高い安酒を配り、酔わせてきた。その数に比例する様にしておじさん達からのアプローチも増えていく。

働けば働くほど状況が悪くなるシステムがここにあった。


「はぁ〜疲れるよほんと」


手元にあったお酒を配り終え思わず声が口から出る。



「おう!お疲れさんマーリンちゃん!!」

「お疲れ様ですマーリンちゃん。」

「へへへお疲れのようですねマーリンちゃん」


僕が立ったまま少しだけ休憩しているとアストにホット ヒムさんが話しかけてきた。

三人とも顔は赤みがかってはいるがまだ完全には酔っていないようだ。


「三人はそこまで飲んでいないんだね」

「そりゃ〜な、俺たちは一応村の防衛の依頼できてるからな」


「意外とちゃんとしてるんだね」

「僕みたいな低ランクの冒険者はこういうことに気をつけてないとランクをあげてくれないんですよ」


「色々と大変なんだね」

「へっへっへへそれはマーリンちゃんには言われたくねーですねへへへへ」


「これも大好きな家族のためだよ」

「あはははそれが理由でお前こんな事してんのかよ、親子揃って家族愛がつえーな」


「エル父さん達を見たの?」

「はい見ましたよ。三人で祭りを回っているみたいで、エルヴィンスさんがずっと周りを警戒しててすごかったよ」

「ははは想像できるよ」


きっといつもよりも数倍怖い顔で周囲の男達を睨みつけているんだろうね。



「マーリンちゃんはこの後もずっと仕事ですかい?」

「多分もうすぐ終わりだよ」


「へーどうしてだよ?」

「もうほとんどの人がべろんべろんになってるからね、後は勝手に自分で飲んでいくからだよ。

ここからは例年やりたい人だけやるって感じらしいからね」


「やりたい人なんているんですか?」

「まぁ祭りだからね。お小遣い稼ぎをしたい人とか、良い人見つけてそのまま盛り上がったりとか色々あるからね」

「「ほ〜〜う」」


アストとヒムさんは理解したようで興味津々と言った感じになり、ホットはよく分からないという顔をしている。


「でも三人とも仕事があるでしょ。」

「いえいえマーリンちゃんそこは心配ありませんよ。一応昼と夜で班は作っていますからね。

ちなみにあっしらは昼ですぜ」


「そーいうこったマーリンちゃん。」

「なんの話かわからないけど、アストはサリさんに呼ばれてますよね」

「げっ!確かに呼ばれてた」


「へっへへアスト君はサリちゃんとよろしくやってくださいな、あっしはこの後も祭りを楽しむ予定ですから。ホット君はどうします?」

「僕もこの後少しだけ祭りを楽しんでから寝るつもりですよ」


「お酒は意識が保てるくらいにしといたほうがいいよ」

「マーリンくん、僕はそこまで子供じゃないんだよ」


三人とも楽しそうにわちゃわちゃしだしたので、そろそろ仕事に戻ることにする。


「じゃあ三人とも僕はそろそろサーマさんのところに行ってくるよ」

「おう!じゃあな」



三人と別れた後酒場にいるサーマさんのところに行き、終わることを報告した。

サーマさんとサーレは酒場の経営があるから今日は祭りが終わるまでずっと働くようだ。

トムも酒場でサーレの事を気にしながら手伝っていた。

愛しの婚約者が心配で心配で仕方ないんだろう。

サーレの父親であるマックさんと共に問題にならない程度の視線を男性客に浴びせていた。


酒場でサーマさんに報告した時にちょうど家に帰ろうとしているエル父さん達とも会い、少しだけ話した。

エル父さんはまだ周囲への警戒を解いておらず言葉少なめだったけど、シェーラ母さんやルーリィとは祭りの感想などを交換した。二人ともちゃんとお祭りを楽しめた様だ。


エル父達が帰った後、僕は酒場の端っこで祭りの雰囲気を味わってから帰ることにした。

服装は勿論男物の服を着ている。

ちょうどカウンター席が空いていたのでそこに座ろうとすると、空いている席の横にはアンジュさんが座っていた。

アンジュさんも僕に気づいたようで手を振ってくる。


「マーリンも終わりか?」

「終わりましたよ。アンジュさんは昼の班だったんですか?」


「ああそうだ。今は特にやることもないからここで一人酒を飲んでいるんだ。

マーリンは祭りの雰囲気を楽しみに来たのか?」

「そうですよ。まだお酒を飲むには早すぎますからね」


こーいう状況で僕はアンジュさんと話した事がない。稽古の時とかにはよく話すんだけど、それ以外ではどういう風に話したらいいかよくわからない。

アンジュさんは僕より年上なので無難な言葉使いで話してみたんだけど、アンジュさんの顔が少しだけ寂しそうになった。

多分僕の話し方がいつもよりも固いの方気にしてるんだと思う。

失敗してしまった。


「あ〜っと.アンジュさん、今日は祭りの日ですから少しだけ砕けた喋り方になっても許してくれますか?」


アンジュさんはその言葉を聞くと僕の方を見て少しだけ笑った。

多分今の僕の焦っている顔がおろしろかったんだと思うけど、お祭りの夜に相手を悲しませてしまったら焦るものじゃないかな。


「そうだな今日は祝いの日だ、それくらいは気にしない」

「ありがとうアンジュさん」

「アンジュでいい、私もマーリンと呼んでいるしな」


今度は僕がアンジュさんの顔を見て笑ってしまった。

アンジュさんは少しだけ恥ずかしそうにしながらお酒を口にしている。


「そうだね、じゃあアンジュって呼ばせてもらうよ。」

「ああそうしてくれ」


アンジュの顔はとても嬉しそうな表情になっている。

その顔があまりにも嬉しそうな顔だったので、気になって聞いてみることにした。


「もしかして今までアンジュって呼ばれたことないの?」

「うっ!うぅ そうだ。

私は家族と離れた後アンジュと呼ばれた事がない。大体がアンジュさんとかアンジュちゃんでな。まぁそこまで不満はないができればマーリンくらいにはアンジュと呼ばれたい」 


「はははは!アンジュって戦いでのコミュニケーションは得意なにね。」

「それは本当に悩んでいるんだ。ここに来て少しはマシになったと思うが、まだ苦手だ。」


「時間ができたらシェーラ母さんと練習してたもんね」

「知っていたのか!?

隠せているつもりだったんだがな、まぁ今更か。

シェヘラザードさんやマーリンが羨ましいよ。

とても人とのコミュニケーションが上手いからな二人は。」


「シェーラ母さんは凄いけど僕は全然だよ。

コミュニケーションなら僕より三歳年上のルート兄さんの方が得意なんだよ」

「マーリンも私からすれば十分凄いがな」


アンジュさんはお酒のせいもあるだろうけど、いつもよりも自然に話せている。

雰囲気もだいぶ柔らかいものになっていて、さっきからチラチラと周りの人達が話しかける機会を伺っている。

いつもかっこいい感じの女性だけど今は可愛らしさがかなり増している状態だ。



「この村に来てもう三週間ほどになるかな。最初にこの村に来た時は驚いた。

冠位十一階以上が四人もいる村なんて普通はないからな。」

「やっぱりそんなんだね。意外と普通のことなのかな?とかって勝手に考えてたんだけど」


「全然普通じゃない。普通の村には冠位六階が一人でもいればいい方だ。

それに一番驚いたのはマーリンの事だ」

「僕?」


はて?何かやったかな。

特に変わったことはしてないと思うんだけど。

アンジュさんは僕を見て少しだけ笑いながら


「ああマーリンだ。最初にマーリンだけは護衛なしで森に入っていいとなった時はかなり話し合いになったんだ。

まあそれはエルヴィンスさんとマーリンの朝稽古を見て納得する事ができたんだがな。

マーリンはその年では考えられないくらい強いからな、私の常識が覆されたよ」


「いやいや多分僕はそこまでおかしくないと思うよ。

ほら一個上は祝福の世代なんて呼ばれてるしね」

「いーや十分おかしい。祝福の世代の噂はよく聞くがそこまで驚くものは今まで聞いた事がない」


「僕っておかしいのかな?」

「いい意味でおかしい。明日にはもうこの村を出発するが、私はマーリンに出会えて良かった。

マーリンほど面白い人に私はあった事がないからな」


「やっぱり明日には帰るんだね」

「ここに来たのは、この祭りのためだからな。

終わってしまえば私たちに出来ることはない」


「僕もアンジュと出会えて良かったよ。

アンジュほど不器用で可愛い人に会った事がなかったかね」

「かっ!?可愛い!?私がか?初めて言われたぞ」


「ははは!ほらその反応とかとっても可愛いよ」

「うっうぅ……私はマーリンの方がとても女の子らしく可愛いと思うがな!!」


「グハッ!!それは言ったらダメだよ」

「今日は男性陣から大人気だったなマーリンちゃん」


「ごめん悪かったよアンジュもうやめて!!」

「わかればいいんだ」


「でもアンジュが可愛いと思うのは本当だよ。

周りの人たちもそう思っていると思うよ、ほら」


ぼくが周りを指差すとアンジュも周りを見る。

そこにはアンジュを見て「可愛いぜー!」と連呼し始める酔っ払い達がいた。

その酔っ払い達はアンジュが恥ずかしそうにするのを見てさらに盛り上がり、「可愛い」の大合唱をし始めた。

その大合唱はアンジュが怒り出すまで続き、僕含めて多数の男達の頭にたんこぶをプレゼントしてきた。

それからアンジュにまた謝り、日が変わるくらいまでおしゃべりをした。


《同調》スキルを使いながら出来るだけ楽しい時間になるように頑張った。

その僕の頑張りは上手く働いた様でお互いに話が盛り上がりなかなか良い時間になったと思う。

それにアンジュの笑顔もいっぱい見れて僕としてはかなり満足している。


アンジュは話し終わる頃には寝てしまったので、前に聞いた泊まっている宿にまで身体強化を使って運ぶ。

身長差の関係でおんぶは難しかったので必然的にお姫様抱っこで運ぶ事になったんだけど、その時の周りからの視線や声でかなり恥ずかしかった。

宿の主に許可を取ってアンジュが取っている部屋に入りベッドにアンジュを寝かせ、鍵を閉めてから部屋を出る。


宿から家までの道中もまだ村は騒がしく、あちらこちらで楽しそうな声が聞こえてきた。

「(やっぱり祭りはいいものだね)」


少しでもいいなと思っていただければ幸いです

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