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早々に問題児扱い

スカイと別れてから僕は城塞都市ディミトリアの教育施設を訪れている。エル父さんから城塞都市ディミトリアにたどり着いたら向かうように言われた。

今日は三月末で期間ギリギリな訳だけど、間に合って入るからきっと許してくれるだろう。


「それで貴方は両国での重要な親善イベントだというのに、何故こんなに約束の日付ギリギリに来たのですか?留学生としての意識が足りていないのですか?」


「すみません。」


「急な留学枠への推薦で決まったが何か知りませんが、他の留学生の皆さんは一年以上の準備をして、この北両同盟王国の代表としてエルファエルに留学へ行くのです。貴方とはその覚悟が違うのですよ」


「誠にその通りです」


全然許してくれなかった。留学生の担当講師の人からずっと説教をされている。


「それで貴方はこの一年間何をしていたのですか?確か旅路は自由に決めてくるとのことでしたが、どのような無計画さでここまでこられたのですか?」


「王都で冒険者登録をした後はアリウムに向かいました。その後は流れに流されるままに気づいたらこんな時期になってました。」


「説明をする気はありますか?」


「説明はしたいですけどこれが限界です」

 

「全く説明になっていないように思いますが?」


「そう思うかもしれませんが、我ながらこれで意外と説明にはなっているんです」


スカイとあって、弟子にさせられて、修行させられた。そのままスカイに流されるままにぼくも流れに乗って、気づいたらこんな時期になってしまった。

そう考えると僕の説明は割と正確に事態を表せてると思う。

しかしこんな説明じゃあ納得はしてくれないようで、目の前の講師の人は明らかに僕へ呆れの表情を向けている。


「もういいです。明後日東門前に正午来てください。それに遅れればどうなるかもう言わなくてもいいですね」


「大丈夫です」


「それで、貴方は明後日までどうするつもりですか?このまま留学生達が集まっている寮に移動しますか?それともまた勝手な自由行動をしますか?」


どうしてこんな事になっちゃったんだろう?

出会って早々に留学生の講師からダメな奴認定されるとか、あまりにも幸先が悪すぎる。

ここで個人行動をしますなんてとてもじゃないけど言えない。


「出来れば寮でお願いします」


「そうですか。では案内しますのでついてきなさい」


講師の後ろを歩き案内されてる時、足についてるいる枷が気になった。


「そういえば足についてるこの枷っていつ外してもらえるんですか?」


「枷?ああ…確か保険とためにつけられていたのでしたか。それについては私達の管轄ではありませんので、明後日来る軍の関係者に聞いてください」


「わかりました」


それからしばらく歩いたところでようやく、僕と同じ留学生達がたむろしている場所に着いた。


「お待たせしました皆さん。ようやくエルファエルへの留学生が全員揃いました。」


講師のその呼びかけでこちらを見てくる留学生の表情を見て何となく、とても何となくだけど、あまり仲良くなれそうにないと思った。

ここにいる人全員から僕への明確な敵意というか侮蔑の意志を感じるから。


「やっときたのかよ七光。お前みたいな奴が俺らと一緒の留学候補生とかなめてんのか?(現エルフ語)」


「こーら!普通に北両同盟王国語で話してあげればいいじゃない。仲良くしようってさ。ごめんね。わからなかったよね?」


奥のリーダーぽい子からの僕への悪口を、知りながらに堂々と誤魔化してくる女子。優しさとかじゃなくて、僕が鵜呑みにするところを見て笑いたいんだろう。

久しぶりに同年代くらいの人からの悪意百%の口撃。今世では割と出会う人出会う人の運が良かったために懐かしいとすら思ってしまう。


「大丈夫だよ。エルフ語を勉強しすぎて北両同盟王国語を忘れちゃったんでしょ?(現エルフ語)」


「なっ!?」


トムは子供らしい無邪気な悪意だったけど、この人たちは人を貶めようとする悪意で接してきた。

僕が前世から一番苦手な類の人達だ。


「へ〜少しは話せるみたいじゃん。それなら問題ないんじゃねーの。流石に国も恥をかく奴を送ったりはしねーだろう。二人ともそれでいいんじゃね?」


「うっさーよ!後七光のお前も調子に乗ってんじゃねーぞ。現エルフ語なんて留学生に選ばれるなら当たり前なんだからな!!」


そう言い捨ててどこかへ散っていった留学生達。

講師の人も何も言わずにどこかに行ったし、あれが通常の態度なんだろうけど。

あの人達と数年間近くで生活しなければいけないとか、なんの罰ゲームなんだろう?

これならスカイとの二人旅の方が何倍もましだと断言できるよ。


家族を始めトムやメーフェ達、転生してから出会った同年代の人達が、前世の同年代とは違っていた。意識がぶつかる事もあったけど、それでも悪意を持って愉悦を満たすような人はいなかったんだ。


それが教育施設に関わる事になってすぐに出会うなんてね。

本当に勘弁して欲しいよ。








あの日から二日間、精神的にとても疲れた。

無遠慮な悪意に素性の探り、延々と続くそれは前世での中学 高校でよくあったもの。

何回も経験してるから、流し方は知ってるけど疲れるものは疲れる。

この年特有の強引さに悪知恵、他よりも立場が上という思い込みからきているであろう優越感。

それらが合わさった上に基本は同年代だけの社会である事も相まって、それはもう如何ともし難い面倒臭さがある。

そして僕の顔の表情筋が悲鳴を上げ始めたところでようやく城塞都市ディミトリアからエルファエルに向けて出発することになった。

少し想定外だったのが、僕たちの護衛役で来た人物くらい。


「んじゃぁこれから俺がお前ら五人と講師をエルファエルとの国境まで護送する。一応国の見栄を張る意味合いで大将の俺が総責任者だが、戦いになる可能性はないから安心しろ」


ディエゴ・マルク大将。【鉄血のホノルル】の子孫で一年半前の戦争に参戦していた人だ。


「じゃあ出発だ」


数名の部下らしき人が僕たちの乗る馬車の周りに並走し、ディエゴ・マルクは僕たちの乗る馬車の中にいる。

流石にこの国の大将の前では講師も留学生も大人しいもので、僕としては嬉しいんだけど、何故かディエゴ・マルクご本人から視線が飛んできている気がしてならない。

そんな状態で数十分揺られながら移動するのは、まあまあ疲れる時間だった。


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