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乙女の柔肌でぶちかまして  作者: いもたると


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8/17

こいつにだけは負けたくない!あれ、歓声が聞こえる?

 夕方5時。

 決戦の火蓋が切られる。



 私・玉桜と桃優奈の取組順は、前座の取組の次だ。

 入門して2年目同士の相撲なのだから、取組順は早い。


 私はこの前座の後の取組が一番嫌いだ。


 前座は入門1年目の幕下同士。

 まだ体が細い。

 今年の春に高校を卒業したばかりで、あどけない顔のほどよいムチムチボディ。


 それに続いての桃優奈である。

 こいつは相撲は弱い。

 経験は私と同じで3場所だが、最高成績が2勝5敗である。

 まだ勝ち越したことがない。


 従って私達の取組はいつも前座の後に組まれる。


 エロ目的の客が注目するのは、この序盤の取組だ。


 そこに身長156センチ体重124キロの私が登場する。

 場違い感が半端ない。


 全力女で言えば、私の方が標準体型なのだが、若い子たちの間で比べると、どこか別の惑星に漂着してしまった宇宙人のような感がある。


 桃優奈との対戦は、いつも独特の緊張感に包まれる。


 呼び出しに四股名を呼ばれ、茄子紺の締め込み・玉桜が土俵に上がる。


 続いて桃花の締め込み・桃優奈が呼ばれ、大きな歓声が上がる。

 その音がヒューヒューと聞こえる。


 実際にヒューヒューなんて口に出して言っている人はいないだろうが、私の耳にはそう聞こえる。

 下品な指笛も鳴っている。


 桟敷席の一角に向かって、桃優奈が小さく手を振る。

 お尻を突き出し、投げキッス。

 桃優奈コールが起こる。


 こんな体型になってさえ、こういうことが出来るこの女に、私は憎しみしか感じない。


 一方で玉桜を呼ぶ声は一つもない。

 私が手を振ったら喜んでくれる人は、この世に何人いるだろう?

 それが男であろうと女であろうと。


 待った無しの声が掛かり、蹲踞の姿勢から拳をついて構える。

 ファンに向かってお尻を突き出す、桃優奈お得意のポーズ。


 はぁーっと、客席からため息が漏れる。

 あれっ、おかしいな?

 いつもなら集中して歓声は聞こえないはずなのに。

 行事軍配が返った。

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