全身の脂肪を震わせ、戦う乙女たち。トドの縄張り争いと、笑わば笑え。
ここで少し私のことについて説明しておこう。
現在身長156センチ、体重124キロの19歳。
高校卒業と同時に角界に入門し、今年で2年目。
あと2か月でハタチだ。
1年間の幕下生活を経て、今年の春から幕内に上がった。
本場所を3場所経験し、勝ち越し1度、負け越しが2度。
幕内デビューから2場所連続で負け越してしまったが、先場所は勝ち星の方が一つ多かった。
今場所で4場所目であり、何としてでも先場所に続いて勝ち越しを決めたいところだ。
体型は子供の頃から太っていた。
母親によると、赤ちゃんの頃から太っていたそうだ。
要するに、自慢じゃないが生まれてこのかた痩せたことがない。
今まで彼氏がいたことなどは一度もなく、人からかわいいなどという言葉を掛けてもらったことなども、おそらく赤ちゃんの頃はあっただろうと推測されるが、少なくとも私の記憶にはない。
その代わりに人生を通じて人からデブ、デブと言われ続けた私は、高校1年生のときにインターネットの動画を見て女子大相撲の存在を知った。
スマホの小さな画面には、裸同然の恰好で、汗まみれ土まみれになりながら戦う、巨漢の女の人の姿があった。
まさに神の振り下ろした雷が、私の脳天を突き抜けた。
とても男性の目を意識したものとは言えないが、女が純粋に力を求め合い、強さを求め合い、覇道のために汗水垂らす姿は美しく、この私の豊満の上に豊満を重ねた全身の脂肪を打ち震わせた。
しかし、動画のコメントには、トドの縄張り争いと書いてあって、1000以上のいいねが付いていた。
実際この女の人たちは、まわしの代わりにセクシーな下着を着けていたとしても、微塵も男を惹きつけないだろうな、と思った。




