偶然見つけた自分の相撲。会心の勝ち名乗り。
偶然だったが、右手で栃乙女関の左肘の跳ね上げていた。
左手だけが後ろに押され、体のバランスが崩れる。
すかさず左で前みつを掴み、足を前に送る。
偶然流れで右を差すと、相手の腰が伸びた。
そのまま一気に駆けると、強靭な足腰を誇る相手の体はあっさり土俵を割った。
会心。
勝ち名乗りを受け、支度部屋に戻る。
会心。
相撲を取っていて、こんなに爽やかな気持ちになったのは初めてだった。
会心。
自分の相撲を見つけた気がした。
その後も私は勝ち続けた。
露骨に頭でぶつかることはしなかったが、立会いの踏み込みで負けなくなった。
思い切りぶつかり、下から押っ付け、手を相手の肘に充てがう。
体を崩したところを、左前みつを取って右を差して一気に寄り切る。
押し相撲一辺倒だった私の急激な変化に、他の先輩力女たちは戸惑っていた。
私はまるで人が変わったような相撲で白星を重ねていき、連勝に連勝を重ねた。
勝ち星を重ねるにつけ、私に対する歓声は日に日に大きくなっていった。
か、どうかは分からない。
もう、周りの声など聞こえてこない。
人が私のことをどう思ったっていいじゃないか。
私の体を見て、笑いたければ笑えばいい。
トドだとかアザラシだとか言いたいのならば、勝手に言えばいい。
もし欲情したいのなら、そんな人がいればだが、欲情すればいいじゃないか。
私はそんな覚悟で相撲を取っているわけではない。




