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第124話 第四十九階層

 第四十九階層の最奥部。ボス部屋である五十階に登る階段手前の広場には、一階とは比べものにならないほど多くのプレイヤー達が控えていた。


「おっ、命知らずがまた来た」

「今度は三人もか……何日前線に立ってられるかな?」

「歓迎するよ、新しい英雄たち。一緒に頑張ろう」


 口々にそう言う中で、一人のプレイヤーが「あっ!」と声を上げ、九龍を指差しつつ近づいて来た。


「おいおい、九龍さんじゃないか……一番来ないと思ってたよ」


 紺色の袴を着た、侍のような姿の男性プレイヤー。頭上には『蜷川新右衛門オルタ 日本・京都』の文字が浮かんでいる。

 どうやら、九龍の知り合いらしい。気がついた九龍も「あぁ、君か」と呟いて、


「今はここの二人と組んでてね。一応あんな情報も出した訳だし、来ないわけにもいかないだろうと思ってね」


 そう続けた。


「おや、お二人ともお知り合いなんですね?」

「うん。何度か私から情報を買ってる常連だよ。腕も良い」


 九龍の言葉に、新右衛門は頭を掻いて「いやいやそんな」と恥ずかしげに笑って、ミツルと茶々丸に自己紹介をした。


「改めまして、蜷川新右衛門オルタです。どうぞよろしく」


 右手を差し出す彼に、ミツルと茶々丸も各々簡単に名を名乗ると、握手を交わした。


「……そういえば、今は皆さん何をされてるんですか?」


 自己紹介を済ませ、軽く談笑をした後、ミツルはふと尋ねた。

 新右衛門はちらりと九龍へ目をやると軽く頷き、言った。


「今は、九龍さんのもたらした情報を元に、みんなで作戦会議を行っているところです。

 この階層で停滞して、もう二週間近い。

 今まで五回にわたってアタックを繰り返して来ましたが、こっちが損耗するばかりでしたからね、みんな慎重になってるんです」


 もっともな話だ。

 ゲームのシステムとして、戦闘終了から一定時間が経過すれば、モンスターのHPは自動で回復する。

 無策のまま突っ込んでも、得られる利益はほとんど無い。それならば多少の時間をかけても、入念に作戦を練るというのは合理的な判断だ。

 だが、やはり如何せん期限までの残り時間が少ない。

 プレイヤー達の顔には、焦りの色が浮かんでいた。


「中核のメンバーは、この階層を遅くともあと一週間以内に攻略するつもりで動いているようです。そうでなきゃ、間に合わない」

「でも、焦れば焦るほど犠牲が増える可能性が上がる、と」


 新右衛門は、重々しく頷いた。

 重たい沈黙。ミツルは茶々丸、九龍と目を見合わせると、口を開いた。


「一度、その中核メンバーに会わせては貰えませんか? 九龍もいることですし、何かお役に立てるかも知れない」


 新右衛門の顔が、ぱっと明るくなった。


「それは、もちろん! 是非ご案内しますよ。

 実のところ、中核メンバーも今人手不足でして……この階層で随分やられましたし、誰も責任を取りたくないので後釜に座りたい人も少なくって、作戦会議に支障が出てたんですよ。

 いやいや、本当にありがたいです……! さぁ、こちらへ」


 一行は新右衛門の案内のもと、奥へと進んだ。

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