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25. キーワードその2なのじゃ

☆データ情報☆

※使用したデータは2026年09月29日時点のものなのじゃ。そのため今の値から多少ずれがあるのじゃ

※これらのデータは公式から提供されるものではなく、個人が集めたデータからの推測なのじゃ。

「では次に、【ボーイズラブ】【ガールズラブ】【異世界転生】【異世界転移】【AI直接使用】といった、チェックや選択で自動的に付くキーワードについて見ていこうかの」


「あの……神様、チェック欄って確かもうひとつ、【残酷な描写あり】っていうのもありませんでしたっけ……? あれは今回のデータに入っていないんですか?」


「よい質問じゃ! 実はな【残酷な描写あり】は、今回の分析からはわざと外しておるのじゃよ」


「えっ? どうしてですか……?」


「このキーワードは、何をもって残酷とするかの基準が公式に決まっておらんのじゃ。じゃから、ちょっとした戦闘や流血があるだけで、『念のために保険としてチェックを入れておこう』と付けておく作家が山ほどおる。


 それに、厳しい現実を突きつけるデータを出すエッセイに、【残酷な描写あり】を付けておる作家もおるのじゃ。


 まあ、間違ってはおらんのじゃがな。作品の中身を正確に表す目印にはならんから外したのじゃよ。今回は、中身をはっきり特徴づける4つの要素と、AIのキーワードで分析していくぞ」


「わかりました!」








挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


「では最初に、全体でどれくらい使われておるかを見ていくのじゃ。1枚目は、そのキーワードが付いておる作品の割合じゃ。全体で見ると、ボーイズラブが27.4%、ガールズラブが7.2%、異世界転移が5.9%、異世界転生が5.6%、AI直接使用が0.9%となっておる」


「ボーイズラブが4作品に1作品以上もあって、断トツですね……」


「うむ。これは、全作品の約4分の1を占めるムーンBLの作品が、そのまま丸ごと入っておるからじゃな。


 じゃが小僧、2枚目と見比べてみよ。2枚目はそのキーワードを1作品でも付けたことのある作者が、全体の何%おるかじゃ。何か気づかんか?」


「えっ……? 作者の割合……? あ! 作品の割合だと5〜7%しかなかった異世界転移や異世界転生、ガールズラブが、作者の割合だと倍以上に跳ね上がっていますよ……!?」


「うむ。ボーイズラブは、作品(27.4%)と作者(28.1%)でほぼ同じ数字じゃろ? これは『普段は別のジャンルを書いておる作者が、たまに1作だけBLを書く』ということがほとんどなく、BLを書く作者とそうでない作者がくっきり分かれておるということじゃ。


 対して、異世界転生や異世界転移、ガールズラブは、『たまに1作だけ書いてみた』という作者がたくさんおるということじゃな。異世界転移でいえば、およそ7人に1人の作者が、一度は付けたことがあるのじゃよ」


「確かに……人気ですもんね……」








挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


「続いて、ボーイズラブについて見るぞ! 1枚目がサイトごとの割合、2枚目が初回掲載年ごとの移り変わりじゃ。3枚目は、2枚目からムーンBLを外したものじゃ。ムーンBLの線がずっと100%近くに張り付いておるせいで、ほかのサイトの線が下でつぶれて見えにくいからの。


 当たり前じゃが、ボーイズラブはムーンBLが断トツじゃ」


「断トツですけど、98.5%? え、どうして100%にはならないんですか……?」


「ボーイズラブのキーワードはムーンBLを投稿先に選んだだけでは勝手には付かず、投稿画面の『作品に含まれる要素』でチェックを入れねばならんからじゃ。うっかりチェックを入れ忘れた作者もおるのじゃろうな。とはいえ、サイトで区別されておるから、特に困ることはないようじゃ」


「なるほど……。でも意外ですね。BLはミッドナイトにも8.2%、ノクターンにも3.1%あります……」


「そうじゃ。ミッドナイトは、官能を主目的にしない成人向けのサイトじゃから、そういったBL作品も一定数あるのじゃな。


 移り変わりを見ると、ミッドナイトは2017年ごろの約6%から2025年には約11%まで上がっておる。逆に、ノクターンとムーン女性向けは、少しずつ減っておるぞ」









挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


「次にガールズラブじゃ。割合は、ノクターンが12.3%、ミッドナイトが12.3%で、ムーン女性向けは4.2%、ムーンBLは0.6%じゃな」


「ガールズラブは、ノクターンやミッドナイトに多いんですね……」


「うむ。ノクターンとミッドナイトでは、8作品に1作品がガールズラブのキーワードを持っておるのじゃ。


 移り変わりを見ると、初めのころはムーン女性向けのほうが多かったが、2010年ごろにノクターンに抜かれたのじゃ。それからノクターンは、10〜15%ほどをずっと保っておる。ノクターンでは、女の子同士の関係を描いた作品が根強く読まれておるようじゃな。


 それに、それを主題として描く純粋な百合作品だけでなく、ハーレムものの一場面として含まれる作品にもチェックが入るから、ノクターンでは数字が大きくなるのじゃろう」


「なるほど。ちなみに、どうしてムーン女性向けは2005年の割合が高いんですか……?」


「もともと作品の数が少なくて、その中にたまたまガールズラブの作品があったから、割合が高くなっておるだけじゃな。特別に多かったわけではないぞ」







挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


「次は異世界転生じゃな。異世界転生は、どのサイトも5〜8%くらいで、ミッドナイトが8.1%と少し高めじゃ」


「思っていたよりも少ないですね。……あれ? でも、移り変わりを見ると、2015年以前ってほぼ0%じゃないですか!? 昔は異世界小説なんて、全然なかったんですか……!?」


「いい質問じゃな。そこが、データを見るうえで一番気をつけねばならん落とし穴じゃ! 昔に作品がなかったのではない! 公式がこのチェック欄を作ったのが、2016年じゃったからなのじゃよ!」


「あ……! そういえば、2016年に新しくできたんでしたね……!」


「そうじゃ。2016年5月のジャンル再編成のときに、『登録必須キーワード』として新しくできて、当てはまる作品は必ず設定するようにと決められたのじゃよ。じゃから、2016年からの急な上がり方は、ブームが起きたのではなく、『決まりができて、当てはまる作品が付けるようになった結果』なのじゃ。見るべきは、2017年より後の動きじゃぞ!」


「なるほど……。それで見ると、ノクターンは2017年くらいが一番多くて、そのあとは少しずつ下がっていますね。逆に、ムーン女性向けやムーンBLのほうが高いくらいです」


「うむ。ムーンでは、悪役令嬢や悪役令息に転生する設定の作品が多いから、割合が高めになっておるようじゃな」








挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


「異世界転移のほうも見ておくかの。こっちも異世界転生と同じような傾向じゃ。2016年より前が低いのも同じ理由じゃぞ」


「異世界転移のほうは、2017年ごろから下がり気味ですね……」


「うむ。昔は異世界トリップのような転移ものが人気じゃったが、生まれ変わる転生のほうが、設定を自由に作りやすいのかもしれんの」







挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


「今のはチェック欄の2つだけじゃったが、作者が自分で入れたキーワードも含めて、『異世界』という文字を含むキーワードが1つでもある作品の割合も見ていくかの。『異世界恋愛』や『異世界ファンタジー』のような言葉も入るから、転生や転移ではない、最初から異世界が舞台の作品も数えられるのじゃ。


 1枚目の作品の割合では、ムーン女性向けが18.8%、ムーンBLが16.5%、ミッドナイトが16.0%、ノクターンが11.4%となっておる。


 2枚目の作者の割合に至っては、ムーンの作家の3人に1人は異世界ものを書いたことがあるのじゃ」


「異世界ものは女性向けで人気なんですね。思っていたよりノクターンは少ないですね」


「そのようじゃな。といっても、ノクターンでも作者の4人に1人は異世界ものを書いておる。女性向けでは特に異世界ものが多い、と考えるのがよさそうじゃ」








挿絵(By みてみん)


「年ごとの移り変わりで見ると、もっと分かりやすいかの。この図も、2016年にできた決まりの影響は受けておるが、2015年以前にも5〜10%ほどあって、異世界ものが前からあったことも分かるぞ。


 ノクターンは2017年の約18%を山に、2025年には約9.6%と下がり続けておる。じゃが、ムーン女性向けは逆に、2021〜2023年に約25〜26%まで上がって、2025年も約20.5%と高いままじゃ」


「女性向けは最近の作品に特に多いんですね……!」


「男性向けでは異世界ものの勢いが落ち着いてきた一方で、女性向けでは、むしろ近年になって異世界恋愛が大きな流れになっておるようじゃな!」


「確かに、悪役令嬢や婚約破棄、聖女ものは、本家のなろうでも流行っていますもんね……」








挿絵(By みてみん)


「さあ小僧、ここからが今回の山場じゃ! これらのキーワードが付いておる作品とおらん作品で、総合ポイントの中央値がどう違うのかを比べてみたぞ! まずはノクターンからじゃ。


 異世界転移(あり約350pt/なし約180pt)も、異世界転生(あり約430pt/なし約170pt)も、キーワードがあるほうが高くなっておる。ガールズラブも少し高めじゃが、ボーイズラブはないほうが高いぞ。ノクターンでは、ボーイズラブを読みに来る読者はそれほど多くないようじゃな」


「異世界は人気なんですね……」


「うむ。ノクターンでは、異世界ものやガールズラブの作品は、ポイントが高めに出ておるようじゃな」







挿絵(By みてみん)


「次にムーン女性向けじゃ。異世界転生なしが約500ptなのに、ありの中央値は約2,200ptと、4倍以上も高いのじゃ。異世界転移も約1,400ptと高いぞ。異世界ものがはっきり人気のようじゃ。


 逆に、ガールズラブもボーイズラブも、ありの中央値はかなり低いのじゃ。ムーン女性向けの読者が読みに来るものとは違うのじゃろう。作品の良し悪しではなく、置き場所の問題じゃな。ガールズラブはノクターン、ボーイズラブはムーンBLに投稿したほうがよさそうじゃ」


「ガールズラブやボーイズラブは、投稿する場所を間違えると全然読まれなくなっちゃうんですね……!」







挿絵(By みてみん)


「ムーンBLも見ていこうぞ。転生なしの約350ptに対して、ありの中央値は約2,400ptで、約7倍まで跳ね上がっておる。転生も転移も大人気じゃな。ガールズラブは、当たり前じゃがそれほど求められておらん。ボーイズラブのチェックを付け忘れた作品は、少しポイントが低めじゃな」


「女性向けは本当に異世界ものが大好きなんですね」


「女性向けやBLでの異世界転生の人気は、まさに圧倒的じゃな! 本家のなろうで異世界恋愛が流行るのも、うなずけるのう」







挿絵(By みてみん)


「ミッドナイトでは、どのキーワードも付いておる作品のほうがポイントが高めじゃな。といっても、ほかのサイトとはポイントの桁が違って、中央値はかなり低い。これは、キーワードをきちんと設定する作品ほど読者の目に留まりやすい、という前回の話と同じかもしれんの」


「まずは、どんな作品か分かりやすくすることが大事ってことですね」


「うむ。ただし、どのサイトでも『付ければ伸びる』とは言えんぞ。異世界ものは2016年以降の新しい作品に多いし、長い連載も多い。新しい作品や長い連載はもともとポイントが高くなりやすいから、その影響も混ざっておるのじゃ」







挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


「では次は、AI直接使用の割合じゃな。これは、2026年6月9日から、編集画面で『AI利用状況』の設定が必須になったものじゃ。


 区分は【直接使用】【間接利用】【補助的利用】【不使用】の4つじゃが、キーワード欄に出るのは、『AIが生成した文章を、本文にそのまま使った箇所がある』という【直接使用】だけなのじゃよ」


「あ、下書きに使ったり、誤字チェックに使ったりしただけの作品は、キーワードには出ないんですね!」


「その通りじゃ。それに、これは作者の自己申告じゃ。じゃからこのデータは、あくまで『直接使用したと申告した作品』の割合じゃぞ。それを頭に入れてグラフを見るのじゃ」


「わかりました!」


「1枚目のサイト別は、全期間の作品で数えておるから、とても小さく出ておる。2枚目の年ごとの移り変わりを見よ! 2024年まではほぼ0%じゃったのが、2025年にノクターンで約3.5%現れ、2026年にはノクターンで約9.6%、ミッドナイトで約7.0%、ムーン女性向けで約3.9%、ムーンBLで約1.3%へと急に増えておるじゃろ?」


「ノクターンだと、今年始まった作品の10作品に1作品に付いているんですね……! でも、2025年以前の作品にも付いているのは、なぜですか?」


「前からある作品も、2026年9月1日からは、この設定をせんと更新ができんようになったのじゃ。じゃから、連載を続けておる作者が設定した分が、古い年にも出ておるのじゃよ。


 さらに言えば、設定が必須になった6月9日以降に始まったノクターンの作品に限れば、その割合は約16%――およそ6作品に1作品になるのじゃ!」


「直接使用以外のAIの使い方も含めたら、かなりの数の作品でAIが使われていそうですね……」








挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


「では最後に、AI直接使用のキーワードが付いた作品と、付いておらん作品のポイントを比べるぞ! 比べやすくするために、設定が必須になった2026年6月9日以降に投稿された作品だけを取り出したものじゃ!


 ノクターンを見ると、キーワード未記載の中央値が約30ptに対して、キーワードありは約20ptと、少し低くなっておる。ただ、箱は大きく重なっておるな」


「ノクターンは、それほど変わらないんですね」


「一方、ムーン女性向けだと、キーワードなしの約90ptに対して、キーワードありは約15ptと、6分の1ほどまで落ち込んでおる。ムーンBLも、なしの約50ptに対してありは約8ptじゃ。


 ミッドナイトは、キーワードがあってもなくても中央値はほぼ0ptじゃな」


「やっぱり、AIを使った文章って読者さんから敬遠されちゃうんでしょうか……?」


「確かに数字だけを見れば、キーワードが付いた作品のほうがポイントが低く出ておる。じゃが、決めつけてはならん。このデータには、いくつも前提があるのじゃ。


 1つ目に、『直接使用』は、AIが出した文章をそのまま使った箇所がある、と申告した作品じゃ。全部がAIの文章とは限らんし、申告しておらん作品もあるじゃろう。


 2つ目に、比べておる『キーワードなし』には、間接利用や補助的利用の作品も混ざっておる。AIを使った作品と使っておらん作品を比べたものではないのじゃ」


「あ……! 純粋な『人間対AI』の対決ではなくて、キーワードが表示されているかどうかの違いでしかないんですね!」


「その通りじゃ! 読者がキーワードを見て避けたのか、作品の作り方の違いによるものなのか、理由はデータからは決められん。じゃが今回のデータでは、AI直接使用のキーワードが付いた作品のほうが、ポイントの中央値が低かった。特に女性向けでその差が大きかった、ということは言えるのう」


◇


「どうじゃ小僧、チェックや選択で付くキーワードの傾向は見えたか?」


「はいっ……! 異世界転生や転移は、ノクターンでは決まりができた直後の2017年ごろが一番多くて今は落ち着いてきていること、女性向けでは異世界ものが今も多いこと、同じキーワードでもサイトによってポイントが高い側にも低い側にもなること……そして、AI直接使用のキーワードが、6月以降のノクターンの作品では約16%まで増えているっていう動きまで、ものすごくよく分かりました!」


「うむ。では次回が最後のデータの講義じゃ。最後は、どんなキーワードが人気で、どのような流行があったのかを見ていこうぞ」


「は、はいっ! 次回もよろしくお願いします、神様……!」

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