24. キーワードその1なのじゃ
☆データ情報☆
※使用したデータは2026年09月29日時点のものなのじゃ。そのため今の値から多少ずれがあるのじゃ
※これらのデータは公式から提供されるものではなく、個人が集めたデータからの推測なのじゃ。
「帰り道、ナンパに絡まれとった美女をなんとなく助けて名前も告げずに立ち去ったら、数日後に隣の部屋に助けた美女が引っ越してきた、すごい偶然ですねって2人で驚きあっていたが、いつの間にか交流が始まり、美女の方は『あの時のお礼です』と言いつつ、毎日手料理を持ってくるし、なぜか予定は全部把握されとるし、気づけば合鍵まで作られとる、見た目は清楚で控えめなのに二人きりになった途端に豹変、『あの時からずっと、あなたのことしか考えられなくて』と【自主規制】され、戸惑っとるうちに主導権は完全に向こうのもの、断ろうとしても上目遣いと涙目で封じられ、逃げようとしても既に外堀は埋まっとる、恩返しという名の重すぎる愛情表現は日に日にエスカレート、昼は甲斐甲斐しく【自主規制】、夜は一方的に【自主規制】……そんな女性に会いたいのじゃ~、のじゃ~……おっ、小僧。来たか」
「こ、こんにちは……。それ、ちょっと怖くないですか?」
「そこがよいのじゃ。まあよい、本題じゃ。今日はキーワードじゃ。世の作家たちはキーワードをいくつ付けておるのか、そしてキーワードの数によってポイントはどう変わるのかを見ていくぞ」
「はい!」
「グラフを見る前にキーワード設定の仕組みについて説明しておくぞ」
「仕組み……ですか? キーワードって、作者が好きな言葉を打ち込むだけじゃないんですか……?」
「基本はそうじゃ。作者が自由に入力できるキーワードは最大15個までで、1個あたり10文字以内と決まっておる。じゃがな、それとは別に、投稿画面には『作品に含まれる要素』というチェック欄があるのじゃよ。【残酷な描写あり】【ボーイズラブ】【ガールズラブ】【異世界転生】【異世界転移】の5つじゃ。そして最近新しくできた、AIを使ったかどうかの設定もあるのう」
「あ! チェックを入れると自動的につく言葉ですね!」
「そうじゃ! あれらにチェックを入れると、作者が入力した15個の枠とは別に、キーワードとして自動で足されるのじゃよ。そして公式のAPIからデータを取ると、これらが全部、空白で区切られた1本の文字列として出てくるのじゃ。今回の集計では、その文字列を空白ごとに切り分けて個数を数えておるぞ」
「なるほど……!」
「うむ。じゃから最大は、15個にチェック欄の5個とAIの設定の1個を足した21個じゃな。
しかしながら、1個の入力枠(10文字以内)の中に空白を入れて、複数の言葉を詰め込む作者もおるからの。今回の集計では、空白で区切られたものは別々の言葉として数えておる。じゃから21個を超える作品もあるのじゃ。キーワードの枠をいくつ使ったかではなく、言葉をいくつ入れたか、と考えてほしいのじゃ」
「わかりました!」
「では、まずは全体の様子じゃ! 作品のキーワード数の分布を見るがよい。横軸がキーワードの数の帯、縦軸がその帯に入る作品の割合じゃ。帯の幅は、1〜2個、3〜5個、12〜15個……とそろっておらんから、棒の高さだけで比べすぎんようにな。
一番高いのは6〜8個で約26.5%じゃ。次が3〜5個の約21.6%、9〜11個の約20.0%、12〜15個の約18.1%じゃな。3〜11個の範囲だけで、全作品のおよそ68%――3分の2以上を占めておるのじゃよ」
「思っていたより付けていますね。入力の上限近くの12〜15個も、けっこうあります……!」
「うむ、上限いっぱいまでキーワードを埋める作家も多いのじゃ。さらに、16〜20個が約6.0%、21個以上も約0.3%あるのじゃ。逆にキーワードが0個の作品も約1.6%あるぞ」
「僕はキーワードを2個しか付けなかったので完全に少数派ですね……」
「キーワードが2個以下の作品は、全部合わせても全体のわずか7.5%じゃな」
「続いて、サイトごとの比較に入るとしようかの。中央値はノクターンが8個、ムーン女性向けが7個、ムーンBLが8個、ミッドナイトが7個じゃな」
「どのサイトもほとんど同じですね……?」
「うむ。サイトによる中央値の差は、わずか1個じゃな。ちなみにムーンBLは、ほぼ全作品に【ボーイズラブ】が付いておるから、それを引けば実質7個で、ムーン女性向けと同じになるのじゃ」
「そうなるとノクターンが1個だけ多いくらいですね……」
「サイトごとの分布も見ていこうぞ。見方はさっきと同じで、帯ごとの割合をサイトごとに並べたものじゃ。
ノクターンは12〜15個が約21.4%もあって、ほかのサイト(約14〜18%)よりも多いほうに寄っておるの。ムーンの2サイトは、どちらも同じくらいじゃな。分布もよく似ておる」
「ノクターンはキーワードをたくさん付ける人が多いんですね……」
「そうじゃな。ノクターンはタイトルも長く、情報を詰め込む作品が多かったが、キーワードもたくさん付ける作家が多いようなのじゃ。そして小僧、ミッドナイトを見てみよ!」
「ミッドナイトは分布が少ないほうに寄っていますね……」
「その通りじゃ! ミッドナイトでは、5作品に1作品近くがキーワード2個以下なのじゃよ。ほかのサイトに比べて、キーワードをあまり付けぬ作家が多いのじゃ。お前さんの『キーワード2個』も、ミッドナイトの中では決して珍しくないわけじゃな!」
「ミッドナイトでは、僕は普通だったんですね……!」
「では次に、時代の流れを見ていくぞ。初回掲載年ごとの、キーワード数の中央値の移り変わりじゃ。
開始初期はどのサイトも中央値が5〜6個じゃったのが、年々増えていって、2026年にはノクターンもムーン女性向けもムーンBLも9個まで増えておる」
「タイトルやあらすじと同じように、付けるキーワードも増えていったんですね……」
「然り! この15年ほどで、作家たちが付けるキーワードの数は、中央値で4個ほど増えたのじゃ! タイトルの文字数と同じく、まずノクターンが2017年に8個、2020年に9個と先に増えて、それをムーンライトの2サイトが追いかけていったのじゃよ。
なお、チェック欄の【異世界転生】【異世界転移】は2016年に新しくできたものじゃから、その分の影響も少しは入っておるかもしれんの」
「……あ、でもミッドナイトは、ほとんど7個のままですね」
「うむ、ミッドナイトだけは、キーワードをあまり増やさないまま進んでおるようじゃな」
「次は、作者ごとに見たキーワード数じゃ。少しややこしいから説明しておくぞ。
まず作者1人ごとに、その人の作品のキーワード数の中央値を出すのじゃ。たとえば3作品を書いておって、キーワードが5個・8個・10個なら、その作者の値は真ん中の8個じゃ。そうやって出した作者ごとの値を分布にしたのがこのグラフじゃ。
作者ごとにしても山は6〜9個未満(約27%)で、作品ごとに見たグラフとそっくりじゃろ?」
「本当だ! 作品単位で数えても、作者単位で数えても、形がほとんど変わりません!」
「うむ。たくさん書く一部の作家だけがキーワードを増やしておるのではなく、書き手全体がこういう付け方をしておるようじゃな」
「さあ小僧、ここからが今回の山場じゃぞ! キーワードの数によって、総合ポイントはどう変わるのかを見ていこうかの。まずは全体の100%積み上げ棒グラフじゃ。
キーワードが多い右へ行くほど、1千pt以上の明るい色がどんどん増えておる。0個だと1千pt以上は約4%しかないが、12〜15個だと約38%、21個以上だと約61%もあるぞ」
「キーワードの数が増えると、高ポイントの割合が増えるんですね……!」
「ここで注目すべきは、キーワードが少ない帯で低いポイントがはっきり増えておることじゃな。特にキーワードが2個以下じゃと、一番下の灰色――0ポイントの割合も、0個で約29%、1〜2個で約17%と多くなっておるのじゃ」
「キーワードが少ないと、見つけてもらいにくいんでしょうか……?」
「うむ。キーワードで検索されたときに引っかかりにくくなるし、どんな作品か分かる手がかりが少ないから、中身を読んでもらうところまで行かんのかもしれんの」
「そして箱ひげ図も見るのじゃ! 縦軸は100ptを超えたところから対数目盛りじゃぞ。キーワードが0個で中央値は約3pt、1〜2個で約10ptじゃったが……3〜5個になったとたん、約120ptへと跳ね上がっておるじゃろ!?」
「3個以上にすると、そんなに増えるんですか……!?」
「うむ。さらに見ていくと、6〜8個で約250pt、9〜11個で約350pt、12〜15個で約500pt、16〜20個で約570ptと、キーワードが増えるほど、中央値は右肩上がりに伸び続けておる。そして21個以上の作品に至っては、中央値が約1,800ptじゃ。もっとも、21個以上は全体の0.3%しかないがの」
「キーワードを付ければ付けるほど、ポイントが伸びていくんですね……!」
「とはいえ、ここも『関係がある』というだけじゃ。キーワードを丁寧に付ける作者は、あらすじやほかのところにも手をかけておることが多いじゃろう。それに、新しい作品ほどキーワードが多く、新しい作品はポイントが入りやすい時代に書かれておる。キーワードをたくさん付けたところで、中身が伴わねば意味はないからの。そこは忘れんようにな」
「はい。見つけてもらいやすくはなりそうですけど、ポイントが入るかどうかは、中身も大事ですよね」
「では、この関係をサイトごとに分けて確かめていくぞ。まずはノクターンじゃ。ノクターンでは、キーワードの数が増えるごとに、ポイントが右肩上がりに増えておるな。21個以上では、中央値が約2,200ptまで上がっておる」
「タイトルの文字数と同じですね!」
「うむ。ノクターンは、タイトルもキーワードも、情報が多いほどポイントが高い傾向がはっきり出る土俵なのじゃ!」
「一方、ムーン女性向けでは、そうもいかん。9〜11個までは上がるが、そこで頭打ちになって、それ以上キーワードを増やしてもポイントは増えておらんのじゃ」
「これも、タイトルの文字数と同じなんですね」
「そうじゃ! 9〜15個のあたりで伸びが止まっておる。タイトルと同じで、こちらではたくさん詰め込みすぎても効果はなく、ほどほどの数でまとめるのがよいようじゃな」
「ムーンBLも同じで、9〜20個の間では、それほど変わらんようじゃな」
「女性向けは、上限いっぱいまで無理に付ける必要はないんですね! それにしても、どうして女性向けと男性向けで、こんなに違うんでしょう」
「うむ。作品の探し方の違いが影響しておると考えられるのじゃ。
男性向けは『足し算の探し方』じゃ。欲しい要素をキーワードで指定して、当てはまる作品を探す読者が多い。ゆえに情報が多い作品ほど検索にも引っかかり、読者の目にも留まりやすいのじゃ。
一方、女性向けは『引き算の探し方』じゃ。苦手な要素――いわゆる地雷キーワード――を避けながら、雰囲気や関係性で選ぶ傾向がある。情報が多すぎると、地雷に当たる確率も作品の印象がぼやける確率も上がってしまうのじゃよ。
まとめると、男性向けは『欲しいもので探す』、女性向けは『嫌なものを避けて探す』。じゃから男性向けは情報を盛るほど引っかかり、女性向けは盛りすぎると地雷を踏みやすくなる、というわけじゃな」
「なるほど……!」
「では最後に、ミッドナイトの分布を見るのじゃ。0個だと0ptが約71%、1〜2個でも約59%もあるが、3〜5個で約39%、12〜15個では約19%まで、0ポイントの割合が減っておる。箱ひげ図の中央値は、どの帯も0〜20pt前後と、ほかのサイトとは桁が違うがの」
「ミッドナイトでも、キーワードをちゃんと付けている作品ほど0ポイントになる割合が少ないんですね!」
「その通りじゃ!」
「僕の作品ってポイントが入りにくい条件に当てはまりすぎていますね……」
◇
「どうじゃ小僧、キーワードの数の大切さは身にしみたか?」
「はいっ……! 世の中の作品は7〜8個が真ん中で、年々増えていること、そしてキーワードが0〜2個の作品はポイントがとても低いこと……少なくとも3個以上は、作品に合ったキーワードをしっかり付けたほうがよさそうだってことが、すごくよく分かりました……!」
「うむ。じゃが、キーワードを15個付けたからといって、作品と関係のない言葉をむやみに並べても意味はないぞ。中身が伴わねばポイントは入らんぞ」
「はい。中身とキーワードがきちんと合っていることが大事なんですね」
「うむ。では次は、チェック欄で付くキーワード――【ボーイズラブ】【ガールズラブ】【異世界転生】【異世界転移】、そして【AI直接使用】を付けた作品について見ていこうかの」
「は、はいっ! よろしくお願いします、神様……!」




