22. 作者その1なのじゃ
☆データ情報☆
※使用したデータは2026年09月29日時点のものなのじゃ。そのため今の値から多少ずれがあるのじゃ
※これらのデータは公式から提供されるものではなく、個人が集めたデータからの推測なのじゃ。
「獣人と人間が共存する世界に迷い込んで、出会ったのは狼か獅子か豹の獣人、見上げるほどの巨体に鋭い牙、ぴんと立った耳とふさふさの尻尾、どうやら『冷酷な獣』と恐れられとるらしい、しかし自分にだけは尻尾が勝手に揺れる、獣人には一生に一度の『番』がおって、匂いを嗅いだ瞬間『見つけた』と理性が飛びかける、何がなんだかわからんまま毎日匂いを嗅がれ、マーキングされ、他の雄が近づけば唸り声で威嚇、もふもふの毛並みに埋もれて眠る夜は最高じゃが、発情期が来ると本能を抑えきれずに【自主規制】、体格差もありすぎて大変、種族の違いや差別との軋轢を乗り越え、最後は耳を伏せて『お前だけが俺の番だ』と一途すぎる【自主規制】……そんな世界で2人の関係をそのへんの植物として見守りたいのじゃ~、のじゃ~……おっ、小僧。来たか」
「こ、こんにちは……。植物でいいんですね」
「静かに見守りたいのじゃ。ほれ、本題に入るぞ。これまでは作品単位で見てきたが、今日は作者ごとにまとめて見ていくぞ!」
「作者そのもののデータ……! なんだか生々しそうですね……」
「ふふん、作者たちの活動の実態はなかなか面白いぞ。
さて、最初にも言うたが、ノクムンミッドのAPIでは、作者ひとりひとりのID番号が取れんのじゃよ。じゃから今回は、作品に書かれておる『作者名』を手がかりに、同じ名前の作品をまとめて1人として数えておる。
つまり、同じ名前を使う別の人は1人にまとまってしまうし、名前を変えた人や、いくつも名前を使い分ける人は、別々の人として数えられてしまう。グラフに『作者名表記数』と書いてあるのはそのためじゃ。正確な人数ではないということを、知っておいてほしいのじゃ」
「わかりました」
「では最初はおさらいじゃ! サイト別の作者名表記数を見るがよい!」
「最初のほうで見たグラフですね。ノクターンが約2.2万で、ムーン女性向けとムーンBLを足すと、それとほぼ同じくらいでした」
「そうじゃ。4つのサイトを単純に足すと約4.7万になるが、複数のサイトに同じ名前で投稿しておる作者を1人にまとめると、約4.2万じゃったな。今日は、この約4.2万の作者について見ていくぞ」
「まずは、年ごとの作者の動きじゃ! これは、その年に新しい作品を投稿した作者の数じゃ。1人が何作品始めても1人と数えるぞ。連載を更新しただけの作者は入っておらんから、実際に活動しておる作者はもっと多いぞ。
グラフを見るとどんどん増えていき2020年、2021年に約6,000人に届いておる。そこからは減少して2024年に約5,300人まで少し減ったが、2025年には約6,400人と一番多くなっておる。今年はさらに多くなる見込みじゃ」
「最近は、毎年6,000人前後の作者さんが、新しい作品を投稿しているんですね」
「うむ。多くの作者が活動しておるようじゃ」
「次に、『最初に投稿した年』ごとの作者数を見よ。今度は、それぞれの作者の一番古い作品の年で数えておる。つまり、その年に初めて現れた新しい作者の数じゃ。
さっきのグラフとの違いを説明しておこうかの。たとえば2018年にデビューして、2020年と2025年にも新しい作品を始めた作者がおったとする。さっきのグラフでは、2018年・2020年・2025年の3つの年に1人ずつ数えられる。じゃがこのグラフでは、デビューした2018年にだけ1人と数えるのじゃ」
「デビュー時期ってことですね……!」
「そうじゃな。グラフを見ると、巣ごもりの時期と言われる2020年に約3,600人の山があって、そのあとは減少しておるものの、毎年約2,500〜3,500人の新人がやって来ておるのじゃ。2025年、2026年に投稿を開始した作者も多いぞ」
「毎年2,500人以上も、新しい仲間が増えているんですか……! さっきのグラフと比べると、その年に投稿した作者さんのうち、半分くらいが新人さんなんですね」
「そうじゃ。2015年ごろは約7割が新人じゃったが、最近は約5割になっておる。裏を返せば、前から書き続けておる作者の割合が、少しずつ増えておるということじゃな。
ただし、作品を全部消して去った作者は、ここには入っておらん。それに、名前を変えた作者は、新人として数えられてしまう。そこは割り引いて見るのじゃぞ」
「はい!」
「サイト別も見ておこうかの。1枚目が『その年に投稿した作者数』、2枚目が『最初に投稿した年の作者数』を、サイトごとに線にしたものじゃ。
ノクターンは、新しい作者が年々増えて、2025年には約1,800人の新人がやって来ておる。一方でムーン女性向けは、2015年以降、新しい作者が年に600〜900人ほどで、あまり増えておらんのじゃ」
「ノクターンは人の出入りが多くて、ムーン女性向けは顔ぶれが落ち着いている感じですね……! あ、ミッドナイトは、1枚目で見ると2021年の約600人が一番多くて、最近は年400人前後です」
「うむ、ミッドナイトにも、毎年数百人の挑戦者がやって来ておるのじゃよ」
「ここからは、作者ひとりひとりについて見ていくぞ。まずは、1人の作者が何作品投稿しておるかの分布じゃ。全作者の半数以上は、作品が1つだけなのじゃよ!」
「半分以上が1作品しか投稿してないんですか……!?」
「そうじゃ! 2作品を合わせれば、全体の約68%――3分の2以上の作者が2作品以下じゃ。11作品以上を書いておる作者は、全体のわずか7%ほどしかおらん。
もっとも、1作品だけの作者には、始めたばかりの人や、長い連載を1本だけ書き続けておる人も入っておるがの」
「人のことは言えませんけど、思っていたより、皆さん何作も書いているわけではないんですね……」
「その通りじゃ! 1人あたりの平均は約3〜4作品じゃが、それは少数のたくさん書く作者が平均を引き上げておるだけで、真ん中の作者――中央値は『1作品』じゃ。小僧、お前さんが1作品しか投稿しておらんのは、落ちこぼれどころか、一番普通のど真ん中なのじゃぞ! 胸を張るがよい!」
「1作だけが普通なんですね……」
「うむ。ちなみに最大は439作品じゃ。小説家になろうだと約6,200が最大じゃから、それと比べると控えめじゃな」
「十分多いですけどね……」
「では、作者たちがこれまでにどれくらいの量を書いてきたのか見ていくぞ。1人の作者の全作品の本文の文字数を足した値じゃ。
中央値を見ると、ノクターンが約4.1万文字、ムーン女性向けが約4.4万文字、ムーンBLが約5.6万文字、ミッドナイトが約1.4万文字じゃ」
「……ミッドナイト以外の作者さんは文庫本の半分くらいを書いているんですね……!」
「分布も見てみようかの。グラフでは1万文字未満が25.1%、1万〜3万文字が16.8%、3万〜10万文字が21.0%じゃ」
「10万文字未満が大半なんですね……」
「そうじゃな。3人に2人は、全部足しても10万文字未満じゃ。一方で、5人に1人近くは30万文字以上を書いておるようじゃな。100万文字以上は約5%じゃ」
「思ってたよりも多いですね……!」
「最大は約2,000万文字じゃ」
「一体どんな生活を送ったら、それだけ書けるんでしょうか……」
「作者ごとの一話あたりの平均文字数は、本文の合計を話数の合計で割ったものじゃ。山は2千〜3千文字(21.6%)で、中央値もノクターンが3,276文字、ムーンBLが2,864文字、ムーン女性向けが2,819文字、ミッドナイトが2,531文字と、作品ごとに見たとき(約3,000文字)とほぼ同じじゃぞ」
「やっぱり、これくらいが収まりがいいんですね」
「では、作者たちがどれくらいの反応を受け取っておるのか見ていこうぞ。まずはブックマークじゃ。
0件が7.0%、1〜9件が18.6%、10〜99件が27.2%じゃ。全作品を合計しても、ブックマーク100件未満の作者が、全体の過半数(52.8%)なのじゃ」
「ほとんどの作者さんは、そこまでブックマークをもらえていないんですね」
「そうじゃ! 中央値を見ても、ムーン女性向けが92件、ノクターンが87件、ムーンBLが79件、ミッドナイトに至っては2件じゃ。真ん中の作者でも、これまでの全作品を集めて、ようやくブックマーク数十件から100件ほどじゃ。これが、この世界の姿なのじゃよ」
「ミッドナイトだけ全然もらえてないですね……」
「総合ポイントの合計じゃ。真ん中は100〜1千pt未満(28.7%)の帯じゃ。0ptの作者も5.1%おる。一方で、1千pt以上の作者は3人に1人ほどじゃな」
「こっちも、同じような感じですね」
「そして感想とレビューじゃ。全作品の感想を合計しても、感想を1件ももらったことがない作者が……なんと48.7%――およそ半分もおるのじゃよ! レビューに至っては、93.5%の作者が全作品合計でもゼロじゃ」
「全作品の合計でも、半分近くの作者さんが感想ゼロで、9割以上がレビューゼロなんですか……!? 読者さんから直接言葉をもらうのって、本当に険しい壁なんですね……」
「さあ小僧、今日の山場じゃ! 作者たちはどれくらいの期間、活動を続けておるのか……『作者別の継続期間』の分布を見よ!」
「継続期間ってなんですか?」
「継続期間というのは、その作者の一番最初の作品が載った日から、一番最後に何かを載せた日までの長さじゃ。たとえば2020年の春にデビューして、最後の更新が2023年の春なら、継続期間は3年じゃな。横軸が1年刻みの継続期間、縦軸が作者の数じゃ。
一番左の『1年未満』の棒が、約2万7,000人じゃ。全体の6割前後が、継続期間1年未満なのじゃ! 1〜2年が約4,100人、2〜3年が約2,700人と減っていって、期間が長くなるほど少なくなっていくのじゃ」
「1年未満がそんなに多いんですか……」
「そのようじゃな。もっとも、さっき見たように全作者の半分以上は『1作品だけ』じゃったな。つまり、この1年未満の棒の大部分は、短編などを1作だけ出して最初と最後の日が同じ(継続0日)になっておる作者なのじゃ。それに加えて最近始めたばかりの作者も入っておるから、『6割が1年でやめた』というわけではないぞ。じゃが、Web小説を何年も書き続ける者は、それほど多くないということじゃな」
「1年以上続いている人のほうが、少数派なんですね……!」
「最後に、継続期間の長さで作者を9つの帯に分けて、それぞれの帯で、作者の総合ポイントの合計がどれくらいかを見たものじゃ。一番左の『0日』は、最初と最後の掲載が同じ日の作者じゃ。1作品だけ投稿した作者がほとんどじゃろう。
グラフを見ると継続期間が長くなる右へ行くほど、1千pt以上の明るい色がどんどん増えておる。0日だと1千pt以上は約4%しかおらんのに、1〜3年で約52%、3〜5年で約67%、10〜20年だと約78%が1千pt以上じゃ。10〜20年の作者は、約4割が1万pt以上の大台に乗っておる。一番右の20年以上の帯は、作者がほんの数人しかおらず傾向がブレやすいから、あまり気にせんでよいぞ」
「長く活動を続けている作者さんほど、ポイントの合計が高いんですね」
「その通りじゃ! じゃが、当たり前の面もあるぞ。長く続ければ作品が増えて合計も増えるし、ポイントは時間がたつほど貯まりやすいからの。逆に、ポイントが入ったからこそ続けられた、という向きもあるじゃろう。それに、伸びずにやめて作品を消した作者は、このグラフには残っておらん。
じゃから『続ければ必ず伸びる』とまでは言えん。じゃが、途中で投げ出さずに作品を積み重ねてきた作者たちには、たしかに読者とポイントがついてきておるのじゃよ」
◇
「どうじゃ小僧、ここまでで作者たちの姿は見えたか?」
「はいっ……! 作者の半分以上は1作品だけで、6割くらいは継続期間が1年未満なこと……そして、全作品を合計してもブックマーク100件未満が過半数で、感想ゼロも半分近くいるんだってことが分かりました……!」
「うむ。では、今日はもう1つ。ポイント上位の作者たちや、書籍化・コミカライズ作者たちは、一体何が違うのかを見ていくぞ」
「は、はいっ! よろしくお願いします、神様……!」
グラフが多くなったので分割するのじゃ。




