17. あらすじ文字数なのじゃ
☆データ情報☆
※使用したデータは2026年09月29日時点のものなのじゃ。そのため今の値から多少ずれがあるのじゃ
※これらのデータは公式から提供されるものではなく、個人が集めたデータからの推測なのじゃ。
「では小僧、次はあらすじの文字数じゃ。世の作家たちが実際に何文字くらいのあらすじを書いておるのか、そして何文字くらいのあらすじの作品がポイントを集めておるのか、見ていこうぞ!」
「はい、お願いします」
「ちなみにあらすじは1,000文字まで書けるぞ。文量の目安としていくつかサンプルを書いておこうかの」
約50文字:ある日、目が覚めると知らない森の中にいた。手元にあるのは古びた地図と、しゃべる小さな【自主規制】だけ。
約100文字:ある日、目が覚めると知らない森の中にいた。手元には古びた地図と、しゃべる小さな【自主規制】。【自主規制】は言う。「ここは忘れられたものが集まる森。地図の果ての塔に着かなければ、君は二度と元の世界へ帰れない」と。
約300文字:目を覚ますと、大学生の灯里は見知らぬ森の中にいた。手元には古びた地図と、しゃべる小さな【自主規制】。【自主規制】は「ここは人に忘れられたものが流れ着く森だ」と告げる。地図に記された森の果ての塔へ夜明けまでにたどり着けなければ、灯里自身も現実から忘れ去られてしまうという。道中、持ち主を探し続ける【自主規制】や、名前を失った【自主規制】と出会い、灯里は彼らが思い出を取り戻すのを手助けしていく。だが塔に近づくにつれ、【自主規制】は弱まっていく。やがて灯里は、自分がこの森に来た理由と【自主規制】の正体が、置き去りにした大切な記憶と結びついていることに気づき始める。そして塔の扉の前で、灯里はある選択を迫られる。
約500文字:目を覚ますと、大学生の灯里は見知らぬ森の中にいた。手元にあるのは古びた地図と、しゃべる小さな【自主規制】だけ。皮肉屋の【自主規制】は、ここが人に忘れられたものが流れ着く「忘れ森」だと告げる。地図に記された森の果ての塔へ夜明けまでにたどり着かなければ、灯里自身も現実の世界から忘れ去られてしまうという。道中、灯里は持ち主を探し続ける【自主規制】や、届け先の名前を失った【自主規制】と出会う。彼らが思い出を取り戻すのを手助けするたびに、地図には新しい道が浮かび上がっていった。【自主規制】は軽口を叩きながらも、迷う灯里を何度も導く。しかし塔に近づくにつれ、その【自主規制】は少しずつ弱まっていく。やがて灯里は、この森に来る直前、亡き祖父の遺品を「もういらない」と処分しようとしていたことを思い出す。【自主規制】の正体は、夜の散歩に使っていた【自主規制】だった。それは灯里自身が忘れかけていた記憶そのものだったのだ。塔の扉の前で、元の世界へ帰れば【自主規制】は消えてしまうと知った灯里は、葛藤の末に、忘れるのではなく覚えたまま前へ進む道を選ぶ。夜明けの光の中で目覚めた彼女の手には、小さな【自主規制】が握られていた。
「まずは全体の様子からじゃ。ノクムンミッドの全作品の、あらすじ文字数の分布を見るがよい!
横軸はあらすじの文字数を50文字ごとに区切ったもので、縦軸はその区切りに入る作品が全体の何%かを表しておる。一番左の棒が0〜49文字、その隣が50〜99文字……という具合じゃな。右端の点線の先にあるのは、上限いっぱいのちょうど1,000文字まで書いた作品たちじゃ。
グラフを見ると、一番高いのは50〜99文字で約18%じゃ。次が100〜149文字の約17%、そして一番左の0〜49文字も約14%あるぞ。つまりな、全作品の3作品に1作品近く(約32%)が、100文字未満のあらすじなのじゃよ」
「ええっ!? 100文字未満が3割以上もあるんですか……!? あらすじって、もっと長々と書くものだと思っていました……」
「しっかり書くものと思われがちじゃが、実際は2〜3行でさっと済ませておる作品が山ほどあるのじゃ。
全体で見ると、300文字未満の作品がおよそ8割を占めておる。600文字を超えると、どの棒も1%に届かん。長文のあらすじは、ごく少数派じゃな」
「ほとんどの人が、300文字以内に収めているんですね……」
「では次に、サイトごとに比べてみようかの。中央値はムーンBLが約170文字、ムーン女性向けが約160文字、ノクターンが約135文字、ミッドナイトが約120文字じゃ」
「……あれ? 神様、これ、ノクターンとムーンの順番が、さっきのタイトル文字数と逆になっていませんか……!?」
「よく気づいたの、小僧! タイトル文字数では、ノクターンが中央値約17文字で一番長かったじゃろ?」
「はい! ノクターンが一番長くて、女性向けやBLは短めでした!」
「じゃが、あらすじに限っては、ムーンのほうがノクターンより長いのじゃよ。ノクターンはタイトルに要素を詰め込んで、看板の時点で中身を伝えきっておるから、あらすじに書くことがあまり残らんのかもしれんの」
「なるほど……!」
「サイトごとの分布も見ておこう。見方は全体のものと同じじゃが、ミッドナイトのグラフだけ縦軸の目盛りが他と違うから、棒の高さを比べるときは目盛りの数字を見るのじゃぞ。
ノクターンは50〜99文字の棒が約20%で一番高く、全体よりも左、つまり短いほうに寄っておる。ムーン女性向けは、50〜99文字と100〜149文字の2本の棒が約17%ずつ並んで、山が平らになっておるな。ムーンBLは山が100〜149文字にあって、0〜49文字の棒は約9.5%と、4つのサイトで一番低いのじゃ。とても短いあらすじが一番少ないのがムーンBLじゃ」
「さっきの中央値と同じ傾向ですね」
「うむ。そしてミッドナイトは、一番左の0〜49文字の棒が約24.5%と、飛び抜けて高い。ミッドナイトでは、4作品に1作品が50文字未満のあらすじなのじゃよ」
「ミッドナイトでは、あらすじを短く済ませる人が多いんですね……」
「うむ、じゃが、それが良いことかどうかは、あとで分かるぞ」
「さて、ここからは時代の流れを見ていくぞ! 初回掲載年ごとの、あらすじ文字数の中央値の移り変わりじゃ。
横軸は作品が最初に掲載された年、縦軸はその年に始まった作品のあらすじ文字数の中央値じゃ。線が右へ行くほど上がっておれば、新しい作品ほどあらすじが長いということじゃな。右端の色が付いた2026年は、9月29日までの途中の年じゃから、確定した値ではないぞ」
「うわあ、神様、ミッドナイト以外がずっと右肩上がりになっていませんか!?」
「然り! ところどころ少し下がる年はあるが、あらすじは20年かけて少しずつ長くなり続けておるのじゃ。2005年には約35〜60文字じゃったのが、2026年にはノクターンで約190文字、ムーンの2サイトでは220文字台――4倍前後の長さになっておる」
「年々しっかりあらすじを書くようになってきたんですね……! あ、2021年あたりから、ムーン女性向けとムーンBLの線が、ノクターンをぐっと引き離していませんか?」
「よく見ておるの! 2020年ごろは、ノクターンとムーンの2サイトの差は20〜30文字ほどじゃった。じゃが2021年からムーンの2サイトが一気に伸びて、2022年には中央値が200文字前後に届いたのじゃ。一方ノクターンは、2021〜2024年も140〜150文字ほどで、ゆるやかに伸びておるだけじゃ」
「女性向けでは、あらすじを丁寧に書き込むのが当たり前になってきているんですね……。あ、ミッドナイトは、2016年からずっと100〜135文字あたりを行ったり来たりしていますね」
「うむ。開設した2015年だけは約197文字と高いが、この年はまだ作品が少ないから、たまたま長いあらすじの作品が多かったのかもしれん。その後は、他のサイトの長文化の流れとは別に、自分のペースを保っておるのじゃ」
「いつの時代もミッドナイトは自由なんですね……」
「今の中央値の動きを、年別の構成比で分けて見てみようかの。タイトルの回と同じ形のグラフじゃ。
一番下の濃い茶色が0〜99文字、その上が100〜299文字、さらに上が300〜599文字、一番上の明るい黄色が600文字以上じゃ。色の部分が長いほど、その長さのあらすじが多いということじゃな。
ちなみに、300文字で区切ったのにはわけがある。それはあとで話すから、覚えておくのじゃぞ。
では見ていこうかの。一番下の0〜99文字は、2005年には約77%もあったのが、まず2010年に一段がくんと減り、2015年には約40%、2025年には約26%まで減っておるのじゃ」
「急激な減少は何が原因なんでしょうか?」
「2010年の減少は、2009年後半に行われた小説家になろうのシステムリニューアルが原因だと思われるのじゃ。あまり情報がないので推測でしかないが文字数制限があったか、書きやすくなったのじゃろうな」
「なるほど……」
「その後300文字以上は、2010年の約4%から、2025年には約24%まで増えておる。短いあらすじが減って、300文字以上のあらすじが4作品に1作品の割合まで増えたのじゃよ」
「しっかりあらすじを書く人が増えているんですね」
「サイト別にも見ていくぞ。
ノクターンは、2025年でも100文字未満が約31%残っておる。300文字以上は約22%じゃ。ミッドナイトを除けば、短いあらすじが一番多く残っておるのがノクターンじゃな。
じゃが、ムーン女性向けとムーンBLを見よ。2025年には100文字未満が約19%まで減って、300文字以上が約27〜30%じゃ。短いあらすじと長いあらすじの数が、すっかり入れ替わっておるのじゃ! ムーン女性向けでは、2021年あたりを境に入れ替わっておるな」
「ムーンでは、もう短いあらすじのほうが少数派なんですね……! あ、でもミッドナイトは……2016年からずっと、100文字未満が40〜50%で変わっていません」
「ふふん、タイトルのときと同じく、ミッドナイトだけは10年前から時計の針が止まっておるのじゃよ」
「さあ小僧、ポイントとの関係を見る前に、あらすじが読者の目に実際どう見えておるのかを確かめておくぞ。
同じあらすじ(約460文字)を、3つの画面で見比べておる。
左の①は、パソコンで見た検索結果やランキングじゃ。あらすじは全文が表示されるぞ。じゃが、改行がすべて消えて、1つのかたまりになってしまうのじゃ。
真ん中の②は、スマホで見た検索結果やランキングじゃ。最初に見えるのはタイトル、作者、連載状況、ジャンルだけで、あらすじは出ておらん。右の『∨』(ランキングでは『あらすじ・作品情報 +』)を押して、初めてあらすじが開くのじゃ。開いたあらすじは①と同じで、全文が出て改行は消えておる。
右の③は、作品のページ、つまり目次の上に出るあらすじじゃ。パソコンでもスマホでも同じ形じゃな。ここでは改行はそのまま残るぞ。じゃが、300文字のところで文章が切れて『…>>続きを読む』という文字に変わってしまうのじゃ。この300文字のカウントでは、改行も1文字として数えられるぞ。
ちなみに、作品情報のページを開けば、改行が残ったまま全文を読めるが、これはわざわざ開いた読者しか見んのじゃ」
「同じあらすじなのに、見る場所でこんなに違うんですね……! ①は、せっかく改行で読みやすく整えても、ぎっしり詰まった文字の壁になっちゃってます……」
「うむ。空行や区切り線で美しく整えたつもりでも、一覧ではそれが効かん。長いあらすじほど、読む気をなくさせる壁になりやすいじゃろうな。
そして②じゃ。スマホで検索結果を眺める読者には、そもそもあらすじが見えておらん。読者はまずタイトルとジャンルで選んで、気になった作品だけ『∨』を押す。あらすじはタイトルの次の関門ということじゃ」
「だからタイトルが大事なんですね……!」
「そうじゃな。タイトルとあらすじのどちらを優先させるかといったらタイトルの方じゃ。そしてもう一つ大事なのが③じゃ。連載作品の目次ではあらすじが表示される。じゃが300文字より後ろは『続きを読む』を押さんと見えん。これが『300文字の壁』じゃ!
図の例でも、『※完結まで書き終えています』という、読者が一番知りたいかもしれん一言が、壁の向こうに隠れてしまっておる。注意書きを後ろに置けば読まれにくく、かといって前に置けば、物語の紹介が後ろに押し出される。さっきの構成比で300文字を区切りにしたのは、このためじゃ。この仕組みを頭に入れたうえで、いよいよポイントとの関係を見ていくぞ!」
「あらすじの文字数によって、総合ポイントはどう変わるのか……全体の分布を見よ!
文字数の回でも使った100%積み上げ棒グラフじゃ。その文字数の棒で明るい色の割合が大きいほど、ポイントの高い作品が多いことを示しておる。
1,000pt以上の明るい色の割合を追っていくと、0〜49文字では約11%じゃったのが、文字数が長くなるにつれて増え、250〜449文字のあたりで約40〜41%と一番多くなるのじゃ。そこから先は少しずつ減って、ちょうど1,000文字では約19%まで落ちておる。それと、一番下の灰色の0ptは、0〜49文字だけ約11%と目立っておるな」
「傾向がはっきり出てますね……」
「箱ひげ図も見るとよく分かるぞ。中央値を左から追っていくと、0〜49文字で約25ptじゃったのが、100〜149文字で約240pt、200〜249文字で約470ptと上がって、250〜399文字で約570ptと一番高くなっておる」
「本当だ……! でも、400文字以上になると約500ptに下がって、750文字以上だと約250〜300pt、1,000文字だと約200ptまで落ちていますね……。タイトル文字数は長いほどポイントが高かったのに、あらすじは長すぎると逆に下がっていますよ……!?」
「そうじゃ。あらすじは、長ければ長いほど良いというわけではないのじゃよ! そして山のてっぺんの250〜400文字は、さっきの目次で切れる300文字の前後と、ちょうど重なっておるのじゃ」
「長すぎるあらすじのポイントが低いのは、やっぱり一覧で文字の壁になったり、設定の説明を詰め込みすぎたりしているからなんでしょうか……?」
「その可能性が高いのじゃ。作品を探しておる段階の読者は、あらすじの最初の数行しかまともに読まんのじゃろう。あまり長い紹介文を書いても、最初の数行しか読まれずに飛ばされるというのは十分考えられるのじゃ。
ただ、情報が少なすぎても読む材料が足りんからスルーされることもありそうじゃ。それらの要因が重なった結果がこのグラフというわけじゃな。
ちなみに、ひげの上の端を見てみよ。どの帯にも、数万〜10万pt級の作品がおる。短いあらすじでも、長いあらすじでも、大きく伸びた作品はちゃんとあるのじゃ」
「中身も大事ということですね」
「では、サイトごとの箱ひげ図も見ていくかの。まずはノクターンじゃ。
中央値は、0〜49文字で約30pt、100〜149文字で約170ptと上がっていく。じゃが、250文字あたりから750文字あたりまでは、ずっと約400〜450ptで横ばいじゃ」
「山というよりは、平らな台地みたいです」
「うむ。ノクターンでは、長めに書いても急には下がらんが、伸ばしても上がりもせん。……じゃが小僧、ムーン女性向けを見るがよい!」
「ムーン女性向けは、山がものすごく急ですね……! 0〜49文字だと中央値がたったの約25ptなのに、250〜399文字の山では約1,300〜1,400ptまで跳ね上がっていますよ!? 50倍以上も差がついています!」
「すさまじいじゃろ! ムーン女性向けでは、50文字未満のとても短いあらすじは、特に不利に見えるのじゃ。そして400文字を超えると約950pt、900文字台では約200〜350ptと、長すぎても大きく下がっていくのじゃ。
ムーンBLも似た形で、200〜649文字あたりが約600〜720ptの台地になっておる。それを超えると下がっていって、1,000文字では約55ptと、50文字未満と同じくらいまで落ちておるぞ」
「女性向けやBLでは、あらすじの長さとポイントの関係が、特にはっきり出ているんですね……!」
「そうじゃの、女性向けでは長くても500文字くらいに留めたほうがよさそうじゃな。最後にミッドナイトじゃ。0〜99文字の帯は、中央値がほぼ0ptじゃ! 100文字以上でようやく約5〜8pt、250〜649文字で約12〜20ptと、中央値が0ではなくなるのじゃよ」
「100文字未満だと半分ほどの作品が0ポイント……」
◇
「どうじゃ小僧、あらすじ文字数の正体は見えたか?」
「はいっ……! あらすじは年々長くなっていて、今は200文字前後が真ん中なこと、そして総合ポイントは250〜400文字あたりが一番高くて、長すぎると逆に下がっちゃうこと……すごくよく分かりました!」
「よいぞ、小僧。一応分かっておると思うがタイトルのときと同じ釘を刺しておくぞ。あらすじを300文字にしたからといって、それだけでポイントが入るとは限らん。
あらすじを250〜400文字で丁寧にまとめる作者は、本文や構成にも気を配っておることが多いじゃろう。ポイントが高いのは、その結果かもしれんのじゃ。それに、新しい作品ほどあらすじが長いから、時代の違いも混ざっておる。
ただ、タイトルと違って、あらすじは『長すぎると下がる』山の形をしておった。長いほど有利というわけではない、ということは言えそうじゃな」
「あらすじだけ整えても、中身が伴っていないと意味がないんですよね」
「うむ、そうじゃ。さて、今日はここまでじゃ。次回は更新時間と更新頻度について見ていくぞ」
「は、はいっ! 次回もよろしくお願いします、神様……!」




