四 はじめて②
翌日にはすっかり熱も下がったので、いつも通り登校した。
涼也と希湖と、後から話を聞いたらしい柊吾に、マコトのせいで熱が出たのではと言われたけれど、母と進路のことで話し込んでしまったからと説明した。
マコトが何か話したそうにしていたけれど、相変わらず希湖たちが傍にいたのと、まだ準備したいことがあったので、あえて話にいかなかった。
クラスメイトや部員たちにも声をかけてもらい、一日休んだだけで、しかも知恵熱だったのに、自分というか”白雪姫”の人望の厚さに感心してしまった。一方で、こんなに慕ってくれている人たちに嘘をついているようで少し胸が痛んだ。
演劇部に行くと、育が真っ先に飛びついてきた。
「よかったぁ~!」
「育ちゃん、大げさだよ。一日だけだよ。」
「一日も!です!」
そして、新に首をつかまれてべりべりと音がするようにはがされる。
「だから、近すぎるって言ってんだろ。しかも病み上がりだし。優姫、あんまり無理するなよ。」
「はい。ありがとうございます。」
新はそれだけ言うと、わたしの肩を軽くたたいていった。
「やっぱり、お兄ちゃんをお見舞いに行かせたのは正解でしたね。即効で回復しましたね。」
「あ、そうだよ育ちゃん。わざわざ涼也たちからプリント回収したって。新部長忙しいんだから、申し訳なかったよ。」
「でも、希湖先輩や涼也より、新部長に来てもらって嬉しかったですよね?」
「うぅぅぅん、パジャマ見られて恥ずかしかったよ。」
「ぱ!じゃ!ま!それはどんな!?優姫先輩!くわしく!」
あ、これは余計なことを言ったかもしれない。新先輩ごめんなさい。
部活中も育ちゃんから隙あらば、お見舞いのことを聞かれることになった。けれども、わたしも他の先輩と話すことも多かったので、週末に会う約束をしたことだけは言わずにおけた。




