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18話 四天王との対面

遅くなってすいませんいやマジで

 「魔物の軍団が侵攻してきた」。その伝令内容を言い終わった瞬間、使者の背中を魔術の弾丸が貫通する。


「私は魔王軍四天王、序列第1位・デストロ」


 デストロがそう自己紹介をする隙に、大量の弾丸が空間中を飛び回って蹂躙し、騎士たちは何の抵抗もすることができず、命を落としていく。


 俺は魔術を正面から受けて耐え、ギルダーさんは自らが手に持った剣で魔術を切り裂くことで無効化する。


 ギルダーさんが魔力を練り、その魔力で馬の形を作り出す。半透明のその馬は、あっと言う間に実体を得て、ギルダーさんはそれに跨る。


 馬に乗ったギルダーさんと、走る俺が並び立つ。デストロが焦ったかのように自らの魔術により弾丸を張るが、ギルダーさんは全て切り裂きながら、俺は精霊術で精霊を呼び出して対応する。


 デストロの弾幕を押しのけた俺がまずデストロの目前に辿り着き、剣での攻撃を食らわせる。


「その程度、カ」


 デストロの身体は魔術で強化されたらしく、硬い肉体にエクスカリバーを覚醒させてもいない俺の攻撃は受けなかった。


 ここでギルダーさんにデストロとの戦いを一旦任せ、エクスカリバーを覚醒させる。


「【神越煌剣エクスカリバー】《流星の覚醒(ドラゴニック):エクスカリバー》」


 これまでの戦いを見る限りでは、デストロの主武器は魔術だろう。そうなのであれば、魔術耐性を高める流星の覚醒(ドラゴニック)は効果覿面だろう。


 ギルダーさんが一度下がってくる。デストロは、自らの魔術により手に持った杖の攻撃力や耐久力を高めて戦っているのだろう、精霊の力で魔力を探知する限り、あの杖には魔力が大量に込められている。


 エクスカリバーがデストロの杖と交差し、爆音が周囲に鳴り響く。


 デストロが突然に杖から左手を外し、その左手を俺の方へ向ける。突然の予想外の行動に俺は対応が遅れ、その瞬間にデストロの手から光が出たのを見た。


 壮大な魔術の光は、俺の意識を奪い取った――




 目を覚ますと、デストロとギルダーさん達の戦いが繰り広げられていた。ギルダーさん達、というのは助けが来ていたからだ。


 リドラさんか、と思ったが――謎の男たちが2人。怪しいことこの上ないが、この際仕方がない。


 俺は、もう一度立ち上がり、戦おうと体を起こす。その瞬間、俺の全身には激痛が走り、その場に倒れこんでしまう。


「勇者様。無理をしたら死に至ってしまうかもしれません」


 俺に向かって話しかけたその声は、リーゼロッテ先生のもの。おそらくリーゼロッテ先生が治療してくれたのだろう。そうでなければ全身の痛み程度の傷で済むはずがない攻撃を食らったはず。


「リーゼロッテ先生……ありがとうございます」


 リーゼロッテ先生は、俺と喋り治療しながら、魔術によって、戦っているギルダーさん達の援護を行っているようだ。


 こんな所業、一般の魔術師では到底不可能。そもそも魔術の二重展開すらも苦戦するレベルであるというのに、リーゼロッテ先生は攻撃魔術の五重以上の並列展開、さらに治癒魔術という、攻撃魔術とは別系統の魔術をも同時に発動させる制御力。もはや神業としか言いようがない。


「リ、リーゼロッテ先生、魔力は大丈夫ですか……?」

「大丈夫です。勇者様は喋らない方がよろしいかと」


 余裕綽々の表情でこちらに微笑みかけるリーゼロッテ先生。


 そんな時、デストロとギルダーさん達の戦いに進展があった。謎の男の一人がデストロに斬りかかると、デストロはその場から姿を消したのだ。


「はっ、逃げやがったか」


 謎の男たちの片割れが悪態をつくと、その男が突然、魔術で作り出した馬から降りたばかりのギルダーさんを斬ろうとするが、もう片方がその剣を受け止める。


「良助、急に人に斬りかかるなよ……」

「邪魔すんなよ、界人。その男は神国の人間だ」


 ギルダーさんに斬りかかった、良助と呼ばれた男は、仕方なくといった様子で剣を下す。


 その瞬間、良助が動き始めたのを俺の目が捉えていた。


 思わず左腕を目の前に翳す俺に対し、良助は剣撃を食らわせる。俺の左腕に良助の剣が食い込み、血が流れだす。俺は右手でエクスカリバーを拾い、良助に向かって攻撃を加える。


 良助は容易く俺の攻撃を回避すると、すぐさま剣を構えなおし俺に向かって突撃する。その時、界人と呼ばれた男が俺の目の前に立ちふさがり、良助の剣を払い落とす。


「良助、それ以上動いたら即座に斬る」

「無理だな。今の俺は魔王との契約は切れてる。【堕悪】の権能が発動しうる状態だ。権能なしでほぼ互角だった以上、お前に勝ち目はない」

「全くその通りだな。だから……そこに勇者の君、手伝ってね」


 そういって、界人と良助は同時に動き始める。手伝ってと声をかけられた俺は左腕の痛みに気を取られ、呆然としている。

 いつの間にか全身の痛みは取れている。

 隣でリーゼロッテ先生が緊張を燻ぶらせている気配を感じる。

 界人と良助が剣をぶつけ合う金属音ばかりが訓練場に響き渡る。


 俺は、無意識的に踏み出し――身体を切り裂かれる音と激痛に全身の感覚を奪われる。


「お前に参戦されると厄介なことになりそうだ」


 崩れ落ちた俺の視線の先の、ニタリと笑う良助の姿が印象的だ。


「良助」


 辛うじて保っている意識が、目の前の情報を脳に流す。界人と良助の持つ剣から、神器た覚醒する時のような、いや、それ以上の膨大な魔力が流れ出す。


「《因果の覚醒(フューチャー):アロンダイト》」

「《記憶の覚醒(メモリアル):レーヴァテイン》」


 その膨大な魔力が引き起こす事象は、間違いなく神器の覚醒であったが――格が違う。ただの覚醒ではない。


 強大な魔力に触発され、俺も自らの右手のみで覚醒を引き起こす。竜星の覚醒(ドラゴニック)とはまた別。事象の規模では目の前の事象には敵わないが、対抗は可能。


「闇の心よ、覚醒を引き起こせ。《魔の覚醒(イーヴィル):エクスカリバー》」


 それは、良助の昏い心から着想を得て引き出された覚醒体。その能力は、相手のエネルギーを吸収し、自身の強化あるいは回復に使うこと。


 覚醒の瞬間に得る情報によれば、吸収といっても万能ではなく、格上には聞きづらかったり効果が薄く、格下に対しても制御が難しかったり同時には1人からしか吸えなかったり、万能ではないみたいだ。


「はっ、まだその程度の覚醒か」

「この程度とか言うんじゃないよ、良助」

「全く失礼な。時には言っちゃいけない事実もあるんだよ」


 長く短い戦いが幕を開ける。

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