第十三話
さて、どうしよう。
どうしようといっても、木名瀬も山下も、幽霊はいると信じきっているのであるから、彼女たちを救うには、彼女たちの納得する方法を考えるしかない。
幽霊がいるという前提で考える。
真っ先に思い付いたのは、除霊、である。ネットを探せば除霊士を名乗る人はいくつかいたが、値段を見てそっとブラウザを閉じた。とても高校生に払えるような額ではない。除霊士はなし。
ではあの廃屋に幽霊がいるとして、何故木名瀬と山下。あと、一応私の夢にも出てきてるし私もか。私の場合普段から狂気じみた日常を送っているせいか、他の二人に比べいまいちダメージになっていないが、ターゲットはいまのところこの三人である。
やはりあの人形が原因なのだろうか。
あの人形を壊された事で霊が怒り狂い、私達を殺そうとしている。
人形が直接の原因であるなら、その人形を直したらどうか。あとは山下がやろうとしていた、謝罪。
幽霊という存在に謝罪という方法が有効かは分からない。しかしやはり、今のところこれしか方法がないと思う。
私は夕方の内に準備を進めた。幸いというか、明日は学校が休みなので十分に時間はあった。
瞬間接着剤。人形の左腕をくっつける為に鞄に入れた。あとはライトと水と食料とかを鞄にいれた。
何より大事なのが、霊に屈しない強い心だという。
多くの掲示板で紹介されていた霊への対処法であり、これについてはいささか自信がある。普段から見慣れているのだから、今更多少のものが出てきた所で動じはしない。多分。今回は前回と違って安定剤もある。
それでも一応、また首を絞められて気絶するような最悪の事態に転んでしまった時の為の保険は必要かと思った。私は時計をみた。夕方4時半。久慈に電話をかける。
「桐島くん?」
「久慈。悪いけど明日の朝、目を覚ましたら、俺の携帯に電話をかけてくれないか」
「え」
「その時もし俺が電話にでなかったら、また、警察か、誰でもいいから例の廃屋に人を寄越してくれ」
「どういう事」
「これからあの廃屋にいく」
「行ってどうするの」
「……山下の代わりに謝ってくる」
「桐島くん……冗談だって言って。貴方もちゃんと否定してくれてたじゃない」
「考えたんだが、どうも木名瀬や山下を納得させるにはこれしかないと思って」
「桐島くん……」
「うん、まあ大丈夫だ。それより電話、頼んだよ」
電話を切った。
もうすぐ日が落ちる。
私は鞄を肩から下げ、例の廃屋へ脚を運んだ。




