第10話~尋問~
修は今、駅の近くにあるショッピングモールのフードコートに来ていた。
いや、連れてこられたと言った方が良いかもしれない。美少女二人に。
あの後修は逃走を図ろうとしたのだが、百合奈の無意識の上目遣いとわざとらしく腕を絡める美希にあえなく失敗した。
修の実力なら余裕で逃げる事が出来たがやはり学校のアイドル的存在の美少女二人に上目遣い、腕を絡めると言う行為をされたためだ。
おかげで門付近にいた生徒達のすごい視線を浴びながらその場を後にすることになった。
「で、何から話せばいいんだ? と言うより大体は姫河から聞いてるんだろ」
大好物のチーズバーガーを頬張りながら面倒くさそうに修が聞いた。
「うん、まぁそうだけどね。まずはこちらから自己紹介しないとね」
そう言って百合奈の方に視線をやるとコクリと頷いた。
「四組の姫河 百合奈です。 昨日は助けてくれてありがとう」
「で、同じく一組の如月 美希だ。生徒会副会長をやっている」
「生徒会副会長……? なるほど、どこかで見たことあると思った」
生徒会ということは勇輝も知っているだろう。そう修は思った。
「とりあえずなんで百合奈のことを助けたんだい?」
「困ってたから、かな」
少し迷った表情をしたが修はすぐに答えた。美希の質問はまだ続く。
「不良三人を相手に?」
「まぁ、そうなるんじゃないのか」
「……神谷君」
「なんだ」
そう返答しながら飲み物を手に取り飲む。
「君に百合奈をあげよう!」
「ブッ! ゲホッゲホ!」 「えぇ!?」
美希のトンデモ発言に修は飲んでいたジュースを危うく吹き出しそうになった。百合奈にいたっては混乱しまくっている。
「いきなり何てこと言うんだ!」
「も、もう!」
「冗談よ♪」
呆れた表情を浮かべる修に対し、美希は実に楽しそうだった。
「それよりも何故助けた後逃げたりなんかしたんだい?」
「そうだよ!」
いつの間にか百合奈も元に戻っていた。
「……あの時は急いでたんだ」
修は一瞬口篭ってしまった。
「じゃあ今日の朝の時は?」
「……あの時も急いでたんだ」
修の見え透いた嘘に美希はすぐに気付いたが、特に言及するわけでもなくそのまま続けた。現にこのまま言及しても言わないだろうと思ったからだ。
「ふーんまぁいいわ。それにしても百合奈の話だとその不良達を瞬殺したんだって?」
「まぁ間違ってはないな」
「あの時はすごかったよ」
「何かやってるのかい?」
「やってるといえばやっているな」
修は周りの視線を気にしながら答えた。美少女二人といるというだけで、ものすごい視線の数がこちらに(主に修に)向けられている。正直今すぐにでもこの状況を打破しなければ明日学校に行ったときにまた変な噂が立ってしまう。
普通の生活を守る為にも修は頭をフル回転させるのだった。
「さっきからどうしたんだ?周りを気にしてるように見えるけど」
「うんなんか変だよ?」
「それはな、あんたらみたいな美少女といる俺の気持ちを理解して言ってるのか」
若干ため息混じりに言ったのだが、この言葉に百合奈が顔を耳まで真っ赤にさせてしまった。
「わ、わ私がですかっ!?」
「ん? いや、どう見てもこの視線の数はあんたら二人以外に考えられないんだが、、、」
「神谷君、それは誤解を招くからやめたほうがいいよ。百合奈を見てごらんよ」
美希がやれやれと言った表情で指差した方を見てみると、百合奈がぶつぶつと小声でなにやら独り言を言っている。
「……わ、私がび、美少女なんて……」
「おーい、ゆーりーなー戻っておいでー」
「はっ!? わ、私ったら一体?」
「大丈夫、思い出さなくていいよ」
百合奈は少し唸ってから、小さな口でハンバーガーをパクッと食べた。
「それで、何をやってるのかな?」
美希が咳払いをしてから話を戻した。
「何って言われてもな、、、」
なんと言っていいか、返答に困る修であった。




