第9話~タイミングが悪いっ!~
やっとテストと言う名の地獄の週間から抜け出せました!w
この世の中、タイミングと言うものは大切なことだ。話の切り出し、場の空気などすべてタイミングを図ってしなければいけない。
そんな中ここにタイミングがとてつもなく悪い少年がいる。言うまでも無く修のことだ。
なぜタイミングが悪いのかは、今屋上のドアを開けてこちらを睨みつけている女子生徒に原因がある。
「ふ~ん修、これはどういうことか説明してもらうわよ」
声に勢いこそ無いものの、冷たく殺気のこもった声に修は恐怖を覚えていた。
「お、落ち着け!お前は何か勘違いしているっ」
「それが遺言ってことでいいわね」
「なんでそうなる!?」
「じゃあいつまでそうしているつもりなのよっ!」
七海が怒気を孕ませた声で修を睨みつけた。
確かに今の状況はまずい。 不可抗力とはいえ、百合奈が修の腕をがっちりとホールドしているからである。 七海から見れば微妙に抱き合っているように見えなくも無い。
だが修もやられっぱなしではない。反撃に出るときはある。
「大体お前はなんでそんなに機嫌が悪いんだ!(昨日のことだろうけど)」
「ッ! そ、それはアンタが女子に手を出してるからよ!」
「いや、だからこれは違うって―――「うるさい!」えぇ!?」
この間、百合奈はずっと放置されたままだった。
(この子誰だろう? も、もしかしてこの人のか、彼女かな)
そしてずっと頭の中でもんもんする羽目となった。
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「おい大丈夫か?」
午後の授業が始まるチャイムが鳴り、屋上から帰ってきた(実際は逃げてきたが)修は席に着くなり隣の拓人に心配そうな目で見られた。 それもそのはず、修の頬には七海からの理不尽な制裁により拳の痕がくっきりと残っていた。
「なんとかな……てか勇輝はどうしたんだ俺はあいつに足止めを頼んだつもりなのに」
「ああ、そのことなら俺が言った」
拓人は意外にもあっさりと答えた。
「は? お前、裏切りやがったのか!」
「仕方なかったんだよ。 俺の妹に有りもしないこと言われるよりもお前が犠牲になったほうが都合がよかったしな」
まさに本音を言っているようで、修は怒ると言うよりも呆れてしまった。
「はぁ、なんだろうな。タイミングの悪さがいけなかったのかもしれない」
「そう考えれば俺は悪くないな。すべてはお前のタイミングの悪さにある」
「うるさいっ」
修は小声で怒鳴った後ペン回しをしながら放課後はどうしようか、など考えていた。
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放課後、修は今日も一人で帰宅していた。
理由は簡単だ。勇輝は生徒会の仕事、拓人は学校が終わるなり、一年の教室へ直行していた(たぶん妹のところだろう) 龍斗はわけの分からない文面のメールが来た後、電話で『先に帰っててくれー』 と言われた。相変わらず意味の分からない奴だ、と修は思っていた。
「今日はなんか疲れたな……」
そうつぶやいて学校の門を抜けようとしたとき、そこにはよく知っているというよりも昼休みに屋上で会った女子生徒がいた。百合奈だ。
修は出来るだけ見つからないように顔を背けていたがあっさり捕まってしまった。
「そういえば名前聞いてなかったから……」
「なんだそんなことか、二組の神谷 修だ。」
修はめんどくさそうにだがちゃんと答えた。
「ふむふむ、君が百合奈のことを助けたって言う男子だね?」
と、百合奈の隣にいた女子生徒、如月 美希が修に尋ねた。 美希の容姿も百合奈に引けをとらないほど十分なもので、学校でも人気がある。
「それにしても朝はすごいスピードだったね。陸上部にでも入っているのかい?」
美希は何かを含んだような笑みを浮かべながら修の前に立った。
「確かにすごかったね」
「いや特にはやってない」
今は門の前にいるのだがそのせいで周りからの視線がすべて修に集中している。そのせいか修は少し焦った声だ。
「んじゃ俺はこれでっ」
ガシッ
「それよりも百合奈を助けた時のこと詳しく話してくれる~?」
満面の笑顔でがっちりと修の腕をホールドする美希。正直修は今にも泣きたい気分だった。
百合奈の方に目をやると首を縦にぶんぶん振っている。そして周りを見渡すとほとんどの生徒(主に男子生徒)からの殺気のこもった視線。
修は空を見上げると同時に深々とため息をついた。




