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ケープゼレット(Képzelet) ~SF短編小説集~  作者: 劉白雨


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色を失った判断の色 : 2025年11月


【顔色】


 〔判断〕それは、古来人類が綿々とおこなってきた行為である。

 人類の黎明期、自らの命を長らえるために、危険かどうかを判断した。

 対峙した獲物の力量を判断し、収穫した食料の可食を判断し、生活する住処《すみか》の安全を判断し、番《つが》いになる相手の適性を判断し、そして群れを作る相手の為人《ひととなり》を判断した。こうして、人類は子孫を作り、群れを作り、集落を造り、街を造り、そして国を造ったのである。


 判断するという行為は、良きにせよ悪しきにせよ、人類社会に深く根付き、その歴史の中で、人類は様々な判断基準を設けてきたのだ。

 その基準とは、大きく分けて、外見、行動、そして内面の三つに分類される。

 外見とは、言わずもがな、見た目である。体型、顔貌《がんぼう》、背丈、服装などがこれに当たる。また見た目ではないが、視覚と同様に知覚で判断するという意味では体臭や声色なども、この外見に内包されると考えても良い。


 次に行動とは、言動、習慣、習癖などの、生活環境によって培ってきたものがこれに当たる。方言や言葉遣いを始め、手足の動かし方、行動パターンなどといった、後天的に獲得したものがこれに当たり、目に見える形で現れるという意味では、広義の外見に当たるとも言える。


 そして最後の内面とは、知識、信条、信念、思想、価値観、そして主義主張などがこれに当たる。簡潔に一言で言ってしまえば、頭脳のことである。

 分かりやすく言えば、これらはすべて頭脳の活動によるものであり、内面とはまさに頭脳の働きそのものを指す。人類はこの頭脳の善し悪し、あるいはその人間が何を考えているのか、どう考えているのか、自分とどう違うのかを判断基準としてきたのである。この内面は、直感では判断出来ない。むしろ頭脳によって考察し、判断するものであり、人類特有の、知的で精神的な判断機能であると言える。

 

 これらの判断基準は、主に人と人とが信頼を築き上げるために利用されてきた。

 ところが、人間は群れをなす動物である。個と個が判断し合うだけでは、群れを維持していくことは出来ない。そこには、別の判断基準が加わることになる。

 それが、道義や規範、風習、習慣、宗教、そして法律といった形へ集約され、文化として根付くのである。

 判断は、人類が群れをなすために必要なツールとして、人類発展に大きく寄与してきたといえる。


 しかし、情報が溢れ、個々の価値観が多岐に亘る現代社会において、判断するということがどれほどのリスクを伴うか、その危険性は計り知れない。これまでの常識が通用せず、判断基準が判断基準でなくなっているのだ。つまり基準そのものが、その役割を果たさなくなっているのである。


 個としての人間であれば、判断を誤ったとしても、多少痛い思いをするだけで済むかも知れないが、これが集団になれば、その危険度は指数関数的に上昇していく。人数が増えれば増える程、そのリスクはウイルスのように広がっていくのだ。ましてや国家ともなれば、そのリスクマネジメントは、計り知れない困難を極める。なぜなら、やり方を間違えれば、最悪国家転覆という事態を招きかねないからである。


 この国は、そのリスクマネジメントを〔顔色〕というツールに頼った。

 もちろん、人間の顔色というのは、主観的なものであり、客観的な判断ツールになどなり得ない。ではなぜ、この国はそれを採用したのか。それは、この〔顔色〕というシステムが文字通りの〔顔の色〕ではなく、顔に出てくる色で判断されるからである。

 この顔色というシステムは、顔の特定の場所に直径5㎜程の色が出てくるシステムである。この色は、場所と色の違いによって、その意味が異なるのである。


 たとえば鼻の頭に出てくる色は、国家忠誠心を表す。

 色は、国家忠誠心の高い方から青、緑、黄、橙と低くなり、国家忠誠心がない状態が赤となる。

 この顔色は、通常肉眼で見ることはできないが、特殊な機械を通して映し出すことで、見ることができる。機械と言っても大がかりなものではない。ゴーグルのような、装着式の機械である。

 

 現れる顔色は、もちろんこれだけに留まらない。この他にも、右頬に現れるのは犯罪計数を表す安全保障度であったり、左頬に現れるのは、精神状態も含めた健康状態であったりするし、見られる情報は、社会貢献度や、知的レベル、知能レベルなど、国家が必要とする様々な指数が表示されるのである。

 いずれも、個人データでは計り知れない人物像をあぶり出すのに必要な情報を、判断基準として表示させているのである。


 このシステムを運用しているのは、もちろん国家であるが、このシステムを利用するのは全国民が有する権利である。従って、国家権力である政府や自治体、警察機構、軍隊はもちろんのこと、企業や学校、地域社会に至るまで、顔色を見ることができる。

 大がかりな機械ではなく、ゴーグルを導入するだけで済むというのも、普及している要因とも言えるが、それだけ、人々が判断基準を必要としている証左でもある。


 理想の国家像を追い求めた政府は、このシステム導入を推進し、安定的な国家運営を手に入れたのであるが、今や国全体がこのシステムに依存し、このシステムなしでは社会が成り立たない状態になっていたのである。



【リスク】


 ニトは、先程までバルで酒を飲んでいたが、突然店を追い出された。

 理由は、店に危害を加えるおそれがある危険人物である。まだ、何もしていない、只少し飲み過ぎて、この世の中に、社会に、国に不満を募らせただけである。

 ゴーグルを着けた店員に追い出されたのだから、文句は言えない。この国では、ゴーグル装着者に危害を加えた場合、国家反逆罪として捕らえられ、最悪死刑も有り得るのだ。


 ニトは先日まで会社勤めをしていたが、クビになった。

 なぜクビになったか。理由は、会社に不要な思想の持ち主だからである。別段、会社に不利益をもたらすような思想を持っている訳ではないと思うのだが、そう認定された。

 この認定をしたのもゴーグルを着けた社員によるものであるため、逆らうことは出来ない。


 なぜこんな社会になってしまったのか。

 それはニト自身知りたいところだ。

 だが、一つ言えることは、すべて現大統領のテポゥガが決めたことである。この男が大統領になってから、この国はおかしくなった。

 世界中から尊敬される国として上位に位置していたこの国は、たちまちその地位が下落に下落を重ね、今や尊敬どころか、侮蔑《ぶべつ》の対象として蔑《さげす》まれ、信用も地に落ちた。

 現在、世界中から経済制裁を加えられ、困窮する国民は後を絶たない。ニトがクビになったのも、会社が困窮したためであることは、火を見るより明らかだ。


 ニトをクビにし、バルを追い出した元凶である顔色システムだが、これもテポゥガ大統領の考案によるもので、国民監視のために作られたといわれている。表向きは、社会の運用を円滑にするためとかなんとか言っていたが、そんなことを信じる国民は誰一人いない。


 顔色一つで、人間の感情、思想、忠誠心まですべてが丸わかりなのだ。そんなものを誰が開発したのかは知らないが、それに目をつけたテポゥガ大統領を始め国家ぐるみで悪用しているのだ。


 ニトは道端に座り込んで、大きく溜め息をついた。

 普通に考えれば、国民への求心力が下がるという、大きなリスクがあるというのに、大統領は何も考えていないのか、リスクよりも目の前の国民選別という甘い果実にしか興味がないようだった。

 そんなことを、考えているから、バルを追い出されたのだが、ニトはそれでも懲りずに考えを巡らせていた。それが大いなるリスクであると言うのに。



【破れたページ】


 ニトは、自宅に戻ってネットで求人情報を検索していた。

 しかし、どこも条件が合わず、彼が応募出来る求人情報に出会《でくわ》すことはなかった。

「今日も、仕事は見つからないか。インフレが酷くて、貯金も底をつきそうなのに、これじゃマズいな。」

 ニトは、そう言って椅子の背もたれに身体を任せ、大きく溜め息をついた。

 

 彼が住むこのワンルームは、もう何年も住んでいるが、物は殆どなく、只寝るだけのために帰ってきていた。しかし、クビになってからは、この部屋にいる時間も増え、あまりに物がなさ過ぎて嫌気がさしたが、今更物を増やす気にもなれず、殺風景なままで我慢していた。 


 気分転換を図ろうと、シャワールームでシャワーを浴びたニトは、ふと壁に修繕したような跡を見付けた。縦横5㎝に満たない小さな修繕だが、どうも慌てて修繕したのか、ポロポロと修復材が剥がれ落ちていた。

「こりゃ、酷いな。こんな修繕した覚えがないが、前の住民がやったのか。ならばボロボロになるのも仕方ないか。」


 ニトは、着替えを終えて、近所のホームセンターに行って修復材を買ってきた。

 修復材も高くなった。滅多に買わない物だから、元の値段を正確に覚えている訳ではないが、高いと感じるまでには上がっていた。

 修復材だけではない、物の値段は、テポゥガ大統領が就任してから、3倍近くに上昇しているのだ。ニトはコツコツ貯めてきた貯金で食いつないできていたが、それももう限界を迎えようとしていた。


 修繕を施そうとして、古い修復材を剥がした時、ニトはその中に箱のような物を見付けた。然程大きくはない、細長い筒状の箱である。

 注意深くその箱を取り出し、蓋を開けると、〔未来のニトへ〕と書いた封筒が入っていた。


『未来のニトへ

 この手紙を私が読んでいると言うことは、おそらく記憶操作が実行された後だろう。

 今の君には信じられないかも知れないが、この手紙を書いているのは紛れもなく君自身である、この私だ。

 同梱のメモリーチップには君へ宛てた手紙が入っている。誰にも気付かれないように内容を確認して欲しい。君の健闘を祈っている。

 過去のニトより』


「どういうことだよ。」

 ニトは頭が混乱していた。

 この殴り書きされた手紙は、確かにニト自身の筆跡である。

 過去のニトが未来の自分に宛てた手紙をこんな所に隠しておくこと自体が良く分からない。それに、そんなことをした記憶がまったくないのだ。

 一体どういうことか分からずに、このメモリーチップを読もうと思って、自分のパソコンを起動しようとしたが、思いとどまった。

 なぜ、過去の自分はこんな回りくどい方法で、今の自分にメッセージを残したのか。誰にも気付かれないようにと言っているということは、つまり、自分の行動は監視されているのかも知れないということだ。


 そう考えたニトは、箱に手紙とチップを戻し、壊した壁を簡単に修繕すると、再び出かけた。行き先はレンタルルームである。

 レンタルルームとは1m四方の簡易的な部屋で、リモートビジネスで利用したり、学生が学習部屋として利用することもある。外部音は完全に遮断されるし、内部の音も漏れ出ることはなく、完全な密室となっているため、様々な面で重宝されている。

 ニトは、この部屋で自宅から持ってきたノートパソコンを開いて、先程のメモリーチップを読み込んだ。


 メモリーチップを開くと、その中身には、まず今の自分である、未来のニト宛てに手紙のファイルがあった。

 ニトは、その〔未来のニトへ〕という名前のファイルを開けた。そこには以下のような文章があった。


『未来のニトへ

 ニト、君がこのファイルを開いているということは、記憶を消されたのだろう。

 突然のことで、戸惑っているかも知れないが、私は君の過去である君自身である。つまり、私は君の過去である。このメモリーチップは過去の私、つまり君自身が、未来の私、すなわち君に託したものである。』


 一体何の話をしているだ。人をおちょくっているのか。記憶を消されたとかなんだとか、スパイ映画やSFじゃあるまいし。それとも何か別の狙いでもあるのか、とニトは最初の文章を読んで、慎重になっていた自分が少し馬鹿らしくなった。


『おそらく、今の君はこの文章を読んで、人をおちょくっているのか、などと考えているかも知れないが、これは君へ真実を届けるためのものであり、君に託したいことがあるんだ。過去の自分からのお願いだと思って、この先も読み進めて欲しい。』


 ニトは、こんな回りくどい言い方をするのは、確かに自分らしいなと思いながら、渋々読み進めた。


『今の君にとっては衝撃の事実かも知れないが、君は国家機密機関の研究者として、この国に貢献してきた。しかも、顔色システムを考案し、実用化に漕ぎ着けたのは、紛れもないこの私、すなわち君自身である。』


「はあ?俺が顔色システムを作り上げた?そんなの無理に決まってるだろ。そんな知識なんてある訳ない。学校もろくに出てない俺が、そんな物作れる訳ないじゃないか。」

 ニトは、思わず声を上げていた。あまりに滑稽すぎる話に、本当に馬鹿馬鹿しくなって読み進める気も起きなくなってはいたが、やはり気にはなる。


『顔色システムは本来多様化する価値観を、ある一定の基準で標準化し、それを分かりやすくすることで、人間関係を円滑にするためのツールとして開発したものである。このシステムによって人間の感情のレベル、思考のレベル、好感度のレベルを測り、互いに起こりうる誤解を解くためのツールとして、この私が発明したのだ。

 このツールが正しく使われれば、人間関係のあり方が根本から変わる、画期的なシステムであったのだ。

 それを、テポゥガのせいで、私の発明は悪魔の道具にされてしまった。

 ヤツは、国家に有用な情報を特にピックアップし、それを元に、人を裁くようにしてしまった。この罪は、斬首に値する。』


「相当怒ってるな。まあ、自分の発明が悪用されれば、こうなるのも頷けるか。」

 ニトは、あくまでも他人事《ひとごと》である。


『君に、もう一つ伝えておかなければならないことがある。この顔色システムは単に顔色を見るシステムではない。このシステムは、すべて人体に注入されたナノマシンに依存しているのである。もちろん、このナノマシンは脳内の情報を収集して、顔色として表示するものであるが、このナノマシンの機能はそれだけに留まらない。

 もう一つの役割は、記憶の改竄である。』


「おいおい、ちょっと待てよ。俺の身体の中にはナノマシンが注入されていて、それが顔色システムに利用されているだけでなく、記憶の改竄もしているっていうのか。そんなの信じられるかっていうの。こいつの記憶が俺にないのも、記憶が改竄されたからだって言いたいのか。そんな突拍子もないこと有り得る訳ないだろ。」

 ニトはあまりに、突拍子過ぎて、滑稽な話に、笑い飛ばそうとしたが、出来なかった。

 脳の片隅に、この男の記憶、いや過去の自分の記憶が、書き換わっている気がしてきたのだ。なぜそう思ったか、それは、あの大統領ならやりかねないと思ったからだ。それが滑稽な陰謀論であっても、今なら信じてしまいそうだ。


『この記憶改竄のシステムについては、同梱の資料を確認して欲しいが、簡単に説明すると記憶の引き出しの奥に元の記憶を追い遣り、手前に新しい記憶を置くことで、偽の記憶は引き出せるが、元の記憶は引き出せなくしてしまうのだ。

 技術的な話はここでは割愛するが、簡単に言えば、シナプスの経路をイジるのだよ。』


 そんなことが可能なのか、夢物語みたいなことを言っている気が、ニトにはしたが、それでも、ニトを担ぐためだけにこれほどの大がかりな嘘を作り上げる意味が分からないので、半信半疑とはいえ、半分信じることにした。

 しかし、自分が顔色システムという諸悪の根源を発明し、それに付随してナノマシンで人々の記憶を弄るシステムを構築したという、本当にしたのかどうかは分からないにしても、それでもニトは良心の呵責、罪悪感に苛まれた。


 自分の気持ちが過去の忘れてしまった記憶に、影響を受けているのかもしれない。ニトはそう考えてみたが、そんなことあるはずないと、一蹴に伏そうとした。

 本当に自分がこんな諸悪の根源とも言えるシステムを作り上げたのか、過去の自分は画期的なシステムと豪語していたが、本当にそうだったのか。単に悪用されただけなのか、元々システムとして問題なかったのか。

 今のニトに答えは出なかった。


 ニトは、自分の記憶が改竄されていたことに、大いに悩んだ。

 自分は、学校もろくに出ず、会社を転々として、その日暮らしをしてきた社会の底辺で生きる人間だとばかり思っていた。その記憶が偽りであり、偽物だとするなら、本当の自分の記憶はどこにあるのか。

 まるで、自分の記憶という一冊の本から、ごそっとページが破り捨てられた、そんな気持ちになった。

 この破れたページの一欠片《ひとかけら》がこの手紙であり、同封されたチップである。しかし、これも真実かどうかは分からない。誰かが自分を陥れようとしているのかも知れないし、そうでないのかも知れない。


 だがそれ以上に、ニトは、手紙の最後に締め括られていた言葉にも、悩むことになった。


『最後に、君にお願いしたい。いや、これは君自身がやるべきことである。この顔色システムを使って革命を起こして欲しい。やり方の詳細は別途ファイルに纏めてあるので、それを参考にして欲しい。信頼出来る仲間のリストも入れてある。彼らに連絡を取って、事を進めて欲しい。よろしく頼んだぞ。未来の俺。』


 破れたページの記憶を取り戻しに行くだけならまだしも、革命を起こせとは無理難題である。革命を起こせば、この国はもしかしたら良くなるかも知れない。だが、たかだか自分一人、仲間を募ったとしても、そんな少数で出来ることなど高が知れている。

 成功すれば良いが、失敗すれば只では済まない。


 ニトはそれでも、破れたページを埋めることで、真実を知りたい。それが善か悪かは別として、ただ自分の記憶が戻るなら、全てを知りたいと願っていた。それが革命に繋がるかどうかは別にして、その気持ちだけは、確実に彼の心を占めていた。


 ニトは、無音のこの部屋で頭を抱えて、暫く一人で悩み続けるしかなかった。


<完>



【後書き:2025年11月】


 ご一読いただきありがとうございます。

 2025年11月に提示されたテーマは【顔色】【リスク】【破れたページ】です。


 いつものことです。このテーマでどうしろというのか。顔色が悪くなりそうです。

 というわけで、いつものとおり、ここから連想する言葉を並べていきます。

 顔色からは、色に関連する言葉はもちろん、表情や気持ち、体調、そして判断と言う言葉が出てきました。

 リスクはそのままですね。色んな危険に関する言葉が出てきます。

 そして、破れたページは、本やノートに関連して、古文書とか記録なんて言葉も並びました。


 さて、連想ゲームが終わると、そこからどう組み立てていくかです。

 顔色から連想した、判断という言葉、これは使えそうです。まずは、この判断という言葉を中心にプロットを作成してみました。

 顔色というのは、青い顔、赤い顔の他にも、土気色など、体調や気分を表す言葉として良く聞かれます。近未来では、この顔色を使って、体調管理をしていくという、とある会社の話を組み上げてみました。

 しかし、よくよく考えたら、顔色を判断するのに、SF的な要素を取り入れなくても、目で見て分かるだろと、即この案はボツにしました。

 しかし、顔色を判断材料にするアイディアは、テーマが顔色である以上、抜け出せないので、この方向性を残しつつ、もっとSF的にしようと思い、ナノマシンによる顔色表示システムを思いつきました。


 そうなれば、後は詳細を詰めるだけです。

 そして出来上がったのが、顔色をナノマシンで表示させ、それをゴーグルで確認する。その顔色には事細かに意味があり、国民はすべてそれを元に管理されている。そんな世界です。


 今回は、最初の第一章が丸々判断の歴史と顔色システムについての説明に終始しました。登場人物がまったく出てこないのは、ある意味挑戦でした。これはこれで、自分としては良かったかなと自己満足はしていますが、いかがでしたでしょうか。


 この作品をあなたはどう感じましたでしょうか。

 この作品が思索のきっかけになれば幸いです。

 次回は12月になります。よろしくお願いします。



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