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幕間その1
『幕間その1』
古来より人類は相争い、その中に“武”を見出してきた。長い長い歴史の中で、多くの人物がその生を武の研鑽に捧げ、天の定めし肉体の限界を突破してきた。
一方で、同じく戦いの歴史を刻んできた者達がいる。
虫――地球の覇者たる生命である。
現在、地球上で知られている生物種の半分以上。およそ百万種が、虫である。
彼の者達は、地球の歴史に何の前ぶれもなく突如現れて以来、幾多の天変地異を乗り越え、数度の氷河期を生き延び、そして今なお、この地球において最大の繁栄を誇る。
人類は自然の脅威の一端として、彼らと関わってきた。農作物を食い荒し、病気を蔓延させる、止めようのない災い。自然災害が人の手には負えないように、虫の脅威もまた、弱者たる人類にはどうしようもない自然のうねりだったのだ。
そして今、人・虫の戦いの歴史は新たな転機を迎えた。
人の切り札であったはずの殺虫剤を克服した、“薬剤抵抗性害虫”の出現。人が抱いた小さな不安をはるかに飛び越えて、彼らは進化した。生命の神秘と言えばそうなのかもしれない。
だが神秘と言うのなら、これは、人類への神罰に他ならなかった。
Anti Bags Arts(殺虫体術)。
時代の要請によって生まれた、新たな体術。
それは人類に許された、小さな刃であった。




