表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
950/1391

第950話 「エドモンの手紙」

『魔法女子学園の助っ人教師』愛読者の皆様、いつもご愛読して頂きありがとうございます。

 只今、書籍版第3巻の改稿作業中です。

 今回も大幅加筆修正を行い、新エピソードも加わる予定です。

 発売日等、詳細が決まりましたら、随時お知らせしますので何卒宜しくお願い致します。

 ルウがアドリーヌの故郷から戻って暫く経ったある日の午前……

 ブランデル邸へ届いた、一通の手紙があった。

 ……それは、公務以外手紙など一切出さない。

 そう思われる人物からの、とても珍しい便りであった。


 ルウ宛で手元へ来たのは、魔法鳩便が届けた、飾り気がない封筒だ。

 中には、紙片がたった一枚……

 気になる文面は……


 ケヴィンを頼む。


 ……ただ1行、それだけであった。

 一体、ケヴィンという人物の、何をどう頼むのか?

 いつ、どこで等も、一切触れられてはいなかった。


 そして、この手紙の差出人はというと……

 エドモン・ドゥメール公爵、すなわちフランの大伯父であるバートランド大公であった。


 ここはルウの書斎……


 ルウとフランはふたりだけで、手紙を挟んで正対し、座っている。

 フランはルウの了解を貰って、手紙の内容を確認していた。

 当然わけがわからず、首を傾げている。


「旦那様、これ……どういう意味かしら? ……分かる?」


 文面を見たフランが尋ねると、ルウは穏やかな表情で頷く。


「ああ、分かるよ」


「???」


 フランは、またも首を傾げている。

 「頼む」と書いてあるのが、あのケヴィンの事だとは、分かる……

 エドモンの三男ケヴィン・ドゥメールに間違いない。


 そう! 現在ケヴィンは王都に居るのだから。


 聞けば、ルウと話したいというきっかけで父へ頼み込んだという。

 結局、ヴァレンタイン魔法大学の副学長に就任していたのだから。


「ケヴィン兄様は分かるけど……何をどうするっていう事?」


「ああ、面倒を見てくれって事だろう?」


「だから面倒って……何?」


「うん、『彼女』を含めてもろもろ」


「はぁ!? か、彼女!?」


 フランは吃驚し、呆気に取られてしまう。

 あのエドモンが!?

 ケヴィンの付き合う女性の事を……わざわざ頼むだろうか?

 身内である実の息子や孫にさえ、気難しい素振りを変えない。

 自分には勿論、可愛がっている姪のアデライド——フランの母にでさえそうなのに。


「あの……大伯父様が?」


「心配なのさ」


「心配……」


 フランはまだ納得が行かないらしい。

 美しい眉をひそめている。


 ルウは、小さく頷く。


「ロイクさんには会えなかったけど。アルフォンソさんは冷静な政治家として、ケヴィンさんは好奇心旺盛な学者として、爺ちゃんは自分を重ねているのさ」


 ロイクとはエドモンの次男である。

 先日、フランとバートランドを訪ねた際には不在であった。

 なので、長男のアルフォンソ一家、三男のケヴィンと歓談したのだ。

 フランが激怒した、例の『引き抜き』事件が起きたのも、その時である。


 だが、フランは思う。

 ルウはまた、気になる事を言うと。

 エドモンが、『息子へ自分を重ねる』とはどのような意味だろう。


「自分を……重ねているの?」


「ああ、ケヴィンさんはある意味、アデライドさんにも似ている」


「お母様に? ……ええ、それは納得するわ。最近はめっきり減ったけど……魔法研究の為に書斎に籠って寝食を忘れるって良くあった。ケヴィン兄様も昔から一緒、そういう話を良く聞くわ」


「うん、アデライドさんやケヴィン様の好奇心、探求心は冒険者時代の爺ちゃんと一緒。今は凄く多忙だから……国やバートランドの街の事で手一杯なのさ」


「納得! 確かに大伯父様はヴァレンタイン王国やバートランドの行く末をひたすら考えていらっしゃるものね」


「そうさ、だから特にケヴィン様が可愛い。末っ子という事もあるだろうから」


「ますます納得……」


「面倒を見てくれというのは、アデライドさんがひとりで暮らすと考えたら分かりやすい」


「お母様がひとりで? ああ、無理、無理、無理! お母様には絶対にひとり暮らしなんか無理! 大納得、いえ超納得よ」


「ははっ、今、アデライドさんが目の前にいらっしゃったら怒られるよ。……話を戻すとケヴィン様はバートランドに居た時は自宅在住だから良かった。だが王都ではそうはいかない、基本的にひとり暮らしだろうから」


「確かに! でもさすがに、身の回りの世話をさせる使用人くらい雇うでしょ?」


「多分。でも爺ちゃんとしては、ちょうど良いタイミングだから、ケヴィン様が自立した上、ついでに奥様を貰えって気持ちなんだろう」


「ふうん……旦那様、凄い深読み……」


「まあまあ、俺よりもケヴィン様の話だ。ケヴィン様は貴族育ちだし、自分で自身の事をやる事に慣れていない。もし結婚するならケヴィン様自身にも変わって貰わないと」


「ええ、その通り、旦那様みたいにね」


 フランの言う通り、手が空けばルウは率先して家事を手伝う。

 最近少ないのは、不在がちなのも含めてエドモン同様あまりにも多忙だからなのだ。


「ああ、だから俺の事はどうでもいいけど……うん、決めた。とりあえず、俺、明日、ケヴィン様へ会いに行くよ」


「私も行くわ」


「いや、何となくだが、最初は俺だけで行った方が良い気がする。フランには後でいろいろ協力して貰うから」


 ルウは微笑んでいる。

 例によって何か、考えがあるようだ。


「分かったわ。ジゼル達には私から言っておくから。後で『ぶうぶう』言うでしょうけど」


「助かる! それと元々、大学へはマンドラゴラの納品もあるんだ」


 ルウ達クランステッラはバートランドの冒険者ギルドで依頼を受けた。

 その中の依頼がヴァレンタイン魔法大学から出ていたマンドラゴラの採取である。

 マンドラゴラひとつにつき金貨30枚、期限は無し、納品は大学本部へ直接という条件だ。


「ああ、クランステッラのミッションね、了解!」


 大きく頷いたフランではあったが、暫し考えた上、にっこり笑う。


「うふ、言い忘れていたけど……」


「何?」


「マンドラゴラって貴重品よ。ウチでも使うし、お母様にも譲ってあげたい。お金は払うから」


「ああ、良いぞ。金は俺がコレット家へ払うから不要さ。結構たくさん採取したし、納品数も任意だから大丈夫。皆、喜ぶな」


「うふふっ」


 フランは素早くルウへ近付いてキスをした。

 瞬間、ルウの書斎には幸せの波動が満ちたのであった。

いつもお読み頂きありがとうございます。


東導の別作品もぜひ宜しくお願い致します。

『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』新パート連載中!

※『魔法女子学園の助っ人教師』とはまた一味違った、ヴァレンタイン王国のんびり田舎ワールドです。

※本日11月10日朝、更新予定です。 


https://ncode.syosetu.com/n4411ea/


故郷に帰りたかった青年が謎の死を遂げ、15歳の少年になって異世界転生! 

バトルは少々ありますが、基本は田舎の村で美少女達とスローライフ。

畑を耕したり、狩りをしたり、魚を釣ったり、結婚した美少女達と日本の昔遊びなど。

スローライフ最中、自らの転生の謎を解き、様々な人々と、出会い&別れを繰り返す。

結果、逞しい『ふるさと勇者』へと成長して行く話です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ