第949話 「カントルーヴ家の再起③」
『魔法女子学園の助っ人教師』愛読者の皆様、いつもご愛読して頂きありがとうございます。
只今、書籍版第3巻の改稿作業中です。
まだまだ作業は終わりませんが、見込みは立ちそうな感じとなりました。
今回も大幅加筆修正、新エピソードが加わる予定です。
発売日等、詳細が決まりましたら、随時お知らせしますので何卒宜しくお願い致します。
『お~い、兄上』
驚いたジェロームへ、再びルウの声が響いた。
しかし、さすがにジェロームも再度驚きはしない。
それどころか、久々に聞く義弟……否、『親友』の声に嬉しくなる。
暫く会っていないせいか、無性に懐かしくなり、直接ルウの顔が見たくなる……
いつか約束した、剣の『手合わせ』もしたいし、乗馬の腕も競いたい。
妹のジゼルには絶対に内緒にして、ふたりきりで酒も酌み交わしたいし、金糸雀付属のカフェで大好きな甘いお菓子も食べてみたい。
いや、自分とシモーヌ、ルウと妹の計4人でダブルデートでもOKだ。
愛するシモーヌと、いつもとは違った新鮮なデートになるし、4人で話せば菓子談議に大輪の花が咲く事だろう。
妹とはまた違った、心を偽らず本音で話せる相手……それがルウなのだから。
『おお、久しぶりだなって、こら! 俺の事はジェロームと呼べ。兄上と呼ばない約束だろう』
ジェロームはシモーヌとの初デートの際、既に『念話』を経験している。
ルウから厳秘と念を押されたので、当然口外はしていない。
その後、何回か、やりとりをしてるのでもう慣れたものである。
『ああ、そうだった、申し訳ない。ところで、今、話しても大丈夫か?』
『うん、問題ないぞ。何だ、何か用か?』
ルウからの話は……同僚の教師アドリーヌと結婚したという簡単な報告。
そして本題は……フェルナンの件であった。
但し、ルウは簡潔に話した。
全て話せば長くなるし、さすがに『事件』の事など言えない。
ルウがもし事実を言えば、正義と真実を愛するジェロームの性格上、とても『面倒』になってしまう。
まあ、あくまでも『良い意味』で、ではあるのだが……
『無理を言って悪いけど……何とかレオナールの親父さんを説得してくれないか?』
ルウの頼みとは、フェルナンが婿養子として入るカントルーヴ家を寄り子にして欲しいという事。
少し前から生活が乱れていたフェルナンが、心を入れ換えてやり直す手助けが出来るとあってジェロームは嬉しい。
そしてカルパンティエ家にとっても勢力のバロメータともいえる、忠実な寄り子を増やすチャンスでもある。
『無理も何も! フェルナンは騎士隊で俺の可愛い後輩だ。そのフェルナンが当主となるカントルーヴ家を寄り子に出来るならカルパンティエ家にとっては願ったり叶ったりだ』
『おお、そうか?』
『そうさ! 何だよ、頼みだって言うから、折角お前に良いところを見せようと思ったのに、また借りが出来てしまうな。良い話だから早速父上に伝えよう』
『ジェローム、ありがとう!』
『ははは、任せろ!』
いつも聞く弟のセリフを自分が返せて、ジェロームは大のご機嫌であった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
モーラルがタチアナへ、ジェロームの来訪を告げた翌日……
約束はしっかり果たされ、午後2時の少し前にジェロームはやって来た。
タチアナの父ブリュノ・カントルーヴは当初信じられなかった。
ジェロームが来訪する話を、である。
王都騎士フェルナン・ダロンドが婿養子になるという話だけでも眉唾物なのに、王国でも有数の貴族の次期当主が来て、寄り親の誘いをするなど天と地が逆さになってもありえないと思ったのだ。
いくら、可愛い愛娘の言う事であっても……
しかし!
目の前にはカルパンティエ家の御曹司が居る。
はっきりした現実があるのだ。
ジェロームは、優しく微笑む。
「子爵、タチアナ殿から聞いているとは思いますが……」
対して、ブリュノは完全に緊張していた。
全く想定外の出来事に、頭と身体がバラバラの状態なのだ。
話す声も上ずっている。
「は、はいっ」
「単刀直入に申し上げます。御家へのフェルナン・ダロンド君の婿入りの了解を頂きたい。そして我がカルパンティエ家の寄り子にもなって欲しい。当然、子爵の新しい役職も用意します」
ジェロームは、ズバリと言った。
彼は、回りくどい言い方があまり好きではない。
ストレートに話すのが性に合っている。
片や、ブリュノにとっては素晴らしい提案である。
しかし現実感がないという思いが先だって、口が上手く動かない。
「そ、そんな!」
驚くブリュノへ、ジェロームは優しく微笑みかける。
「急に押しかけた上、いきなりで申し訳ない……ぜひ、この場でご返事を頂きたいのですが」
「…………」
遂に口籠ってしまった父を、タチアナが叱咤激励する。
「しっかり、お父様! とても良いお話でしょ?」
「はっ、はい! ダロンド辺境伯殿子息の婿入りと、御家の寄り子入りのお話は謹んでお受けします!」
厳しい表情の愛娘に促されて、ようやくブリュノはOKの返事をする事が出来た。
よし!
これで……全てが上手く行くだろう。
お前の頼みは、しっかりやり遂げたぞ。
ジェロームの心は、ルウへ胸を張れる喜びに満ちている。
「では、父に報告しておきます。すぐに対応させましょう」
……話は決まった。
カントルーヴ家は再起出来るのだ。
「あああ、ありがとうございます!」
漸く実感が湧いて来たのであろう。
ブリュノは噛みながらも、大きな声で礼を言う事が出来た。
当然、タチアナも感極まっている。
「ジェローム様! ありがとうございます! 今後とも、父と夫を何卒宜しくお願い致します」
緊張がようやく解けて微笑むブリュノ、そして真剣な表情から一転して、タチアナの幸せいっぱいの笑顔がある。
素晴らしい未来が開ける……ふたりとも期待に満ちた笑顔を浮かべている。
この朗報を報せれば、フェルナンとその家族も同じ笑顔を見せるだろう。
ルウもジゼルも……そして父レオナールも……
ルウ、お前と知り合ってから……
俺が見るのは、こんな素敵な笑顔ばっかりだ。
それに……戦うのが俺は一番好きだが………
「ありがとう」って言われるのが、とても好きになっているぞ。
そう考えるジェロームの笑顔が、この場で一番輝いているのを、彼自身気付いていなかったのである。
いつもお読み頂きありがとうございます。
東導の別作品もぜひ宜しくお願い致します。
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故郷に帰りたかった青年が謎の死を遂げ、15歳の少年になって異世界転生!
バトルは少々ありますが、基本は田舎の村で美少女達とスローライフ。
畑を耕したり、狩りをしたり、魚を釣ったり、結婚した美少女達と日本の昔遊びなど。
スローライフ最中、自らの転生の謎を解き、様々な人々と、出会い&別れを繰り返す。
結果、逞しい『ふるさと勇者』へと成長して行く話です。




