第7話「森兄弟の無欲と固定費の結界」
第7話「森兄弟の無欲と固定費の結界」
第1場:カルテの束・「無風の家計簿」
東暦一五七三年、冬の終わり。
夕暮れの三河開発・代表室。
本日も蛍光灯は半分だけ消され、薄暗い室内で30代の青年社長・徳川家康はカタカタとノートPCのキーボードを叩いていた。
モニタの青い光を反射しているのは、ディスプレイ作業時のみ装着する特注のPC用ブルーライトカット眼鏡である。
机の上には、1杯800円の無農薬ケール青汁の瓶と、スーパーの見切り品である1パック20円の白滝が置かれている。
「社長、本日の節約実績です。
昼食は白滝の醤油炒めと麦飯、お茶は出がらしの番茶。
……そして、トイレットペーパーの芯を細長く切り開き、散らばっていた領収書をまとめるリングクリップとして再利用しましたね。
芯の断面からパラパラと茶色い紙粉が落ちて伝票についてますけど」
「うむ! プラスチック製のクリップを購入すれば1個5円は下らんが、芯を活用すれば資材費は0円!
さらに芯を等間隔で切断する細かなハサミ運動によって手指の巧緻性を高め、脳血流量を増加させた!
資産防衛と脳機能維持を両立する、極めて合理的な一石二鳥じゃ!」
「机の上が工作途中の小学生の部屋みたいになってますけどね」
元忠が冷ややかにペンを走らせた、その時だった。
内線電話がけたたましく鳴り響いた。
元忠が受話器を取る。
「はい、三河開発……あ、信長社長。
……はい、次のカルテですね。
……え? 『森家の兄弟をまとめてチェックしろ』?」
元忠は受話器を置き、机の上の【本能寺スタッフ家計カルテ】から最後の束を引き抜いた。
「社長、信長社長からのご指名です。100万円のコンサル契約、第5号が決まりましたよ」
「ふむ。一益殿、利家殿、勝家殿、長秀殿と続いて……残る重要スタッフはあの兄弟か」
「はい。厨房の火気担当である【森長可】さんと、フロアでバイトに入っている弟の【森蘭丸】さん兄弟です」
家康は身構え、深く息を吸い込んだ。
「……覚悟して見よう。これまで通販地獄、傾奇服の山、博打の全額溶かし、先物米買いと、毎度心臓が止まるような奇行ばかり見せられてきたからのう」
家康はおそるおそる、兄弟の収支明細に目を通した。
だが――画面をスクロールする家康の指が、ピタリと止まった。
【森長可・月間収支(手取り月収:約120万円)】
住居:本能寺社員寮(寮費・光熱費天引き済み)
食費:厨房の賄い、業務用エナジーゼリー(月約1万5,000円)
消耗品:包丁研ぎ石、耐熱手袋(月約8,000円)
スマホ・通信費:月1万2,000円
その他雑費:約1万5,000円
趣味・娯楽:ゼロ
【普通預金放置額:月約115万円】
【森蘭丸・月間収支(手取り月収:バイト代約25万円)】
住居:本能寺社員寮(寮費・光熱費天引き済み)
食費:賄い、お茶代(月約1万円)
消耗品:メモ帳、ペン、アイロンのり(月約4,000円)
スマホ・通信費:月1万2,000円
趣味・娯楽:ゼロ
【普通預金放置額:月約22万円】
「………………」
家康は無言のまま、PC眼鏡を外して目元を擦り、もう一度かけ直して画面を見た。
「元忠。……この数字、単位の打ち間違いではないのか?」
「いえ、事実です。二人とも寮と店舗の往復だけで、物欲が完全に抜け落ちています」
家康は机に突っ伏した。
「……な、何もない。散財も、投機も、見栄も、暴走もない……!
毎月入ってくる給与やバイト代が、そのままメガバンクの口座に雪だるま式に積み上がっておるだけじゃ……!」
「今までの人たちがおかしすぎたせいで、普通の真面目な若者がむしろ異常に見えてますよ、社長」
第2場:本能寺の控え室と「無風の青年たち」
翌日の午後。
喫茶厨房本能寺のスタッフ控え室。
長机を挟んで、家康と元忠の前に森兄弟が座っていた。 長可は腕組みをして不機嫌そうに貧乏ゆすりをし、蘭丸は背筋をピシッと伸ばしてエプロン姿のままメモ帳を開いている。
「おい徳川のオッサン。
仕込みの火加減を見る合間に抜け出してきてやったんだ、手短にしろよ」
長可が噛みつくように言った。
「兄上、信長社長のご指示です。失礼のないようにしてください」
蘭丸が小声で窘める。
家康は咳払いをし、カルテを机に置いた。
「……単刀直入に申し上げます。
お二人の家計には、生活が破綻するような問題はございませぬ。
浪費もない。
だが、資産形成の観点から見れば、まだ改善の余地がある!
今のままでは【無駄遣いをしていない】という消極的な守りに過ぎん!
支出に無頓着であることと、最適化されていることは全くの別問題じゃ!
お二人の口座には、一度見直せば『以後は何もしなくても半永久的に効果が続く固定費の無駄』が、分厚い結界のように張り巡らされておるのじゃッ!!」
「固定費の……無駄?」
蘭丸の目がピクリと動いた。ペンを構える。
「然り! まず第一に、そのスマートフォンじゃ!」
家康は二人の机の上の端末を指さした。
「月額1万2,000円!
なぜ通信費にこれほどかかっておるのか調べたところ、ご健在の実家の父上・森可成殿が十年以上前に大手キャリアで家族まとめて契約したプランのまま、一切変更しておらんじゃろう!」
「あ? 親父が契約したやつをそのまま使い続けてるだけだ。
繋がれば何でもいいだろ」
「それが甘い!
通信品質やサポート内容を確認したうえで、格安SIMあるいは大手キャリアのオンライン専用プランへ乗り換えれば、月額は2,970円程度まで圧縮できる!
一人あたり月約9,000円、二人合わせて年間で【約21万6,000円】の現金が、電波の彼方へ消え去っておるのじゃ!」
「年間二十一万……!」
蘭丸の手が猛烈な勢いでメモを走らせた。
「さらに第二!
給与やバイト代が振り込まれるメガバンクの普通預金口座じゃ!
金利0.001%の口座に現金をただ眠らせておくなど、資本に対する冒涜!
ネット銀行へ切り替えて系列の証券口座と連携させれば、普通預金金利は数十倍に跳ね上がり、他行宛振込手数料やATM手数料も無料枠が手に入る!」
「なるほど……メガバンクの窓口へ行く手間と手数料すら無駄だったのですね」
蘭丸は目を輝かせ、深く頷いた。
「そして第三!
実家の父上が付き合いで加入させたまんまになっている、大手生保の特約てんこ盛りパッケージ保険!
独身で社員寮暮らしのお二人に、月数万円もの高額な死亡保障や過剰な特約が本当に必要なのか、まず保障内容を精査せよ!
医療費には公的な高額療養費制度もある。
もちろん差額ベッド代など対象外の費用はあるが、まずは保障内容と保険料を照らし合わせ、重複した特約や今のお二人に不要な保障を整理すれば、月数万円の固定費を浮かせられる可能性があるのじゃッ!!」
「なるほど……!」
蘭丸は身を乗り出し、真剣な眼差しでメモを走らせた。
「契約名義と保障内容を確認し、不要な部分だけ整理すればよいのですね。
手続き後は自動的に支出が減る……これは確実性の高い改善です。
父上の契約名義も確認し、必要な手続きは家族と相談のうえ進めます。
徳川様、手順をご教示ください!」
「うむ! 実に飲み込みが早い! 素晴らしいぞ蘭丸殿!」
これまで本能寺の猛獣たちにことごとく反発され続けてきた家康は、蘭丸の素直すぎる即断即決に、かつてない快感を覚えていた。
「おい蘭丸、オッサンに言われた通り全部やっておけ。俺は火の番に戻るぞ」
長可は手をひらひらと振って厨房へ戻っていったが、家康の教育熱は、従順な弟子・蘭丸を得たことで臨界点を突破しようとしていた。
第3場:家康の暴走――「1円を追う修行僧」
「……蘭丸殿。
固定費の結界を張った貴方に、わしが日頃実践している【究極の倹約術】の極意を授けよう。
本能寺の電気代や経費も同時に削ぎ落とせば、信長社長も泣いて喜ぶはずじゃ!」
家康の眼が、怪しくギラリと光った。
元忠が小声で「社長、もうその辺にしておいた方が……」と袖を強く引くが、家康は止まらない。
「固定費を削ったら、次は【変動費の極限狩り】じゃ!
まず、買い物をする際は必ず複数のキャッシュレス決済アプリのポイント還元キャンペーンを毎朝精査!
0.5%でも還元率の高い決済ルートを組み替えて支払うのじゃ!」
「はい! 毎朝の還元率ルートの策定ですね!」
蘭丸が真剣な顔でメモを取る。
「さらに、店舗や自室のコンセント!
待機電力を防ぐため、使用していない家電の主電源プラグは秒単位で抜く!
給湯器の操作パネルは都度電源を落とし、夏場は水のみで手洗い!
冷蔵庫の開閉時間は2秒以内とし、中身の位置を頭に叩き込んでから扉に手をかけるのじゃ!」
「二秒以内の開閉……! 待機電力の完全遮断……!」
「然り! さらに夜間、自室や店舗で作業する際も、天井の蛍光灯を無駄に全灯にする必要はない!
手元のデスクライトのLEDを最弱照度にし、瞳孔を開いて光を余すところなく網膜で受け止めれば、月あたり約42円の電気代が浮くのじゃッ!!」
「社長、それ完全にタイパ無視して生活と仕事の快適性をドブに捨ててますよ!」
元忠が叫ぶが、素直すぎる秀才バイト・蘭丸は違った。
「感服いたしました……!
己の肉体と神経を極限まで研ぎ澄まし、1円の無駄すら許さぬ規律
……徳川様のご指導を、店舗全体の徹底的な経費削減方針と理解いたしました!
私は直ちに本能寺の全フロアと、信長社長の執務エリアでも使用していない機器に限って実践いたします!」
「うむ! その意気じゃ蘭丸殿!
さあ、まずはこの部屋の使っていない延長コードを引っこ抜くのじゃッ!」
二人が控え室中のコンセントを引っこ抜き始めた、その時だった。
第4場:本能寺の暗闇と「覇王の鉄拳」
数時間後の夜。
喫茶厨房本能寺のフロア。
仕込みを終えた信長が、夜食の試作を頬張りながら執務エリアへと戻ってきた。
「……おい、なんだこの暗さは」
店内が異様に薄暗い。
フロアの照明はすべて落とされ、足元灯すら引っこ抜かれている。
さらに、信長がデスクのパソコンを立ち上げようとスイッチを押すが、うんともすんとも言わない。
「ぬ? 電源が入らんぞ! なぜコンセントが抜けておるのだ!」
信長がイラつきながらタップにプラグを差し込み、給湯器でお茶を淹れようとするが、水しか出てこない。
給湯器の操作パネルの電源まで切られているのだ。
そこへ、暗闇の中から懐中電灯を持った蘭丸が、音もなく現れた。
「信長社長、おかえりなさいませ。
ただいま、待機電力ゼロによる究極の経費削減を実施中でお手洗いの温水便座も切ってございます」
「な……何だとぉッ!?」
さらに奥から、満足げな笑みを浮かべた家康が元忠を伴って現れた。
「信長殿! 蘭丸殿の素晴らしい実行力を見なさい!
待機電力の完全遮断と照度の極限抑制により、本能寺の電気代はたった今も秒単位で浮いておりますぞ!」
「貴様らぁぁぁぁぁッッ!!!!」
ドガァァァンッッ!! と信長の怒声が炸裂し、店内の空気がビリビリと震えた。
信長は家康の胸ぐらを掴まんばかりに詰め寄った。
「家康ッ! 貴様、うちの一番気利きのバイトに、何を吹き込んでおるのだッ!!」
「吹き込むとは心外な! 1円を笑う者は1円に泣く!
些細な無駄を削ぎ落とす規律こそが――」
「阿呆か貴様はッ!!」
信長の一喝が家康の言葉を叩き潰した。
「蘭丸の手を空けて、客を見させろ!
その方が店のためになる!
蘭丸がコンセントを抜くために屈んでいる数秒も、フロアの状況を見て、注文を取り、料理を運ぶために使える!
その積み重ねが店の回転率を上げるのだ!
冷蔵庫の開閉をビビって手元を狂わせるくらいなら、煌々と明かりをつけたフロアで0.1秒でも早く至高の一皿を客へ運べッ!
削るべきは【固定費】であって、【現場の集中力と生産性】ではないわッ!!」
そこへ、血相を変えた長可が厨房から飛び出してきた。
長可は厨房壁面の冷蔵庫の温度計を睨みつけ、握っていた鉄のフライパンを作業台にガァンと叩き置いて激昂した。
「おい蘭丸ッ! てめえ何やってんだ!
厨房の冷蔵庫のプラグまで抜きやがって、冷蔵庫の温度が上がってたら、仕込み肉の安全まで危うくなるだろうがコラァ!
コンセント抜いて回る暇があったら、俺の仕込みを手伝え!
火の前で集中力切らしたら、料理が台無しになるだろうがッ!!」
「あ、兄上……!」
信長は壁の照明スイッチをバチバチバチッと全点灯させた。
店内が一瞬で昼間のような光に包まれる。
「蘭丸! 携帯の乗り換えやネット銀行の開設までは見事だ!
それは一度やれば勝手に浮く手堅い防衛策だ!
だが、コンセントを抜いて回るような作業は今すぐやめろ!
貴様のその優秀な頭脳は、もっとフロアを円滑に回すために使えッ!!」
「ハ……はいッ!! 申し訳ございません信長社長ッ!!」
蘭丸は深く頭を下げた。
「徳川様のお言葉を店舗全体の経費削減として受け取り、現場の業務を最優先すべきことを見失っておりました!
直ちに電源を復旧し、明日の営業準備に入ります!」
蘭丸は脱兎の如く走り出し、瞬く間にすべてのコンセントを差し直していった。
光り輝く店内で、取り残された家康は、手元のポイント還元メモを握りしめたまま呆然と立ち尽くしていた。
「……店舗全体にまで適用させたのは、わしの言い方が悪かったか。
だが……だが、節電自体は合理的じゃ……!」
「社長、往生際が悪すぎますよ」
元忠の冷めたツッコミが横から突き刺さった。
第5場:薄暗き部屋の勝者と「真の固定費削減」
3週間後。
三河開発の社長室。
本日も蛍光灯を半分消した薄暗い部屋で、30代の青年社長・家康は60万円の人間工学チェアに深々と腰掛け、PC用ブルーライトカット眼鏡をかけて画面を見つめていた。
元忠が、温かい番茶を差し出す。
「社長、本能寺の蘭丸さんから報告書が届いてますよ」
画面には、几帳面なフォントで整理された美しい報告書が表示されていた。
『徳川様、信長社長。
お二方の助言を賜り、信長社長の許可をいただいた上で、私および兄・長可の固定費見直しを完了いたしました。
実家の父・可成とも相談の上、大手キャリアから格安プランへの移行により兄弟合わせて月約1万8,000円、過剰な特約保険の整理により月約3万円、合計【月額約4万8,000円(年間約57万6,000円)】の固定費削減に成功いたしました。
併せてネット銀行への口座切り替えも完了し、普通預金金利の向上と振込・ATM手数料の無料化も実現しております。
浮いた資金につきましては、兄弟で相談し、生活防衛資金を確保した上で、当面使う予定のない分として全額を全世界株式への自動積立に設定いたしました。
また、コンセントの抜き差し等の細かな節電は一切廃止し、創出された時間と集中力をフロア業務および厨房サポートに全振りした結果、同期間の客席回転率は前年同期比108%となり、信長社長からもフロア業務の改善が一因と評価されました』
家康はPC画面の数字を確認し、フッと満足げに口元を歪めた。
「……ふん。細かな節電を放棄したのは惜しいが、月4万8,000円もの固定費を削り落とし、全額オルカンへ回すとはな。
この兄弟、年率5%で運用できたと仮定すれば、30年後には複利で約4,000万円の資産を自動的に築くことになるぞ。
やはり、わしの教えは正しかったのじゃ」
「まあ、前半の携帯や保険の見直しは完全にぐうの音も出ないド正論でしたからね。
後半のコンセント抜き差しで信長社長と長可さんに怒鳴り散らされたことさえ除けば、シリーズで一番真っ当な成果ですよ」
元忠が苦笑いしながら、手元の集計表に目を落とす。
「で、信長社長からのコンサル料100万円はとっくにオルカンで運用中ですが、本日の社長個人の節約実績は何円です?」
家康は手元の電卓をパチパチと叩いた。
「本日の実績は、昼食の納豆巻きを30円引きで購入して30円!
事務所の加湿器を止め、濡れタオルを2枚吊るしたことによる電気代削減が1日あたり6円!
そして、昨日切ったトイレットペーパーの芯を別の書類留めにも使い回したことによるクリップ代浮きが5円!
合計【41円】じゃ!」
「トイレットペーパーの芯クリップ、紙粉が書類について取引先から『これ何ですか?』って電話かかってきましたけどね……」
家康は意に介さず、PCの家計簿アプリに数字を打ち込んだ。
「細かいことを言うな!
毎日の小さな積み重ねこそが複利の源泉!
この41円を毎日積み立てれば、月々1,230円!
これを年率5%で30年間運用できたと仮定すれば、税・手数料を除く机上計算で、将来の積立資産は約102万円に達するのじゃ!」
「はいはい、102万円、102万円」
元忠の聞き流すような相槌を背に、家康は満足げに目を細め、机の上の青汁をゴクリと飲み干した。
その時、薄暗い部屋の奥から元忠のボソリとした声が響いた。
「……社長。トイレットペーパーの芯をちまちまハサミで切り刻みながら、薄暗い部屋で41円のために一人電卓叩いてる姿、若き経営者としての時給単価はいくら減価償却されてるんですか?」
ピクリ、と家康の電卓を叩く指が止まった。
「……時間単価を無視した過度の精神集中は、脳の疲労を招き、大局的な投資判断力を鈍らせて健康寿命の損失に直結するということか」
「いや、普通に文具店でちゃんとしたクリップを買って、明かりをつけて、紙粉が舞ってるんだから換気してください」
カチカチカチカチッ――バチィィィィィンッッ!!
次の瞬間、社長室中のすべての蛍光灯が一斉に点灯し、昼間のような爆光が部屋を満たした!
「健康寿命と大局的判断力は最優先じゃああああッ!! 脳の疲労を排除し、視界をクリアにするのじゃあああッ!!」
家康はそのまま電卓を引き寄せ、凄まじい勢いでキーを叩き始めた。
「よし、これで認知機能の低下リスクは排除された!
さあ元忠、今から先ほどの全点灯によって発生する秒単位の電気代を、どこの経費から捻出するかの緊急対策会議を始めるぞッ!!」
「電気代を惜しむ基準、どう考えてもおかしいですし、その無駄な会議でまた時給単価がドブに消えてますよォォォッ!!」
元忠の絶叫が木霊する中、若き実業家・家康は特注チェアの上で背筋をピシッと伸ばし、輝く光の下で誇らしげに電卓を叩き続けるのであった。




