歴史をちゃんと勉強しとくべきだった
源次郎(幸村)との脳内会話から現実に戻ってきました。主人公は現状の把握を目標に父との会話を行います。
さて、現実?に戻ってきたのはいいものの、どうしたものか。
誰が誰なのかも分からない。目を覚ましたことに驚かれていたということは、ずっと寝込んでいたのだろうか。それなら、記憶喪失ということにすれば何とかなるかもしれない。
そんなことを考えていると、奥から足音が聞こえてきた。
「源次郎! 無事か!?」
現れたのは、三十代に見える男だった。この人が先ほど「殿」と呼ばれていた人物か。そして、おそらく父親でもあるのだろう。
「はい。なんとか。ただ、記憶が少し曖昧になっており、身近なことも思い出せません」
正直に現状を語った。いや、正確には、分からないことを分からないと伝えただけだ。それしかできることはない。
「なんと、それは口惜しいことだ。儂の次男として、これからというところであったのに」
男は残念そうに眉をひそめた。だが、すぐに表情を和らげる。
「じゃが、気にすることはない。父である儂が、また鍛え直してやる」
次男坊なのか。家を継ぐ立場ではなさそうだ。……いや、まだ詳しいことは分からない。まずは現状把握が先だ。
「父上、今は何年でしょうか?」
「ん? そんなことまで忘れたのか。今は天正十年じゃ。お主は今年で十六。名は真田源次郎ぞ」
真田?
聞いたことがある。確か、徳川キラーとか呼ばれていた家だったはずだ。
……いや、ちょっと待て。天正十年って西暦何年だ?
正確には分からない。だが、少なくとも俺が生きていた時代より、ずっと昔なのは間違いない。
「我ら真田家は、主家であった武田家が滅亡し、その武田家を滅ぼした織田家に臣従しておる」
武田? 織田?
ってことは、戦国時代じゃん。
えーっと、確か教科書で習ったはずだ。武田家が滅んだ後、織田信長は本能寺で死んだ……はず。
ということは、信長がまだ生きている今は、あの事件より前なのか?
そうだ。確か、1582年。《いちごぱんつ》の本能寺。そんな覚え方をした気がする。
……いや、待てよ。そもそも、今が何月なのかも分からない。信長がいつ死ぬのかは覚えていても、俺が何をすればいいのかなんて、さっぱり分からないぞ。
「まぁ、意識が戻って一安心じゃ。今はゆっくり休め。お前にも働いてもらわねばならんからな」
戦場なんか出たくない。もう死ぬのはまっぴらごめんだ。
……文官でも目指すかなぁ。
「はい。この源次郎、父上のお役に立てるよう、粉骨砕身励みます」
会社で上司に言っていた言葉をそのまま使ってみた。……まあ、間違いではないだろう。
「うむ。励むがよい。期待しておるぞ。では、儂は政務に戻る」
男は満足そうに笑うと、部屋を後にした。
……よし。どうやら正解を選んだらしい。
それにしても、分からないことだらけだ。
戦国時代に転生する主人公って、日本史や戦国時代に詳しすぎるだろ。
俺なんて、知っていることといえば、教科書で習ったことと、昔見た歴史ドラマの内容くらいだ。
こんな知識で、いったいどうやって生き残ればいいんだ?
拙い文章かも知れませんが読んでいただきありがとうございます。何かありましたら感想などお待ちしています




