交渉と力
木曽義昌との交渉が始まります。さてさて、どうなることでしょうか。
試験的に16時半投稿にしてみました。
急な変更で申し訳ないです。
ー 木曽福島城城門 真田源次郎 源三郎
「滝川殿の使者として参った。真田源三郎、真田源次郎でござる。木曽殿にお目通り願いたい。」
兄が城門の兵士に伝え半刻。全く話が来ずに待ちぼうけをしていた。
「父上は何故我ら二人を使者にしたのだろうか。木曽殿とは何回か会ったが苦手だ...」
「今回は兄上に決定権があるのですぞ。そう思わず頼みますぞ。」
「源次郎、別にお前でも...」
なんでこんな弱気なんだ。以前の父に対する態度は何処に行ったのか。
『兄上は人質として武田の躑躅ヶ崎館に行っていた際に木曽殿から長い話を聞かされていたそうだ。』
(なんで?)
『木曽は昔から地に根ざした領主だったからな。武田家内でも相応の立場を得ていた。その立場を活かして真田の嫡男の兄上に嫌がらせをしていたのよ。』
(なるほどな。真田は新参だったって父も言っていたか。)
『そういうことだな。此度もこの面談受けるかわからぬぞ。』
(まぁ何とかしてみせるさ。見とけ。)
「兄上、そう弱気にならずに...」
そう励ましていると後ろから佐助がやってきた。
「申し上げます。先程城に潜り込んできましたが木曾殿は相当森殿に怒り心頭のようで。」
「そういえば右衛門殿、森殿の所業とはどれほどのものだったのですか?」
まず前提条件を揃えておかないと話にならないからね。
「聞き及んだ話なのですが...」(ここは前の話で触れているので割愛させていただきます。)
そうして話を聞かされ兄も自分も、なんなら源次郎もドン引きだった。
「そこまでだったとは...これは恨まれても仕方ないじゃないか。難儀な交渉になるぞ。」
更に兄の心持ちが下がっているようだった。そんなとき
「真田殿両名そして右衛門殿、謁見を許すとのこと。武器を手放し、城に入られよ。」
佐助は飛び出し
「私は潜んでお守りしますので安心してくだされ。」
こう伝え消えていった。
兄、右衛門とともに城内に入る。やっぱり長いことある城のようで住んでいる厩橋とは違うなぁ
なんて観察していると木曽の家の者たちからの視線が痛い。何もしないよ。話し合いに来ただけですよーっと。
結局襲われることは無く木曽義昌の待つ部屋まで通された。
「申し上げます、真田源三郎殿、源次郎殿が参られました。」
「通せ。」
部屋の奥から低く重い声が聞こえた。
そして部屋に入ると中肉中背の男が一人居た。
「あぁ、話さなくて良い。結果だけ先に申すぞ。滝川を通すつもりはさらさらない。」
....最初から交渉の余地無し宣言ですか。
「そう申されても困り申す。一度だけでもお話をお聞きくだされ。」
兄が声を上げる。
「源三郎か。そなた信濃の面々が儂にどれだけ頼っていたのかをこれまで話していたというのに今になって滝川、織田に付くのか!」
激おこやん。それに兄に一方的に話しといてここであたるのはヤバいでしょう。
「そのことについては申し訳ございませぬ。何卒一度。」
兄も折れない。なんだかんだ言って頼りになるなぁ。
「ならば滝川からこちらに人質を出せ。何もせずに素通りさせては森の焼き直しになる。」
話を聞くつもりは無いってことか。いたいた。こういう社長。言い分は現代よりマシやけど
「それは...今滝川に人質として出せるようなお方がいらっしゃらないゆえ...」
「ならば通す気は無い。一戦交えるのみじゃ。真田もろともかかってくるが良い。」
...一度こちらからも条件を出すか。一方的に受け入れようとしたら話が進まない。
「一つよろしいでしょうか。」
「何だ。お主は。」
「真田安房守次男真田源次郎でございます。」
「木曽様が最もご懸念されているのは先の森殿のようなことが起こることですか?」
「左様。あれで領内の人間は不安でいっぱいじゃ。君主としてそのようなことは捨て置けぬ。」
「それは通さずに戦が起きてしまっても同じなのではないでしょうか。国が荒れます。」
「...黙れ。国を治めたこともない若造に何が分かる。」
....どういうことやねん。条件出したら更にキレたんだけど。隣の兄も顔面蒼白だし。
『面子だな。』
(は?)
『先ほども言っただろう。木曽は長くこの土地を治めている。そうすると力と面子が定まる。戦をするのは面子を保つためだ。』
(それじゃあ民のことは...)
『君主として人を集めるには何より面子が必要だからな。そうでなくては民も導けない。』
そういうことなら...
「先ほど人質は出せぬとは申しました。ですがそれは少し間違いでございます。」
「げ、源次郎何を言っている。」
兄の困惑したような声。
「滝川殿が連れている旧武田家臣団の人質を木曽殿にすべてお返しいたします。」
右衛門が驚き、そして非難めいた顔で此方を見る。
これなら人質の解放者として面子は保たれるだろう。それに先のようなことは起きないと信じさせることができる。
「人質を?...それだけでは足りぬ。領内の立て直しにも金が要るのだ。」
「3千両だ。それも合わせて納めるなら通行を許可する。」
金も要求か。なかなか譲らないな。てか3千両ってどれくらいなんだ?横を見ると右衛門は抗議するように
「それはあまりにも...2千両にならないでしょうか。」
「くどい。木曽はそのような軽い家では無いわ。これ以上はない。飲めぬなら交渉は無しじゃ。」
しばしの沈黙の後
「木曽殿のお考えよくわかりました。我が主滝川一益に確認してまいりますゆえ後ほど書状を送らせていただいてもよろしいでしょうか?」
右衛門の言葉を最後に会談が終わった。そして城から出る際に兄から声をかけられた。
「源次郎、お前...」
拙い文章かも知れませんが読んでいただきありがとうございます。何かありましたら感想などお待ちしています。ブックマーク、評価も作品制作の励みになりますのでよろしくお願いします。m(_ _)m




