真田家の行く末
木曽義昌との面談が終わり一益との報告です。さて、真田家の動きはどうなっていくのでしょうか。
投稿が17時過ぎになり、申し訳ないです。
「源次郎、お前...」
兄からの問いだった。
「そんなに交渉ができるなら最初に言ってくれよぉ。」
「今回の全権は兄上でしたので。」
「まぁ、最後は滝川殿がお決めになるから全権があったか怪しいが無茶な条件を出したな。右衛門殿の顔を見たか?」
「申し開きもございませぬ。」
木曽さんはそうでもしなきゃ首を振らないよ!?多分...
「それでも話をする機会が設けられただけありがたいことです。お二人には感謝申し上げる。」
げ、右衛門に聞こえてたのかよ。
「弟が無茶な条件を出してしまい申し訳ない。」
「いや、良いのです。滝川のみでは門前払いでしたから...」
滝川の陣所に着き、右衛門の一益への報告が始まった。
「そうか。旧武田家臣の人質と3千両の引き渡しが条件になったのだな。」
「殿、いかがでしょう。」
「人質については問題ない。しかし3千両は厳しいな。」
一益の言葉を受け
「舐めおって。」
「木曽など踏み潰してくれる。」
などなど、家臣団が血気盛んなことで 何のために交渉したんだか...
「お一つよろしいか。」
兄が声をあげ一斉に視線が集中する。
「滝川殿たちが急ぎ伊勢に戻ろうとされてるのは敵討ちのためでござろう。されば3千両を飲んででも行くべきではなかろうか。」
「うるさい、真田の小倅が。」
家臣から非難めいた声。しかし
「やめろ。真田はこちらに最大限協力してくれている。その恩を忘れるな。」
一益の一言。
「源三郎殿、そのとおりじゃ。私は大義のため伊勢に戻る。故にこれらの条件を飲む。」
「交渉の場を作ってくれたことありがたく思うぞ。」
そうして木曽方への人質と3千両に相当する金品と兵糧の引き渡しが行われ、滝川方は滞りなく伊勢への帰路に着いた。
ー 名胡桃城
「殿、ご子息たちの交渉、上手くいったようです。源次郎殿が木曽殿と、源三郎殿が滝川殿を説得なされていました。」
佐助からの報告を受けた昌幸は微笑みながら
「よし、上手くいったわい。二人には儂と信尹のような関係になってもらわなくてはな。」
そして余韻に浸る間もなく、信尹からの書簡を携えた忍びが現れた。
「申し上げます。北条方との交渉つつがなく進みましてございます。当主氏直殿は難色を示されましたが、ご隠居氏政殿の一声があったとのことで。」
「そうかそうか。信尹もやってくれたか。これで北条を気にせず甲斐に目を向けられるわ。」
昌幸の生存に向けた大戦略が火を噴こうとしていた。
ー 信濃 山中 滝川一行
息を切らした忍びが告げる
「申し上げます。謀反人明智光秀。羽柴筑前守様に討たれましてございます。」
「何、まさか筑前が?毛利と戦っていたのでは無いのか?」
「毛利とは講和を結んだようで。」
「動きが早いな。流石と言うべきか。」
「そしてもう一つご報告が。」
「清須にてこれからの織田家についての会議が開かれるとのことです。」
「なんだと。まぁ。伊勢に戻る前に清須に寄って参加するとするか。これでも方面軍を任されていたし織田家のこれからを決めなくては...」
ー 帰路 真田源三郎、真田源次郎
「源次郎、これからどうなると思う?」
「兄上、それはどういうことですか?」
「今は北条に従うことを父上が決めたが徳川も上杉も居る。それにいつ北条から梯子を外されるか分からないではないか。そもそも臣従を受け入れられるのかもわからぬ。」
「兄上...我らのできることをするのみです。あれやこれやと考えても取らぬ狸の皮算用ですぞ。」
「取らぬ狸の何だって?」
おっとこのことわざは通じないのね
「まぁ起きるか分からないことを考えていても意味は無いということです。」
「そうか...俺は考えすぎるところがある。真田を継ぐものとして悪癖だと思うのだが...」
「そのようなことはありませぬ。慎重に物事を考える力は誰にでもあるものではないです。」
「源次郎、お主は思わぬのか?家を継ごうとは...」
なんでそうなるねん。そんな気持ちはさらさらないけど。
『お前、分かっているな。』
「私は兄上をお支えしていきます。それ以外ありませぬ。」
「源次郎... これからも頼むぞ!」
この兄とは上手くやっていける気がする。気苦労で早死しないといいけど...
「源三郎様、源次郎様〜。」
頼康が馬でこちらに向かってくる。兄が問う。
「頼康、どうした?」
「お二人とも名胡桃ではなく岩櫃にお帰りください。殿もお待ちです。」
「そうか。よく伝えてくれたな。」
「そうだ、源次郎様一度止まっていた鍛錬は明日からまた行いますからな。」
こっちに飛び火すんな!
「分かったよ。ちゃんとやるさ。」
「源次郎、頼康から逃げるでないぞ?」
「兄上も何をおっしゃられますか。」
「はっはっはっ。すまぬな。では帰ろう岩櫃へ。」
岩櫃に着くとすぐに兄と共に父の待つ部屋に通された。
「二人とも、大義であった。気難しい木曽殿との交渉よくやり遂げたな。」
「「ありがとうございます。」」
「まぁ詳しい話は佐助から聞いておるでな。この先の話じゃ。」
兄弟二人でゴクリと息を呑んだ。
「信尹が北条への臣従をうまくまとめてくれた。故に我らはこの先甲斐に向かうぞ。」
「甲斐ですか。」
「そうだ。源三郎。亡き御館様の領地を取り戻すのだ。もちろん北信濃も確保したいが...混乱が起きてる甲斐からじゃ。」
「北信濃も森殿が居なくなり混乱してるのでは?」
「まぁ儂もそう思っておったのだがな。上杉の動きが予想より早かった。恐らく織田方の北陸軍が撤退したのだろう。本能寺の混乱もあったであろうしな。」
「そういえば父上、謀反を起こした明智がどうなったのか報告は上がって来ましたか?」
「ん?源次郎。それが気になるのか?まだ報告はない。いくら謀反人でも畿内の大半を制圧してれば戦は長引くのでは無いか?」
「申し上げます。謀反人明智光秀、6月13日に羽柴筑前守殿に討たれたようでございます。」
お、佐助ナイスタイミング。これ、真田の忍び統轄者が佐助なのかな?自分が見る忍びが佐助しか居ない
「そんなに早く終わっていたのか。もう一週間も経っておる。畿内の動きも鑑みなくてはな。」
「良いか。源三郎、源次郎。我らは甲斐信濃を中心とした御館様の旧領を治め、天下に従い家を残すのだ。そのためには二人にこれまで以上に働いてもらう。頼んだぞ。」
「「はっ。」」
生き残って見せる。真田家の一員として
〜第一章真田家の一員として 完〜
拙い文章かも知れませんが読んでいただきありがとうございます。何かありましたら感想などお待ちしています。ブックマークや評価も作品制作の励みになります!是非よろしくお願いします。m( _ _ )m




