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それぞれの思惑(4)

滝川からの要請と北条との交渉。真田家は右往左往していくことになります。

ー名胡桃城 真田昌幸、源三郎、源次郎


滝川からの使者が来たということは何か問題でもあったのだろうか。親子三人早足で向かう


「お待たせいたした。真田昌幸でござる。」


「滝川家臣、右衛門と申すものでござる。一昨日に続きお忙しい中失礼いたします。」


そうして右衛門からの話が始まった。


「まず問題について単刀直入にお話いたします。」


「伊勢へ向かう道中に所領をお持ちの木曽殿が我らに協力しないと申されました。」


木曽って誰だ? 父が少し信じられないといった形で口を開く。


「そんな馬鹿な。木曾殿はいち早く武田家を見限り織田に付いたお方。滝川殿を冷遇する言われは無いと思うが。」


「えぇ。我が主もそう思い早馬を送り了承を得ようとしましたがまさかの門前払いとのことで...」


「門前払い?それは何かないと説明がつきませんな。」


確かに早くに織田に従った人間が織田方の人間を拒絶する理由はそう無いはずだが。


「それが...」


言い出しづらそうに右衛門が言う。


「なにか思い当たることがございますか?」


兄がすぐさま問う。


「織田家中で信濃北部に所領を得ていた森長可殿が乱暴狼藉をしたのでは無いかと...」


「それで織田家に信頼を置けなくなったということですか?」


「少なくとも我らはそう睨んでおるのです。」


「して、我ら真田に何をお求めかな?」


「仲立ちでござる。我らは戦を求めてはおりませぬが、通れぬと言うなら3千の軍で強行突破も考えております。しかし無駄な犠牲を避けたいのも本音。そこで長い付き合いがある真田殿にと...」


少し考えている時間が流れ...


「儂本人は向かえませぬ。北条徳川上杉に睨まれておるゆえ。ここに居る二人の息子を遣わせましょう。」


...は?なんでそうなるんだよぉ。真田家の役に立つように励むとは言ったけどさぁ


「ご子息をお二人ともというわけにはいきませぬ。何かあったときに...」


右衛門からの遠慮。いいぞ。もっと言え。


「心配ご無用。もう一人目付け兼護衛として忍びをつけますゆえ。」


忍び?そんなの創作じゃなかったのか?


すると後ろから声が聞こえた。


「この佐助にお任せください。」


...わぁ!ビックリしたぁ。いつから居たんだ。音なんて聞こえなかったけど。


「さ、真田殿がよろしいというならばありがたく。では、急ぎ私と共に向かっていただいてよろしいですか?」


「源三郎、源次郎。行ってこい。」


「「ははっ。」」


ー箕輪城 真田信尹 北条氏政、氏直


氏直に詰められていた信尹が口を開く


「ご当主様、確かに北条の力があれば我ら真田を蹴散らすことは容易やも知れませぬ。」


「しかし、それが北条にとって良い選択なのでしょうか?」


「貴様、何が言いたい。」


「国衆たちは武田、織田、そして今は北条と従う相手が変わり、安定しておりませぬ。そこに上杉などが加わるとさらに上野は荒れるでしょう。」


「沼田、名胡桃をお認めいただければ真田も北条の上野支配にお力添えできるかと。」


激昂した氏直が言う。


「北条は真田の力など必要としてないわ!」


「黙れ、氏直!」


氏政の一喝。


「真田殿、家督を譲り間もない愚息が失礼いたした。儂は真田の力を高く評価している。ぜひお力添えをいいただきたい。その条件を呑もう。しかし、裏切ったときには...」


信尹に対しては丁寧な形を崩さない。


「心得ております。そのようなことにならないよう。この信尹、兄に伝えまする。」


「頼みましたぞ。」


そうして交渉は終わり信尹は帰路に着いた。


「父上、斯様なことよろしかったのですか?」


氏直が当主としてではなく子として問う。


「構わぬ。それに真田の力が必要になるのは間違いない。使えるだけ使ってから言いがかりでもつけて奪えばよい。」


「氏直、お主は短絡的すぎる。北条の当主としてもう少し大局を見るのだ。」


「かしこまりました。」


氏政 (上野以外にも甲斐に手を出さねばならん。真田ごときに時を使ってられぬ。)


氏直 (真田、本当に信じられるのか?手遅れにならぬうちに潰しておいたほうが...)



ー木曽福島城 木曽義昌


「織田の息のかかったものはもう我が領内を通らせぬぞ。あの鬼武蔵には懲り懲りじゃ。」


木曽義昌は一人でこう呟いていた。


本能寺の知らせを受け元の領地、並びに領土拡大を狙った義昌は軍を動かそうとしたが、信濃から撤退する鬼武蔵こと森長可が木曽の所領を通った。


このとき抵抗できなかったのは長可が旧武田の人質を多く抱えており手を出せば殺すと言われたからであった。


しかし、撤退中の森軍は木曽領で食料の強奪や人さらいなどの狼藉。


そして極めつけに信濃と長可の本来の所領美濃の国境線で人質を皆殺しというメンツを全て潰される事態が起きていたのだった。


「絶対に許さぬ。力を持っていた織田に早く従ったというのに今や国衆や甲斐の面々からも見放されるところだ。全て織田が悪い!」


そう叫んだ後家臣が部屋に入る。


「申し上げます。滝川方から使者がまた参りました。」


「通すな。なんなら首をはね送り返せ。」


「そ、それが...」


「なんだ。」


「使者として真田のご子息が二人参られました。」


「な、何だとぉ。」


ー木曽福島城城門前 真田源次郎


さぁ、交渉だ。なんとか話をまとめて生きて帰るぞ...





拙い文章かも知れませんが読んでいただきありがとうございます。何かありましたら感想などお待ちしています。作品制作の励みになります!

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