真田家を強くしなくては(3)
農業改革について父昌幸に相談する主人公。新たな課題も見つけ商人町に向かいますがそこである報せを手に入れます。
屋敷に戻り、改めて父に農村の肥料問題についての提案をした。
「何かをするにはいくつかの問題があるというのは分かっているだろう。」
父からの問いは俺も分かっている。課題は山積みだ。
「まず管理する者を決めます。最初の取り組みは私がやります。その後引き継ぎの資料を作り農村の中から人を見出しその者にやってもらおうかと。」
「なるほど。我らが人数不足ゆえに農村から取り立てるのか。まぁ報酬は弾まなくてはいけなくなるがな」
まぁ農作業以外にやることを増やすんだから当然だよな。報酬を出せるように経済を動かさないと...
「場所はなんとか工面しよう。近頃家臣たちを全員城下に置こうと思っておったからな。元々家臣たちが住んでいた場所の一部を使わせてやろう。」
「ありがとうございます。場所と建物があればあとは個々人の協力に委ねるほか無いでしょう。」
糞尿持ってくるのなんてかなりの苦痛だがそこは頼むしか無いな。
「そうじゃな。源次郎。やはりお主は変わったのぉ。これまでは戦のことばかり考えていると思ったが、あの熱を生き延びたことで新たに知見でも得たか?前なら力ずくでとか言いそうだったぞ。」
ぐ、痛いところを突いてくる。というか源次郎本人は荒くれ者すぎるな。実の父にこれだけ言われるのなんてよっぽどだぞ。
「ま、まぁ少しは丸くなったかも知れませんね。」
なんて話を合わせると頭の中では源次郎が騒ぐ
『何を言う!私は道理に沿って力を使っていただけだぞ。』
(それは力を振るう側の理論なんだよなぁ。)
なんて言っていると
「源次郎、初期費用はどれほどじゃ?どこまで用意できるかわからぬぞ。」
....初期費用か。実際に作ってもらう見積もりをたてないとわからないな。
「私にもそこまではわかりませぬ。場所を決め、実際の形の図面を作り、建物作りの者たちに聞かない限りは...」
父は頷き、
「そういえば糞尿の運搬を個々人に任せると申していたがお主は運べるのか?」
「自分のできぬことを他人にやらせるような人間ではあるまい?」
そう言われ仮の建物を用意され俺は自分の糞尿を運ぶ日々が始まるのはまた別のお話。地獄だった...
「そ、それはもちろんです。費用も父上の手は煩わせぬよう、次は領内の経済を見てきます。」
「源次郎、あまり急ぐな。少し前まで戦をしていたので領内を鎮め、安定させることが先じゃ。」
「それに織田の権勢はそう崩れぬじゃろう。じっくり長い期間をかけて発展させれば良い。」
そこだ。俺とこの時代の生きている人間の違い。本能寺による混乱を知っているかいないか。
俺は真田のその後の動きを詳しく知っているわけではないが、強くなって損は無いはず。それに時間もない。少なくともあと半年ほど、明日にも信長が死んでもおかしくはない。
「父上は織田の権勢が続くとお考えなのですか?」
すると驚いた顔をこちらに向け近くに寄り、小声で言った。
「めったなことを申すな。どこで誰が聞いているかわからぬのだぞ。」
そう釘を刺された。その後場所を戻しさも当然のように言った。
「当たり前じゃ。武田も滅び上杉も粘っているが時間の問題。徳川北条は恭順の構えじゃ。西は詳しくないがあと数年だろう。」
確かにそう見れば織田は圧倒的だな。教科書では一行だったけど明智ってめっちゃ大きなことしたんだな。
「なるほど。父上のお考えはわかりました。ですが私は止まりませぬ。」
「そうか。だがやりすぎであったら無理やりにでも止めるぞ。」
忠告だった。しかし「やりすぎるな」これは許可でもあると俺は受け取った。
翌朝、内記を連れて城下の商人町に向かった。
「源次郎様、今日は商人ですか?」
「あぁ、領内の経済を知るにはまず膝下にいる商人が儲かっているか?からだからな。」
そう言うと内記は少し考え
「確かに先の御館様(ここでは信玄のこと)が力を最も誇っていた際の躑躅ヶ崎館周りの商人は潤っているようでした。」
「であろう?さて、我らの領内の商人たちはどうかな?」
商人町について俺と内記は絶句した。
人が居ない。少し店は並んでいるものの客となるものがほとんど居ない。
「源次郎様、これは...」
「あぁ、ひどいな。ここまで人が来なくては稼ぎも無いだろう。」
しかし話は聞きやすいな。
「おーい、誰かおるか?」
内記の一言で数人の商人が出てくる。我らに何かを買わせようとしているのか目が少し血走っている。
「へぇへぇ。お侍様方、何かご入用ですかい?」
「ぜひ、我らの店でお買い上げください。」
必死だ。
「すまないな。何かを買うつもりは無かったのだ。私はこの地を収める真田安房守の息子なのだが、そなたたちに話を聞きたくてな。」
明らかに意気消沈してるな。このままじゃ話も聞けなさそうだ。店に逃げ帰る者も居る。
「あー。分かった分かった。それぞれの店で少し物を買わせてもらう。だから話を聞かせてくれ。」
そうしてそれぞれの店の者に話を聞いた。
「織田の商人が入ってきてから皆そっちに行ってしまう。」
「どうしてもここは道が狭く人が入ってこない。」
「他国からの商人が買っていくものが無く、財貨が集まらない。」
など問題が集まった。
織田は楽市楽座だから物を安く売っている。故に皆安い方に行く。
道が狭いのは山合いのこの小県ではしょうがない。逆に戦だと守りやすい。
特産品を用意できていない。それは確かに厳しいか。
これもすぐにどうにかすることはできなさそうだ。とりあえずまとめて父上に報告するか。
そう考えを巡らせていると、旅の商人が来たといい、番頭(店の人)が出ていこうとした。
「おい、その商人にも話を聞きたい。ぜひ連れてきてくれ。」
他国の商人からの評価も聞いてみればまた改善案が出るかも知れない。
少しして番頭は商人を連れてきた。
「真田殿のご子息様が何かご用ですかい?」
「そなたから見てこの町はどう映る?」
「なるべくして廃れています。人が入ってこないですな。京とはえらい違いですわ。」
京か。日本の首都だった場所であり、本能寺が起きる場所。
「京か。最近はどうなのだ?」
「そりゃ儲からせてもらってます。信長公のおかげですわぁ。今回も信長公が京で何泊かするとの情報を得てこちらがわまで脚を運んだんですわ。」
何?信長が京都に?
「その話詳しく聞かせよ。」
少し剣幕激しかったか?少し怯みながら商人は答える。
「徳川様と共に富士を見た後、安土へ向かわれその後京で次の戦に備えられるとの噂ですぞ。」
これ、もう本能寺まで秒読みなのでは...
投稿遅れました。すいません。拙い文章かも知れませんが読んでいただきありがとうございます。何かありましたら感想などお待ちしています。作品制作の励みになります!




