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冬の国の物語  作者: 茅ノ森ちまき
第一部第三章 笑顔の紡ぎ方
17/22

気になることだらけ

 リンデンに来てから、本当に楽しい。

 モルトと同じところ、違っているところ。

 モルトは森の中にあるし、半分以上が雪原と接してるリンデンとは当然違うんだけど、モルトでは上手くできていることをリンデンでやろうとすると、上手くいかないんだなってのがよくわかる。

 そして、リンデンではその部分をリンデンなりに上手くやっているってのがすごくよくわかる。

 モルトにはない便利なものもたくさんある。

 お洗濯をする共同の場所があるっていうのはびっくりだった!

 でもお湯をたくさん使うなら確かに共同の方が沸かしやすいし、何より乾かす場所が広く取れるのは便利!

 これモルトにも作れないかなあ。

 一つ作ったら何人くらい利用するんだろう。

 誰の洗濯物かわからなくなったらどうしよう。

 管理者も一人は必要よね?

 立地も大事かなあ。

 立地と言えばリンデンは領地成立直前に大火事があったって聞いた。

 その後、火事があった時にも消しやすいように、建物の配置を直したって。

 これはあとでちゃんと聞いてメモ取っておかないと。

 モルトはそういう対策してるのかな?

 モルトに帰ったらキールに聞いてみようかな。

 あとは……

「……さん、アマレットさん?」

「あっ、はい、ごめんなさい! えっと、サラさん、でしたっけ」

「はい。アマレットさんは何をされているところですか?」

「気になることが多くて、メモ取ってます! リンデンに来てからもうこんなに!」

 そう言って分厚い紙の束をサラに見せた。

「頑張ってらっしゃるんですね。楽しいですか?」

「はい、すごく楽しいです!」

「それは良かったです。でも、ご無理はなさらないようにしてくださいね」

「ありがとうございます!」

 サラねーさまも気を遣ってくれるし、レミーにーさまもいろいろ教えてくれて、とても素敵な人がたくさん。

 毎日気になることもいっぱい。

 モルトと比べてみたいこと、モルトに持って帰りたいこと、わからないから調べたいこと。

 そんなことを整理してたある夜、扉が静かに叩かれた。

「アマレット、まだ起きてるの?」

 ミズナラにーさまの声だ。

 何のご用事だろう?

 扉を開けた。

「ミズナラにーさま。こんな遅くにどうしたの?」

「それはこっちの言うことだよ。まだ寝ないの?」

「今日教わったこととか、あったことを書き残してました。あと、明日聞きたいことも」

「アマレット、頑張っているのはよくわかっている。でも夜はちゃんと寝なさい。身体を壊してしまうよ。キールも言っていただろう」

「ミズナラにーさま、心配してくれて、ありがとう」

 ミズナラにーさまがいつも心配してくれているのは知っている。

 でも私は領主になるんだから、もっと頑張らないと。

「わたし、頑張って勉強したいの。教えてくださるゼロにーさまにも応えたいし、早くモルトのみんなの役に立ちたいの」

 そう答えるとミズナラにーさまが複雑な表情で眉根を寄せた。

 明日は朝から焼き物を作っている工房を見せてくれるそうだ。

 それもすごく楽しみ。

 たくさん、いろんなもの見られるといいな。



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