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冬の国の物語  作者: 茅ノ森ちまき
第一部第二章 道の向こうの思惑
13/22

報告

「……なので、幹部の名前は残念ながら確認できなかった。ただ、そのポマースって隊長が襲撃に関わっていた可能性は高い」

「その幹部がどこまで噛んでるかはわからない感じか」

「そうだね。会話からもはっきりとは読み取れなかった」

 アイラから戻った後、さすがに疲労が出てしばらく泥のように眠った。

 その後身支度を整え直し、夕方近くになって領主執務室で一通りの報告をしているところだ。

「まあでも、結局アイラの内部からそういう反発が出てるってことは」

「今は諦めた方が無難そうだね。ほとんどのものはプルトニーかネクタル経由でいけそうな気がするけど」

「割高にはなるけどな。仕方ないな」

 僕がまとめたアイラ経由の荷の一覧に目を落とし、ゼロは小さくため息をついた。

「それで明日代官たちにも確認しておくよ。どうにもならなそうなものはヴァルカさんに相談でいいかい?」

「それでいい。天衡関係はどのみちヴァルカが慣れてるはずだ」

 ゼロがサラサラとその場で品目と量をメモして渡してきた。

 明日、代官たちへの連絡とまとめて処理すればいいだろう。

「ところで、そのサゼラックってのはそんなに強かったのか。モルトで育ってるミズナラが歯が立たないくらいに」

「もう一度対策して戦ったとしても勝てる気がしない。あれでも制圧目的で手加減されていたんだと思う」

「ミズナラでも、か」

 ゼロは腕組みをして考えていたが、ふと首を傾げた。

 渋い表情で目を閉じて続ける。

「……そもそもだな。ミズナラもマリーも無茶しすぎだと思うんだが。俺はそこまでやれと言った覚えは」

「反省は、一応してる」

 少しマリーにも説教した手前、食い気味に答えておく。

 ゼロは微妙に納得がいかない顔をしていたが、諦めたように言葉を継ぐ。

「ま、ともあれご苦労」

 それで終わりかと思ったが、後が続いた。

「それで、手籠めにはされなかった?」

 聞き覚えのある、不穏な言葉。

「……もしかしてお前が発端か」

 ゼロが人の悪い笑顔でくつくつと笑っていた。


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