報告
「……なので、幹部の名前は残念ながら確認できなかった。ただ、そのポマースって隊長が襲撃に関わっていた可能性は高い」
「その幹部がどこまで噛んでるかはわからない感じか」
「そうだね。会話からもはっきりとは読み取れなかった」
アイラから戻った後、さすがに疲労が出てしばらく泥のように眠った。
その後身支度を整え直し、夕方近くになって領主執務室で一通りの報告をしているところだ。
「まあでも、結局アイラの内部からそういう反発が出てるってことは」
「今は諦めた方が無難そうだね。ほとんどのものはプルトニーかネクタル経由でいけそうな気がするけど」
「割高にはなるけどな。仕方ないな」
僕がまとめたアイラ経由の荷の一覧に目を落とし、ゼロは小さくため息をついた。
「それで明日代官たちにも確認しておくよ。どうにもならなそうなものはヴァルカさんに相談でいいかい?」
「それでいい。天衡関係はどのみちヴァルカが慣れてるはずだ」
ゼロがサラサラとその場で品目と量をメモして渡してきた。
明日、代官たちへの連絡とまとめて処理すればいいだろう。
「ところで、そのサゼラックってのはそんなに強かったのか。モルトで育ってるミズナラが歯が立たないくらいに」
「もう一度対策して戦ったとしても勝てる気がしない。あれでも制圧目的で手加減されていたんだと思う」
「ミズナラでも、か」
ゼロは腕組みをして考えていたが、ふと首を傾げた。
渋い表情で目を閉じて続ける。
「……そもそもだな。ミズナラもマリーも無茶しすぎだと思うんだが。俺はそこまでやれと言った覚えは」
「反省は、一応してる」
少しマリーにも説教した手前、食い気味に答えておく。
ゼロは微妙に納得がいかない顔をしていたが、諦めたように言葉を継ぐ。
「ま、ともあれご苦労」
それで終わりかと思ったが、後が続いた。
「それで、手籠めにはされなかった?」
聞き覚えのある、不穏な言葉。
「……もしかしてお前が発端か」
ゼロが人の悪い笑顔でくつくつと笑っていた。




