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終末後遺症  作者: Anzsake
あの日の約束が、終わらない物だと知らなかったから
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ホルン:他所

虫の死骸を持ち上げる。ミズキの持ってきた台車に載せる。

虫の死骸を持ち上げる。ハチの持ってきた台車に載せる。

虫の死骸を持ち上げる。フェタの持ってきた台車に載せる。

虫の死骸を持ち上げる。ミズキの持ってきた台車に載せる。


絶妙に分からない。もっと効率よく行けそうな気がするし、でもなんか上手く回ってる。辺りを見渡す。コミュニティの人が、コミュニティの人がバラバラに動いているように見えるけど、後片付けはそれなりに早く進んでいる。


「フェタ、脚は?」


「大丈夫。なんか重いかなーってくらい」


「ミズキ、疲れてない?」


「大丈夫、多分」


自分の事だろうに。


「ハチ」


「……おう」


「カリンはあー言う奴だから、あんま気にしすぎないで」


「……ホルンと二人の時も、どっか消えるのか?」


「昔は偶にあったよ」


「そっか。気にしないようにするよ」


言葉と表情が合ってない。見え見えの嘘を付いている。倒れた電柱に潰された虫を観察している数人の男の所に来る。


「これ、本当に食えるの?」


「一応」


「へぇ……」


「食べる?」


「いや、いいや」


そう笑って、数人がかりで電柱を押す。虫がペキリと鳴り、追加で半身が潰れる。潰れてない方を拾って、ミズキの持ってきた台車に載せる。下瞼を引き攣らせたミズキがそのまま持っていく。


「助かるよ。正直、虫って嫌なんだよな。キモくて」


「ここ、そんなに虫来ないの?」


「来ないな。もっと離れた狩場の山の方は出るみたいだけど」


「それって、例のげ」


口を塞がれた。フェタが横で笑う。手を引き剥がす。


「ほら、次は?」


タブーらしい。地面にこびり付いた虫の破片を引き剥がしてフェタの持ってきた台車に載せる。口を窄めたフェタがそのまま持っていく。


キョウヤと男が並んで立って、何やら話をしている。年格好は同じくらい。知らない男の方がやや体格が良い。その男がこちらを見て手を振った。どう反応すればいいだろう。そのまま近付いてくる。


「ようハチ。元気無いな?」


後ろの台車を持ったハチに振り返る。ハチは視線を逸らした。


「別に」


「無事で何よりだ」


「ソウジロウも、ここもな」


こいつが領主のソウジロウか。随分と男らしい雰囲気だ。少なくともキョウヤよりは善人っぽい。ソウジロウが私を見る。


「この子は?」


「ホルンだ」


まじまじと見られるのは好きじゃない。訝しんだ顔をする。


「なにか?」


「なんか、昔の知り合いに似てるなって思っただけだよ。どっから来たんだ?」


「それ、今重要?」


「それもそうか」


「こいつ、あの東京奪還の体験者だぜ」


ハチが余計な事を言う。私は隠し事が多いのに。ソウジロウは目を丸くして私を見る。


「本当か!?ベゴニアとも知り合いか!?」


「……はぁ」


さて、なんて言おうか。視線を逸らす。


「サルビアって女は知ってるか?」


ウザイ。


「……知ってる。あんたは?」


ソウジロウは少し嬉しそうに笑って腰を上げた。


「そうか。サルビアは元気にしてるか?」


「死んだよ」


今度は悲しそうな顔をした。意外。


―――


「ヒマワリ旅団」


「そ、まぁ勝手に俺が呼んでるだけだけどね」


水の入ったコップを受け取る。そのまま飲む。ソウジロウは何故か嬉しそうにした。


「本当に、伝説になったんだな。あいつら」


「そんなに親しいなら、楽園に旅行でも行けば?」


「そのうちな。今はまだ、ここの問題が山積みだ」


「原子力何とかとか?」


ソウジロウが口角を下げて頭を搔きながら視線を逸らす。


「まぁ……それも」


聞いてる感じだと、そんなに後に回していい話でも無さそうだけど。


「でもそれより、約束したんだよ」


「何を?」


「また来るって」


何と残酷なことか。そんな話はあの人達の口から聞いた事が無い。少なくとも私が会ったこと無い「ヒマワリ」って人がそう言ったんだろうな。


私情が前面に出てる。コミュニティを見る感じは統率は取れてるみたいだし、良い人なのはよく分かる。でもなんというか頼りなさそう感が強い。

後回し癖みたいなのも見える。別にそれ自体はダメじゃないだろうけど、話の規模的にこれは例外かな。


「あんた、多分リーダー向いてないよ」


「分かってるよ」


「他にいい参謀でも作ったら?」


「そうだな。リオが大きくなったら頼もうかな」


「何年後の話?」


ソウジロウが不機嫌そうなのは分かる。


「お前達の意見は分かるし、俺だってその優先事項が大きい事は理解してる。でもここにはここの生活がある。何処だってそうだろ?半年後に飯が食えなくなる自体は避けないと行けない。その繰り返しなんだよ」


「外の人に頼まないの?」


「……外はダメだ。この土地が変わっちまう」


「京都?」


「お前、京都の連中と会った事あるか?」


フェタを含んでいいのだろうか。


「1人だけ」


「そうか。あそこの連中は、伝説とか適合だとか、そんな話に浮ついていやがる。俺らが積み上げてきた時間なんて、まるでなかった事みたいに言いやがる」


確かにフェタもそんな話をしていた。ソウジロウが立ち上がって私を見る。


「だが俺は違う。リオだって適合ってやつらしいが、それを崇める事なんてしない。人間は人間らしく生きて行かなきゃいけない」


それではただの主張の押しつけ合いになるのでは無いか。そう言おうとした所にキョウヤが来た。笑ってる。


「ホルン、虫喰いだ。久しぶりのパーティーだぜ」

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