表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末後遺症  作者: Anzsake
あの日の約束が、終わらない物だと知らなかったから
48/79

カリン:交渉

よく見るとエアライフルじゃない。火薬式だ。スミが立ち上がる。


「私が」


「僕も行きます」


トラックの後ろからスミと出る。5人。真ん中が拡声器。横の4人が銃を構えている。スミが声をあげる。


「まずは、無礼を詫びたい」


相手は何も言わない。


「だが、先に引き金を引いたのはそちらでは?」


寝てないじゃん。拡声器が拡声器を使って話す。


「この道は他に通る理由は無いはずだ。まさかその軍用車両で、何も知らずにドライブをしていました。なんて事はあるまいな?」


「最も。我々はこの先の土地に用がありまして。ここはいい土地ですね。まるで噂とは違う」


銃を構えてる1人が鈍い顔をする。指が一瞬動いたが、拡声器の声で止まる。


「冗談を言いに来たのなら帰ってもらおう。それとも、この土地で死ぬのが望みか?」


「まさか。我々が死ぬのは海の上、あの化け物との激闘の上です」


「化け物?」


「ご存知でしょう?あなた方は良い物をお持ちだ。きっと大切に守ってきたのでしょう」


スミの顔は、キョウヤの見せるあれと似ていた。


「勝手な話ではありますが。そのロストテクノロジー。是非ともこの海峡の開通のお役に立てられればと」


1人が引き金を引いた。反射でメイスを抜いて叩き落とす。弾丸はスミには当たらない軌道だったけど、この距離だと抜く前には分からなかった。


拡声器が怒鳴る。


「フルタ!!先制攻撃はするなと言わなかったか!?」


「ご、ごめんなさい……」


スミが口角だけを上げる。当たらない場所とは言え発砲されたのに、全く動じてない。


「なるほど、つまりは動機をくれた訳だ。その銃か?それとも通行証でもくれるのか?」


「ま……」


スミが一瞬だけ僕を見て真顔に戻る。


「冗談ですよ。気にしていません」


「……基地に案内する。正式な通行はその後だ」


「それはそれは。ありがとうございます。良ければ乗りますか?」


「結構!!」


5人が背中を向けて歩き出す。長い息が漏れる。スミが踵を返す。


「行きましょうか」


「あの」


「はい」


「知ってたの?」


「……言ったら、来てくれませんよね?」


「そんなこともない……」


とは、言いきれないかもしれない。その言い方的に、必要なら奪うんだろうな。と、前回を考えると推測出来て、この人の嫌な感じを再認識する。


―――


「軍の駐屯でしょうね。あそこまで土地を拡大しているのには驚きましたが」


スミがあっさりと言う。


「……人が帰ってこないってのは」


「そもそも入れないし、入ったら撃たれます」


「欲しいって言ってたのは」


「火薬。それ以外にも、中隊規模の装備が眠っているのなら、手を出さない理由にはなりません」


徐行するトラックの中で、一瞬だけ沈黙がある。デビエゴが言う。


「海峡断裂は4年前だ。少なくとも、体制となるには早すぎる」


スミが少しだけ上を見て応える。


「それ以前から、ここらは京都奪還で使いたい派閥と、静かに生活したい派閥で揉めていましたからね」


京都奪還。スミ質問する。


「……京都は、旧市街なの?」


「えぇ、海峡断裂から少しして、その土地の一部を取り戻したと、フェタやラジオから聞いています」


トラックが道を曲がる。細い通路に入っていく。


「そうだカリン。彼らの前では可能な限り、マフラーは使わない方が良いかと」


「流石にわかるよ」


「良かった。それを抜いた時は、私も合図として受け取りますので」


「……なんの」


「宣戦布告」


「それじゃあ、どうしようもない時とかは……」


「見捨ててください」


トラックが揺れる。デビエゴが小さく首を動かす。


「……まぁ、俺たちを上手く使う練習ってこった」


「そういうことにしましょう」


トラックが止まる。森林の中だ。ユスケが合図するので降りる。テントがいくつか貼ってあり、広場や給仕場が見える。

ハチが少し楽しそうに言う。


「キャンプみてぇ」


「キャンプの経験が?」


「1回だけな。毎日出し入れするのが面倒過ぎて辞めたけど」


拡声器を持ってた男が立っている。俺たちをまじまじと見て、ミズキを見て変な顔をする。紅一点というやつだろうか。


「……まぁいい!着いてこい!」


黙ってついて行く。緑の服以外にも色んな人がいて、僕らを見てくる。

大きなテントのひとつに男が入る。僕らもそれに続く。


並んだ机のひとつで座っている男性の前に連れられた。その男の瞳は黄色だった。


「初めまして。僕はリオ」


スミがお辞儀をする。僕もそれに習う。


「初めまして、我々は……」


「海峡の虫の為に協力してくれ。でしたっけ?」


「おや、お話が早い」


リオら爽やかに笑う。歳はハチと同じくらいだろうか。


「とは言っても、僕にそこまでの自由は無いというか……どうぞ、座ってください」


並んだ席に6人座る。それだけが座れるくらいには大きい。


「最初に言うと、僕に最終的な決定権はありません。あくまでも1つ目の人間であるとだけ、ご理解ください」


会話はスミがする。というか、他の人が出来る気がしない。


「もちろんです。お話する機会を設けて頂き光栄です」


「えぇっと。ではまず、整理だけさせてください」


そう言いながらリオは、空を見つめながら手を顎に置く。


「……なるほど。理解しました」


「ほう」


「陸鰭、と言うんですね。あの虫は」


スミが少し顎を引いた。


「……リオさん。僭越ながら恐縮ですが、無闇な読取は無礼では?」


リオは、あまり悪びれる事なく笑う。


「すいません。そちらのお方が同じかと思い、説明は不要かと」


そう言って、ミズキを指した。ミズキはキョロキョロしている。


「申し遅れました。僕も、彼女と同じく適合者です。最も、この呼び方は好きでは無いのですが」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ