↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『東の魔王、西の勇者 ~普通のおっさんと少年ゲリラが世界を二分するまで~  作者: サラ男


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
93/186

必要のない人物

日本。


 投資会社「黒崎」の部屋で。


 四人のエキスパートが。


 黒崎に報告していた。


「ヴィクター・ヘイル大統領から。」


「面会の要請がありました」


 黒崎は。


 少し黙った。


「……そう」


「大統領本人との面会を希望しています」


 黒崎は。


 四人を見る。


「君たちは会ったんだろ?」


「はい」


「なら。


 それで十分だ」


「ですが。」


 外交担当が。


 慎重に言う。


「大統領は。


 黒崎さん本人と話したいようです」


 黒崎は。


 少し考えた。


「大統領だから?」


「……はい」


「関係ないよ」


 黒崎は。


 淡々と言った。


「大統領だろうが。


 必要のない人物とは会わない」


 四人が。


 黙る。


「君たちが。


 俺の代わりに話を聞いた」


「それで。


 必要なことは分かっただろ」


「はい」


「なら。


 それでいい」


 黒崎は。


 机の上の資料を。


 軽く見る。


「俺が出ていく必要はない」


「分かりました」


 四人が。


 頷いた。


 黒崎は。


 それ以上。


 面会について話さなかった。


 しばらくして。


「それより」


 黒崎が。


 別の資料を見る。


「東方カンパニーの方は?」


「順調です」


「海外の資産も?」


「増えています」


「そう」


 黒崎は。


 それだけ聞いた。


 ヴィクターの名前より。


 会社の数字の方が。


 黒崎にとっては。


 重要だった。


 その日の午後。


 四人から。


 ヴィクター側へ返事が送られた。


「黒崎本人から回答がありました」


 ヴィクターが。


 資料を見る。


「何と?」


「面会の必要はないとのことです」


「……必要はない?」


「はい」


 ヴィクターは。


 しばらく黙った。


 盟友が。


 苦笑する。


「大統領相手でもか」


「そうみたいです」


 若い参謀が。


 資料を見る。


「自分から権力を見せようとは。


 まったく考えていないようですね」


 ヴィクターは。


 椅子に座ったまま。


 黒崎という名前を見つめる。


「違う」


「え?」


「権力を見せる必要がないんだ」


 ヴィクターは。


 静かに言った。


「この男は。


 自分が表に出る必要がないと思っている」


 盟友が。


 腕を組む。


「それだけなのか?」


「分からない」


 ヴィクターは。


 資料を閉じた。


「だから。


 もっと分からない」


 会わない。


 拒絶もしない。


 説明もしない。


 ただ。


 必要がないから会わない。


 その態度が。


 ヴィクターには。


 かえって不気味に感じられた。


 その頃。


 黒崎は。


 自宅の庭にいた。


 土を掘る。


 水をやる。


 植物の様子を見る。


 美咲が。


 窓から声をかける。


「今日も庭?」


「ああ」


「仕事は?」


「もう終わった」


 黒崎は。


 土をならした。


 スマートフォンには。


 新しい通知が届いている。


 だが。


 黒崎は。


 画面を見ることもなく。


 そのまま庭仕事を続けた。


 世界では。


 一人の大統領が。


 黒崎という男を。


 知ろうとしている。


 だが。


 黒崎にとっては。


 大統領も。


 企業も。


 国も。


 必要かどうかが。


 重要だった。


 そして今。


 ヴィクターは。


 まだ。


 黒崎にとって。


 会う必要のある人物ではなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。