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『東の魔王、西の勇者 ~普通のおっさんと少年ゲリラが世界を二分するまで~  作者: サラ男


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広がる産業

国交が。


 少しずつ。


 戻っていた。


 ヴィクターの国と。


 周辺国の間で。


 商取引が増える。


 道路が整備される。


 港が動き始める。


 そして。


 工場が増えていった。


 その中心の一つに。


 東方エネルギーがあった。


 以前は。


 エネルギーと資源が。


 中心だった。


 しかし。


 今は違う。


「半導体部門の進捗は?」


「研究開発を進めています」


「AIは?」


「エネルギー管理システムへの導入が進んでいます」


「宇宙事業は?」


「衛星関連企業との共同研究を始めています」


 東方エネルギー本社。


 会議室には。


 次々と。


 新しい資料が並んでいた。


 黒崎は。


 その資料を。


 静かに見ていた。


「ずいぶん増えたな」


 役員が。


 答える。


「エネルギーだけでは。


 今後の成長に限界があります」


「だから。


 関連する産業へ。


 進出しています」


 黒崎は。


 資料をめくる。


 半導体。


 AI。


 ロボット。


 通信。


 宇宙。


 防衛。


 素材。


 どれも。


 数年前なら。


 東方エネルギーとは。


 関係の薄い分野だった。


「どうして。


 ここまで広げる?」


 黒崎が聞く。


 役員が。


 少し考える。


「エネルギーを作るだけでは。


 足りないからです」


「電力を。


 誰が使う?」


「工場です」


「工場は?」


「半導体。


 機械。


 データセンター。


 研究施設」


「なら。


 そこまで。


 自分たちで関わった方がいい」


 黒崎は。


 黙って頷いた。


 それが。


 東方エネルギーの。


 新しい方針になった。


 発電する。


 資源を確保する。


 電力を送る。


 その電力を使う産業も。


 育てる。


 さらに。


 その産業を支える技術も。


 自分たちで持つ。


 一つの会社の中で。


 産業が。


 少しずつ繋がっていった。


 数か月後。


 最初の大きな変化が起きた。


 東方エネルギーが。


 半導体関連企業へ。


 出資した。


 さらに。


 共同研究を開始する。


 目的は。


 エネルギー設備に使う。


 高性能半導体だった。


 その後。


 AI企業とも。


 契約を結んだ。


 発電所。


 送電網。


 工場。


 それらを。


 AIで管理する。


 効率が上がる。


 コストが下がる。


 さらに。


 別の企業へ。


 投資する。


 ロボット。


 物流。


 素材。


 一つ。


 また一つ。


 事業が増えていく。


 黒崎は。


 それを止めなかった。


 むしろ。


 長期的に見て。


 必要なものには。


 資金を出した。


 そして。


 ヴィクターの国でも。


 変化が起きていた。


 巨大プラント。


 最初は。


 エネルギー施設だった。


 しかし。


 周囲に。


 工場が増えていく。


 東方エネルギーの関連企業。


 半導体関連企業。


 機械メーカー。


 物流会社。


 研究施設。


 道路も。


 拡張される。


 発電設備も。


 増設される。


 街が。


 変わっていく。


「ここまで大きくなるとは」


 現地の担当者が。


 呟く。


 隣にいた社員が。


 答える。


「まだ始まったばかりですよ」


 工場の向こうに。


 新しい建物が。


 建設されている。


 そこでは。


 若い技術者たちが。


 働き始めていた。


 戦争が終わった国に。


 新しい産業が。


 生まれていた。


 一方。


 日本。


 黒崎の自宅。


 美咲が。


 資料を見ている。


「また増えたね」


「何が?」


「投資先」


 黒崎は。


 ソファに座ったまま。


 答える。


「必要だから」


「それ。


 最近よく言うね」


 美咲が。


 笑う。


「でも。


 分かる気がする」


 資料には。


 AI。


 半導体。


 宇宙。


 防衛。


 素材。


 通信。


 エネルギー。


 いくつもの産業が。


 並んでいた。


「どれか一つだけが。


 伸びるわけじゃない」


 美咲が。


 言った。


「全部が。


 繋がってる」


 黒崎は。


 頷く。


「だから。


 全部を見る」


 その言葉通り。


 投資会社「黒崎」も。


 投資先を増やしていた。


 東方エネルギーだけではない。


 世界中の。


 有望な企業へ。


 少しずつ。


 資金を入れる。


 そして。


 企業だけではなく。


 土地も買う。


 工場が建ちそうな場所。


 港に近い場所。


 資源のある場所。


 将来。


 人が集まりそうな場所。


 今は。


 価値が低くても。


 十年後。


 二十年後に。


 必要になる土地。


 黒崎は。


 そういう場所を。


 少しずつ。


 持ち始めていた。


 ある日。


 美咲が。


 一枚の資料を見ながら。


 言った。


「ねえ」


「何?」


「これ。


 もう投資会社というより」


 少し考えて。


「世界の未来を。


 買ってるみたい」


 黒崎は。


 少し笑った。


「そうかもな」


 だが。


 黒崎自身は。


 まだ。


 それほど大きなことを。


 しているつもりはなかった。


 企業を買う。


 土地を買う。


 必要なところに。


 資金を出す。


 ただ。


 それを。


 繰り返しているだけだった。


 その結果。


 東方エネルギーは。


 少しずつ。


 エネルギー会社では。


 なくなり始めていた。


 そして。


 世界各地で。


 同じような現象が。


 起き始めていた。


 企業が育つ。


 土地の価値が上がる。


 工場が建つ。


 街が生まれる。


 さらに。


 別の企業が集まる。


 それを。


 また黒崎が買う。


 世界の産業が。


 一本の線で。


 繋がり始めていた。


 まだ。


 誰も。


 その全体像を。


 理解していない。


 だが。


 少しずつ。


 一人の男の名前が。


 企業の資料に。


 現れるようになっていた。


 黒崎恒一。


 その名前は。


 まだ。


 一般には。


 ほとんど知られていない。


 それでも。


 世界の経済界では。


 少しずつ。


 無視できない名前に。


 なり始めていた。

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