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『東の魔王、西の勇者 ~普通のおっさんと少年ゲリラが世界を二分するまで~  作者: サラ男


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同盟への一歩

地方視察を終え。


 ヴィクターたちは。


 首都へ戻っていた。


 政府庁舎。


 会議室には。


 各省庁の担当者が集まっている。


 外交。


 軍事。


 経済。


 財政。


 インフラ。


 情報。


 そして。


 その中心に。


 三人がいた。


 ヴィクター・ヘイル。


 盟友。


 そして。


 エリアス。


 三人は。


 今では。


 新政府の中枢を担っていた。


 会議の議題は。


 これからの国だった。


「国内の復興は。


 かなり進みました」


 担当者が報告する。


「道路。


 電力。


 学校。


 病院。


 工業。


 少しずつですが。


 形になっています」


 ヴィクターは。


 頷いた。


「治安は?」


「安定しています」


「国境は?」


「大きな問題はありません」


 そこで。


 エリアスが。


 地図を広げた。


「問題は。


 これからです」


 地図には。


 自分たちの国と。


 周辺国が描かれている。


「この国だけで。


 成長を続けることはできます」


「でも。


 限界があります」


 エリアスが。


 一つずつ指を動かす。


「市場」


「資源」


「エネルギー」


「物流」


「そして。


 安全保障」


 ヴィクターが。


 地図を見る。


「周辺国との関係か」


「はい」


「戦争を避けるためにも。


 経済を発展させるためにも。


 国境の向こうとの関係が必要です」


 盟友が。


 腕を組む。


「また。


 戦争になる可能性もある」


「だからこそです」


 エリアスが答える。


「戦争になってから。


 考えるのでは遅い」


 会議室が。


 静かになる。


「なら。


 何をする?」


 ヴィクターが聞く。


 エリアスは。


 地図の上に。


 一つの線を引いた。


「同盟です」


「複数の国で。


 互いの安全を守る」


「こちらから。


 他国を攻撃しない」


「領土を尊重する」


「そして。


 攻撃を受けた国があれば。


 共同で対応する」


 ヴィクターは。


 しばらく黙った。


「専守防衛だな」


「はい」


 エリアスが頷く。


「戦争をするための同盟ではありません」


「戦争を起こさせないための同盟です」


 ヴィクターは。


 窓の外を見る。


 かつて。


 自分たちは。


 戦場にいた。


 敵を倒すことだけを。


 考えていた。


 しかし。


 戦争が終わった今。


 国を守る方法は。


 銃だけではない。


「やろう」


 ヴィクターが言った。


「まず。


 話をする」


 盟友が。


 頷く。


「隣国からだな」


「ああ」


 その日の午後。


 三人は。


 大統領府へ呼ばれた。


 大統領が。


 待っていた。


「話は聞いている」


 机の上には。


 周辺国の資料が並んでいた。


「同盟について。


 お前たちが提案したそうだな」


「はい」


 ヴィクターが答える。


「まだ。


 相手国の考えは分かりません」


「当然だ」


 大統領は。


 地図を見る。


「だから。


 まずは話をしろ」


 そして。


 ヴィクターを見る。


「お前に任せたい」


「私に?」


「ああ」


「周辺国との。


 最初の交渉を」


 ヴィクターは。


 少し考えた。


 隣には。


 盟友。


 そして。


 エリアス。


「三人で行きます」


 大統領が。


 頷いた。


「分かった」


「ただし。


 今回は正式な使節団を組む」


 大統領が。


 続ける。


「外交官だけではない」


「軍事担当。


 経済担当。


 法務。


 通訳。


 必要な人間を。


 すべて同行させる」


「三人を筆頭に。


 国家として交渉する」


 ヴィクターは。


 立ち上がった。


「分かりました」


 こうして。


 使節団の編成が始まった。


 外交官。


 軍人。


 経済専門家。


 法律担当。


 行政官。


 通訳。


 護衛。


 多くの人間が。


 選ばれていく。


 その中心に。


 三人がいる。


 ヴィクター。


 盟友。


 エリアス。


 三人が。


 国家の顔として。


 初めて。


 国外へ出る。


 出発前。


 三人は。


 政府庁舎の前に立っていた。


 集まった役人たちを。


 ヴィクターが見る。


「今回は。


 戦争をするために行くんじゃない」


 誰も。


 口を挟まない。


「話をするために行く」


「相手の話を聞く」


「そして。


 互いに。


 戦わなくて済む方法を探す」


 ヴィクターは。


 続けた。


「この国だけを。


 守ればいい時代は。


 もう終わった」


「周りの国が安定して。


 初めて。


 俺たちの国も安定する」


 エリアスが。


 静かに頷く。


 盟友も。


 隣に立っている。


 かつて。


 三人は。


 戦場で出会ったわけではない。


 それぞれ。


 違う場所から。


 ここへ来た。


 だが。


 今では。


 一つの国の未来を。


 同じ方向から見ていた。


 車列が。


 出発する。


 三人を乗せた車の後ろには。


 使節団の車両が。


 続いている。


 首都を離れる。


 やがて。


 国境が見えてくる。


 ヴィクターは。


 窓の外を見た。


 これまで。


 国境とは。


 戦う場所だった。


 今度は。


 違う。


 越えて。


 話をする。


 それだけのことが。


 ヴィクターには。


 大きな一歩に思えた。


 その頃。


 日本。


 黒崎は。


 自宅で。


 世界の市場を見ていた。


 東方エネルギー。


 半導体。


 AI。


 宇宙。


 防衛。


 エネルギー。


 インフラ。


 黒崎は。


 一つずつ。


 資料を確認する。


 投資会社黒崎も。


 少しずつ。


 規模を大きくしていた。


 株式。


 不動産。


 企業への出資。


 土地。


 まだ。


 世間には。


 それほど知られていない。


 しかし。


 黒崎が持つ土地は。


 増えていた。


 企業への出資も。


 増えていた。


 それぞれは。


 小さく見える。


 だが。


 積み重なれば。


 大きな力になる。


 黒崎は。


 画面を閉じた。


「……まだだな」


 美咲が。


 聞く。


「何が?」


「これから」


 黒崎は。


 窓の外を見る。


 世界には。


 まだ。


 知らない企業がある。


 まだ。


 価値の上がっていない土地がある。


 まだ。


 誰も見ていない産業がある。


 黒崎は。


 それを探し続ける。


 一方。


 ヴィクターたちは。


 国境へ向かっていた。


 一人は。


 資本を使って。


 世界へ進む。


 一人は。


 国家を背負って。


 世界へ進む。


 まだ。


 二人は。


 互いを知らない。


 だが。


 それぞれの道は。


 少しずつ。


 世界の中心へ向かっていた。

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