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『東の魔王、西の勇者 ~普通のおっさんと少年ゲリラが世界を二分するまで~  作者: サラ男


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新しい仲間

地方視察から。


 数日が経った。


 ヴィクターは。


 政府の会議室にいた。


 机の上には。


 視察で集めた資料が。


 積まれている。


 道路。


 教育。


 医療。


 農業。


 工業。


 電力。


 どれも。


 一つの問題ではない。


 すべてが。


 繋がっている。


「これだけの問題を。


 一人で考えるのは。


 無理だな」


 ヴィクターが。


 呟いた。


 隣にいた盟友が。


 笑う。


「今さら気づいたか」


「だから。


 人が必要なんだ」


「誰を?」


 ヴィクターは。


 資料の一枚を。


 取り出した。


「こいつ」


 そこには。


 一人の若い政府職員の名前が。


 書かれていた。


 年齢。


 26歳。


 大学では。


 経済学と統計学を学び。


 その後。


 行政機関で働いていた。


 地方財政。


 産業政策。


 人口統計。


 公共事業。


 いくつもの分野を。


 短期間で担当している。


「若いな」


「若い」


「使えるのか?」


「だから。


 会ってみる」


 二人は。


 その職員を呼んだ。


 扉が開く。


「失礼します」


 入ってきたのは。


 細身の青年だった。


 26歳。


 落ち着いた表情。


 手には。


 分厚い資料を持っている。


「名前は?」


「エリアス・グレイです」


「エリアス。


 君は。


 この国をどう見ている?」


 突然の質問だった。


 エリアスは。


 少し考える。


「まだ。


 戦争の国だと思います」


 ヴィクターが。


 黙って聞く。


「戦争は終わりました」


 エリアスは。


 続けた。


「ですが。


 経済も。


 行政も。


 社会も。


 まだ戦争の形をしています」


 盟友が。


 眉を上げた。


「どういう意味だ?」


「首都に。


 人も。


 金も。


 情報も。


 集まりすぎています」


 エリアスは。


 地図を広げた。


「地方には。


 資源があります」


「人もいます」


「土地もあります」


「ですが。


 道路と電力がない」


 さらに。


 別の資料を出す。


「だから。


 企業が来ない」


「企業が来ないから。


 雇用が生まれない」


「雇用がないから。


 若者が首都へ出ていく」


「結果。


 地方はさらに弱くなる」


 ヴィクターは。


 黙っていた。


 エリアスは。


 最後の資料を置く。


「これは。


 一つずつ解決する問題ではありません」


「全部を。


 一つの政策として。


 考える必要があります」


 ヴィクターが。


 聞く。


「どうすればいい?」


 エリアスは。


 少し驚いた。


「私に聞くんですか?」


「君が。


 ここまで言ったんだ」


 エリアスは。


 少し考えた。


「まず。


 十年後の国を決めます」


「十年後?」


「はい」


「そのために。


 今必要なものを逆算します」


 ヴィクターは。


 盟友を見る。


 盟友も。


 頷いた。


「面白いな」


 ヴィクターが言った。


「君。


 俺たちと仕事をしないか?」


 エリアスが。


 黙る。


「私が?」


「ああ」


「私は。


 まだ26歳です」


「知ってる」


「あなたたちは。


 革命の頃から国を作ってきた」


「ああ」


「それでも?」


「だからだ」


 ヴィクターは。


 答えた。


「俺たちには。


 君の頭が必要だ」


 エリアスは。


 しばらく。


 ヴィクターを見る。


「……分かりました」


 こうして。


 一人の若い男が。


 二人の側に加わった。


 その夜。


 三人は。


 初めて。


 同じ机を囲んだ。


 ヴィクター。


 盟友。


 エリアス。


 机の上には。


 国の地図。


 そして。


 世界地図が。


 並んでいる。


「まず。


 この国を知る」


 ヴィクターが言う。


「次に。


 周辺国を見る」


 盟友が続ける。


「その先に。


 世界がある」


 エリアスが。


 地図を見ながら言った。


「なら。


 今のうちに。


 世界の産業構造も。


 調べておいた方がいい」


 ヴィクターが。


 笑う。


「もう。


 先を見てるのか」


「国を率いるなら。


 必要です」


「頼もしいな」


 盟友が。


 笑った。


「俺たちより。


 だいぶ頭がいい」


「比較しないでください」


 エリアスが。


 苦笑する。


 三人の間に。


 小さな笑いが起きた。


 戦場を知る男。


 戦場を共にした盟友。


 そして。


 戦場を知らない若者。


 それぞれ。


 持っているものが違う。


 だからこそ。


 組み合わさる。


 ヴィクターは。


 三人で広げた地図を見る。


 この国は。


 二人にとって。


 故郷だった。


 ここで。


 戦った。


 ここで。


 国を作った。


 ここで。


 名前を得た。


 そして。


 今。


 新しい仲間が加わった。


 勇者の旅は。


 まだ。


 始まったばかりだった。


 だが。


 仲間は。


 一人増えた。


 剣だけでは。


 国は動かせない。


 経験だけでも。


 足りない。


 必要なのは。


 人。


 知識。


 判断。


 そして。


 未来を見る目。


 ヴィクターは。


 エリアスを見る。


「明日から。


 一緒に来てくれ」


「どこへ?」


「地方だ」


「またですか?」


「ああ」


 エリアスが。


 少し笑う。


「分かりました」


 盟友も。


 立ち上がった。


「じゃあ。


 三人で行くか」


「ああ」


 翌朝。


 三人は。


 政府庁舎を出た。


 ヴィクター。


 盟友。


 そして。


 若き参謀。


 まだ。


 誰も。


 この三人を。


 歴史に残る指導者たちとは。


 呼ばない。


 ただ。


 一人は。


 人を率いる男。


 一人は。


 その隣に立つ盟友。


 そして。


 一人は。


 未来を計算する若者。


 三人の旅が。


 始まった。

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