BA
BA。
33歳。
今も。
地方行政の仕事をしていた。
戦争が終わって。
長い時間が経った。
国は復興した。
道路が整備され。
電気が戻り。
街には企業も増えた。
BAは。
その変化を。
現場で見てきた。
住民の声を聞く。
問題があれば。
現地へ行く。
役所だけで。
判断することはなかった。
そんなBAのもとへ。
かつての盟友が来た。
「BA」
「何だ?」
「いつまで燻ってんだ」
BAは笑った。
「俺は十分やってる」
「そういう意味じゃない」
盟友は。
椅子に座った。
「次の大統領選だ」
BAは黙った。
これまで。
三度の大統領選挙が行われた。
すべて。
現職が勝った。
国民から支持され。
安定した政権が続いていた。
だが。
憲法では。
四選は禁止されている。
今度は。
新しい大統領を選ぶことになる。
「候補は二人だ」
盟友が言った。
一人は。
若い改革派。
海外との関係を重視し。
外国からの投資を受け入れる。
外交にも積極的だった。
もう一人は。
内政の専門家。
復興政策に長く関わり。
行政や社会制度にも詳しい。
現職大統領も。
こちらを支持していた。
「どっちが勝つ?」
BAが聞く。
「今のところは五分だ」
「そうか」
「若い方が勢いはある」
盟友は続けた。
「だが、現職の支持は大きい」
BAは。
しばらく考えた。
自分が。
政治の前に出るつもりはなかった。
これまで。
住民の生活を見てきた。
何が必要なのか。
何に困っているのか。
その答えも。
少しずつ分かってきた。
国を変えるには。
戦うだけでは足りない。
行政だけでも足りない。
経済。
外交。
教育。
雇用。
すべてが必要だった。
BAは。
改革派の候補について調べた。
政策を見る。
演説を見る。
過去の発言も確認する。
そして。
一つの結論を出した。
「俺は」
BAが言った。
「こいつを支持する」
盟友が。
BAを見る。
「本気か?」
「ああ」
「理由は?」
BAは。
窓の外を見た。
復興した街。
新しい道路。
学校へ向かう子供たち。
働く人々。
「この国は」
BAは言った。
「もっと外と繋がった方がいい」
盟友は黙った。
「戦争が終わって」
BAは続ける。
「俺たちは国を守った」
「今度は」
「国を育てる番だ」
その言葉は。
すぐに広がった。
BAが。
改革派候補への支持を表明した。
街では。
そのニュースを見た人々が話していた。
「あのBAが?」
「昔、戦場にいたBAだろ」
「今は行政をやってるらしい」
BAを知る人間は多かった。
かつて。
戦場で共に戦った仲間。
BAに命を救われた戦友。
BAに助けられた住民。
戦争で家族を失い。
BAに支えられた人々。
彼らは。
BAのもとを離れなかった。
軍人。
役人。
企業関係者。
一般の住民。
立場は違っても。
BAを信じていた。
BAは。
命令しなかった。
ただ。
話を聞いた。
必要なら。
自分で現場へ行った。
その積み重ねが。
今のBAを作っていた。
選挙戦が始まる。
街では。
改革派と現職支持派が。
激しく争っていた。
BAも。
各地を回った。
演説する。
住民と話す。
市場へ行く。
工場を見る。
学校を訪れる。
戦場にいた頃と同じように。
BAは。
人の声を聞いていた。
ただ。
今度は銃を持っていない。
持っているのは。
言葉だけだった。
選挙の結果が。
国の未来を決める。
BA自身の未来も。
大きく変わろうとしていた。




