新しい枠組み
NATO加盟の検討が。
始まった。
新政府は。
各国との協議を進めた。
だが。
簡単ではなかった。
「まだ。
この国は不安定です」
「軍の再編も。
終わったばかりだ」
「国境問題もある」
様々な意見が。
出された。
新政府も。
反論した。
だが。
交渉は。
思うように進まなかった。
数か月後。
結論が出た。
「現時点で。
加盟は認められない」
NATO加盟は。
見送られた。
将軍は。
報告書を閉じた。
「そうか」
それだけだった。
若手の外交担当が。
言う。
「失敗ですね」
「いや」
将軍は。
首を横に振った。
「無駄ではなかった」
NATOとの協議を通じて。
多くの国と。
直接話をするようになった。
安全保障。
外交。
経済。
そして。
資源。
この国には。
豊富な資源がある。
それまで。
資源を買う側だった国々が。
今度は。
この国との関係を。
求め始めた。
「資源を。
安定して供給してほしい」
「港湾を。
共同で使えないか」
「海上警備で。
協力したい」
話は。
次々と広がった。
そして。
その中心に。
一つの企業があった。
東方エネルギー。
この国の海底資源開発に。
深く関わっている企業だった。
東方エネルギーは。
すでに。
海底からの資源採掘量で。
世界第一位になっていた。
さらに。
新しい掘削技術を。
開発した。
従来の方式より。
採掘効率が。
二割高い。
同じ設備でも。
より多く。
より早く。
資源を取り出せる。
その技術によって。
東方エネルギーの採掘量は。
さらに増えた。
世界第一位。
その地位を。
誰も無視できなくなった。
各国の企業が。
東方エネルギーへ接触する。
政府も。
動く。
「東方エネルギーとの関係を。
どうする?」
各国で。
そんな議論まで。
始まった。
資源だけではない。
掘削技術。
海洋開発。
輸送。
エネルギー安全保障。
東方エネルギーは。
いつの間にか。
一企業ではなく。
世界のエネルギー市場を左右する存在に。
なり始めていた。
新政府も。
その流れを利用した。
「NATOには。
入れなかった」
将軍が。
言った。
「だが。
協力してくれる国は増えた」
若手の外交担当が。
頷く。
「経済だけじゃない。
安全保障でも。
協力できます」
そこで。
複数の国による。
新しい枠組みが。
作られることになった。
資源。
エネルギー。
海上輸送。
安全保障。
それぞれの分野で。
協力する。
まだ。
NATOのような。
強固な同盟ではない。
だが。
参加国は。
少しずつ増えていった。
この国は。
一国だけで。
生き残る道を。
選ばなかった。
世界との関係を。
一つずつ。
増やしていった。
そして。
時間が流れた。
三年。
それだけの時間が。
過ぎた。
BAは。
24歳になっていた。
戦場で銃を握っていた少年は。
もう。
いなかった。
新政府軍の中で。
重要な役割を。
担うようになっていた。
国も。
変わった。
戦争の傷跡は。
少しずつ消えていった。
街が復興する。
港が整備される。
企業が増える。
外国人も。
少しずつ増えていった。
そして。
世界のエネルギー地図も。
変わった。
海底資源。
新しい掘削技術。
そして。
東方エネルギー。
その名前は。
世界中で。
知られるようになっていた。
日本の一企業だった。
東方エネルギーが。
今では。
世界のエネルギー市場を。
無視できない存在になっていた。
その頃。
日本でも。
静かに。
別の変化が。
進んでいた。
黒崎が。
何年も前に。
買い集めた土地。
その土地を中心に。
巨大な計画が。
動き始めていた。
三年。
世界は。
大きく変わった。
そして。
次の三年は。
さらに。
大きな変化を。
迎えることになる。




