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『東の魔王、西の勇者 ~普通のおっさんと少年ゲリラが世界を二分するまで~  作者: サラ男


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世界が動く

その国は。


 地中海の一角にある。


 国土は。


 決して大きくない。


 だが。


 豊富な資源を持っていた。


 そのため。


 以前から。


 周辺国や大国。


 そして。


 外国企業からも。


 注目されていた。


 だが。


 革命によって。


 その意味が。


 変わろうとしていた。


 新政府。


 初代大統領。


 歴戦の将軍が。


 選ばれた。


 投票が。


 終わった。


 集計結果が。


 読み上げられる。


「歴戦の将軍。


 過半数を獲得」


 静かな拍手が起きた。


 将軍は。


 ゆっくりと立ち上がる。


「この国を。


 守ります」


 短い言葉だった。


 会場の視線が。


 若手候補へ向く。


 若手候補も。


 立ち上がった。


 将軍の前まで歩く。


「おめでとうございます」


「ありがとう」


 二人は。


 握手を交わした。


 その日の午後。


 新政府の人事が。


 発表された。


 若手候補は。


 失脚しなかった。


 経済政策と。


 外交政策を担当する。


 重要な役職に就いた。


 その人事を。


 決めたのは。


 将軍自身だった。


「経済を開く必要はある」


 将軍は。


 そう考えていた。


 外国企業。


 海外技術。


 貿易。


 投資。


 必要なものは。


 積極的に受け入れる。


 資源も。


 国内だけで消費するのではなく。


 外国へ売る。


 そのためには。


 外国との関係を。


 安定させなければならない。


 ただし。


「国の安全まで。


 外国任せにはできない」


 そこで。


 新政府は。


 安全保障政策の見直しを始めた。


 軍を強くする。


 それだけではない。


 友好国を増やす。


 外交関係を強化する。


 そして。


 一つの案が。


 政府内で出された。


「NATOへの加盟を。


 検討してはどうでしょう」


 将軍は。


 資料を見た。


 しばらく。


 何も言わなかった。


「……検討しよう」


 それだけだった。


 正式な加盟申請ではない。


 まだ。


 何も決まっていない。


 ただ。


 その情報が。


 外へ漏れた。


 翌朝。


 世界中の通信社が。


 一斉に報じた。


『資源国、新政府がNATO加盟を検討』


『地中海の資源国、西側安全保障体制への参加を模索』


『革命後の新政府、安全保障政策を転換か』


 世界が。


 動き始めた。


 ワシントン。


 政府高官が。


 報告を受ける。


「本当に加盟を検討しているのか?」


「そのようです」


「資源政策は?」


「開放路線に転換する可能性があります」


 担当者が。


 資料を閉じる。


「慎重に見ておけ」


 ヨーロッパでも。


 協議が始まった。


「資源だけではない」


「地中海の位置も重要です」


「革命直後の国だ。


 政治の安定性を確認する必要がある」


「まず。


 外交ルートを開きましょう」


 歓迎する国も。


 警戒する国も。


 あった。


 そして。


 モスクワ。


「NATOだと?」


 報告を受けた担当者が。


 顔を上げた。


「加盟を検討しているとの情報です」


 しばらく。


 沈黙が続いた。


「声明を出せ」


「内容は?」


「軍事同盟への参加は。


 地域の緊張を高める」


 資源を持つ小国。


 地中海に面した国。


 そして。


 革命によって。


 政治体制まで変わった国。


 そこが。


 西側の安全保障体制へ。


 接近しようとしている。


 各国が。


 自国への影響を。


 計算し始めた。


 その頃。


 新政府の大統領官邸。


 将軍は。


 一枚の報告書を読んでいた。


「もう。


 世界中が知っています」


 側近が言う。


「そうか」


「どうします?」


 将軍は。


 報告書を閉じた。


「予定通りだ」


「本当に進めるのですか?」


「ああ」


 将軍は。


 窓の外を見る。


「資源だけを。


 売る国にはならん」


 側近が。


 黙って聞いている。


「国を。


 豊かにする」


 そして。


「その国を。


 守る」


 将軍は。


 静かに言った。


「その両方が必要だ」


 その頃。


 BAも。


 中央司令部で。


 同じニュースを見ていた。


 画面には。


 自分たちの国の名前が。


 何度も映っている。


 BAは。


 しばらく黙っていた。


「……世界が。


 こっちを見始めたな」


 誰も。


 答えなかった。


 資源を持つ。


 地中海の小さな国。


 これまでも。


 世界は。


 この国を見ていた。


 だが。


 これからは。


 見る理由が。


 一つ増える。


 資源だけではない。


 この国が。


 どちら側へ向かうのか。


 世界が。


 注目し始めていた。

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